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どんな言葉をかけると部下はイキイキ働くのか|承認のスキル

皆さん、こんにちは。エグゼクティブ・コーチの林健太郎です。

この記事では、私が制作した動画講座:DELICオンラインから、チャプター5でお伝えしている「承認」について解説していきます。
コーチング・スキルの中では比較的忘れがちなスキルではありますが、リーダーが部下やチームメンバーに使えるようになると効果抜群なスキルでもあります。
ぜひ、一緒に学びを深めていきましょう。

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部下のモチベーションを高めるために承認を活用しよう

今回の動画では、部長とコーチの私が対話するシーンからスタートします。
(動画はこちらからご覧いただけます↓)

:傾聴のスキルと一緒に使う相性の良いスキルがもう一つあるんですけど何かわかりますか?

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部長:私知ってます、承認ですよね。コーチングの本で読んだことがあります。
:その通りです!素晴らしいですね。
部長承認、私いつも意識してやってるんですよ

こう聞くと、もっともらしいと言うか、この部長は部下に対して承認のスキルを十分活用できているように見えます。
果たして、それは部下にはどのように受け止められているのでしょうか
部下の会話をちょっと覗いてみましょう。

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部下1:部長さぁ、自分はちゃんと承認できているって言っているらしいよ。
部下2:え、そうなんだ!部長から承認されたことなんて、殆ど無いんだけど。
部下1:だよね〜。逆にダメ出しとかならいつも多いけどね。
部下2:あと自慢話もするよね。
部下1:あるある!本当にしつこいんだよ。
部下2:この前もね、社長とゴルフに行ったって話を永遠と。。。

上司としてはがっかりするような現実かも知れませんね。
このように、上司は承認していると思っているのに対して、部下は承認されているように感じていない、といったことってよくあると思うんです。
そのメカニズムについて解説していきます。

その前に、コーチングでいう「承認」の定義を皆さんにお伝えします。

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相手の存在を認めること、そして相手に現れている変化、そして成長に気付きそれを言葉で伝えること

この定義に一つ付け加えてお伝えしたい大切なことがあります。
それは、伝えるという行為自体が重要なのではなく、相手に伝わるということが重要だということなんです。
つまりは相手が承認を受けて、モチベーションを高めることができるのか、ということがカギになってきます。

シュレッダーのような会話をしていませんか?

これまで私がお伝えしたことを、今度は実験的に考えてみたいと思います。
例えばあなたが、部下として上司に書類を提出するという場面を想定してみてください。
その時、上司にどんな対応されたら、あなたのモチベーションは上がるでしょうか。
3つのパターンから選んでみてください

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1つ目のパターンは、書類の内容を上司のあなたが実際に確認してから、相手の目を見て、「はい」と言葉をかけて書類を置くというパターン。

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2つ目は、書類の内容は確認せず、書類を脇に置くパターン。

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3つ目は、書類の内容は確認せず、書類をおもむろにシュレッダーにかけるパターン。

皆さんが部下だったとしたら、どれが一番モチベーションが上がったでしょうか
おそらく多くの人が、1つ目だと答えると思います。

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「はい」という短い言葉が承認の言葉として機能しているということを意味しています。美辞麗句を並べなくても、「はい」という短いフレーズでも相手のモチベーションを上げる効果があると考えています。

そして、前のチャプターでも出てきた「非言語情報」にも着目したいところです。アイコンタクト、つまり目線を合わせることは非言語で伝える承認として機能しているということを意味しています。

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3つ目の映像としてお見せした「シュレッダー」はいかがでしたでしょうか?
言うまでもなく、これは明らかに部下のモチベーションが下がるパターンだと思います。
実際に職場でこういった行動をする上司はいないと思いますので、これは動画としての比喩的表現としてお見せしています。そして、シュレッダーが意味していたのは、厳しい言葉で相手を避難するようなことを示しています

職場でこういったシュレッダーに当たる言葉ってどんな言葉をいうのでしょうか。DELICオンラインで以前に出てきたシーンではこういうセリフがありました。覚えていますか?

