ほとんどの人が、とても面白い話のネタを持っているが、本人達はそれらの面白さに気付かないことについて

人間の脳は、情報を得ることそのものを「快」と捉えるように設計されています。

そうなった理由は、より原始的な生物だったころ「食べ物や仲間を見つけること、危険や敵から逃げること」に役立った情報入力のみを「快」と捉えるように脳を設計しておいたところ、「その時は役に立たなかったけど、実は大事な情報だった」という情報を逃してしまうことがあったために、進化の過程で設計しなおしたからです。

そんなわけで、基本的に人間の脳は新しい情報であれば、なんであれ入力されると「快」と感じるように出来ています。

暇なとき、スマホなどでネットサーフィンをして、将来絶対役に立たないだろうと思われる情報を集めてしまうのは、このためです。

これを拡散的好奇心と言います。

また、「えっ何それ?私はそれを知らない!」と意識するようなものに出会うと、ちょうど空腹を意識した胃袋が食べ物を必死に求めるように、脳はそれに関する情報を知ろうとし、その結果得た情報は大きな「快」をもたらします。

これを特殊的好奇心と言います。

従って、教育の現場においては「えっ?何それ?私はそれを知らなかった!」と思わせたら、学生・生徒のやる気を高めることが出来ます。

ところで私は、将来音楽の教員になるつもりの学生さん達に授業をすることが多いのですが、心理学の授業で上記の話をするときには

「フルートは木管楽器とか、そんな簡単なもので良いので『えっそうなの?知らなった!なんで?』と思わせるような小ネタを音大にいる間に集めといて授業で話したらいいよ、クイズ形式にして『金管楽器なのに、木管五重奏によく入れられる楽器はなーんだ?…(生徒の反応をしばらく待つ)…答えはホルンです。これからその理由を考えてみましょう』って感じでも興味関心を高めることができるよ」

と教えてます。

ついでに学生達に「こういった豆知識的な、音楽に詳しくない人に『えっそうなの?知らなかった』と思わせるような音楽の小ネタ、もうすでに持ってたりする?」といつも訊くのですが、意外にパッとは出てきません。

これは、ネタがないのではなく、一般の人には面白いと思えるネタをたくさん知っているけれども、それらは音楽を専攻する学生にとっては当たり前すぎてネタになると思っていないからです。

そして、こないだふと思ったのですが、多分そういうことは音楽に限らず、どの分野でもあるのではないかと思います。

ほとんどの人が、とても面白い話のネタになるようなものを持っているのに、本人にとってはそれらは当たり前すぎて話そうと思わないのではないでしょうか?

自分の中、あるいは世界中に埋もれている『話のネタ』を探してみましょう。

きっといろいろ見つかります!




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