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自分なりってどういうことだよ、会社に1回やるって決めたことなんだから、それは君のコミットメントなんだぞ。

こんなシュレッダーのような言葉を皆さんも職場で使っていないでしょうか?
これは明らかに部下のモチベーションを下げる方向に作用しますので、ぜひ気をつけてください。

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最後に、2つめパターンについて検証していきましょう。
これは、相手に何も伝えずに書類を脇に置くというスタイルでしたよね。
実はこれはシュレッダーと同じような効果を生むんです。
つまりは、相手のモチベーションを著しく下げるということなんです。
何気ない日常のやり取りの中で、こういった状況が発生している可能性、リーダーの皆さんも否定できないと思います。

このような3つのやり取りのパターンから学べることはたくさんあります。
そして今回のポイントは、他の作業の手を止めて、短い言葉をかけるということの重要性を理解する、ということにありました。

4種類の承認の言葉を使い分けよう

実際にどんな言葉が承認として使えるのかきっと皆さん気になっていますよね。

承認には大きく分けると以下の4つの種類があります。

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単純な承認
成果を承認
プロセスを承認
見解を承認

この4つがあります。
それぞれについて、解説していきましょう。

①単純な承認

単純な承認というのは、相手の使った言葉をそのままオウム返しをするように復唱するというような承認の言葉のことをいいます。

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相手が言ったことをそのまま「相手の言葉」で返してあげることで「聞いてるよ」という意思表示をし、相手の発言自体を承認するという単純な行動が実は大切だったりします。

それにプラスして『そうなんだ』や『そうなんですね』といったシンプルな言葉を使いながら「あなたの言葉をしっかり捉えているよ」、「あなたのメッセージを聞いているよ」ということを、承認としてして伝えていくのが単純な承認になります。

②成果を承認

成果を承認は、きっと多くのリーダーが日常の部下やチームメンバーとのコミュニケーションの中で行っていることではないかなと思います。

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出た成果や結果について、言葉で承認をしていくというのがこの成果を承認するということです。

③プロセスを承認

これは私のこれまでの経験からの考察ですが、多くのリーダーがこの、プロセスを承認する、ということを実践していないのではないかと考えています。

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成果が出ているときには「よくやった!」といった承認の言葉を伝えているリーダーは多くても、それまでのプロセスに光を当てて言葉を紡ぐリーダーは以外に少ないのではないでしょうか

明確に成果が出ていない時にも伝えられる言葉はあります
また、成果ではなく、達成するまでの過程にこだわりを持って働いている部下には、プロセス自体を承認することが大切なんです。


④見解を承認

見解を承認というのは、リーダーにとって最も難易度の高い承認の方法かもしれません。

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例えば、あなたの部下に任せていた仕事があるとします。そして、その仕事の質やスピードがあなたの期待を下回るということも時にあるのではないでしょうか。
そんな時、私たちリーダーがやってしまいがちなのが、承認の言葉を伝える代わりにシュレッダーのような罵声を浴びせることだったりします。
あるいは、ちょっと冷静になれたとしても、ネガティブフィードバックやアドバイスをしたくなる可能性もあります。

この衝動を全く理解しないわけではないのですが、相対する部下にとってはあまりポジティブに働きません
ここは、リーダー自身が感情を少し抑えて、「そういう見解もあるよね」「そういう状況だったら理解できる」といったような言葉を伝える努力をしてみてください。

日本語的には「一呼吸置く」という言い方をすると、わかりやすいかもしれませんね。
こういった間合いを作ることで会話の展開って大きく変わっていくのです。
批判的なフィードバックをすることと、承認の言葉を挟むことでは、その後の話の展開も、双方の感情も大きく変わってくるのです。

ここまで承認のポイントについて解説してきましたが、「学んだつもり」ではなくて、実際に皆さんご自身の環境で承認の言葉を使っていただき、相手に起きる変化を感じ取ってみてください
DELICオンラインの動画本編↑では、承認のコツについて引き続き解説していますので、ぜひ後半部分もご覧になってみてください。

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