見出し画像

能力は「非」ゼロサムゲーム

能力って、無意識だと『絶対評価』じゃなくて『相対評価』になりがちだから、気をつけたいなあという話。


我らが読売巨人軍を5年ぶりのリーグ優勝に導いた陰の立役者と言われている、元木コーチを称賛する記事をこのオフ頻繁に見かけます。

きょうもまた見かけたので、元木コーチを例にした『能力に対する評価』について思ったことについて。

▼きょう見かけた記事

>「タレントコーチ」の声を見返した 巨人・元木ヘッドの気配り力
https://www.tokyo-sports.co.jp/baseball/npb/1656483/


この記事のタイトルに入っているし、本文でも触れられているんですが、元木コーチに対しては昨オフの就任時、『タレントコーチ』と揶揄する声も少なくなかったようです。

選手引退後は、評論家など野球関連の仕事よりも、圧倒的にタレントとしての活動が目立っていたので、『元木にプロ野球のコーチが務めるのか?』という懐疑的な意見がありました。

しかし、実際に蓋を開けてみれば、3塁コーチとして腕をグルグル回し、サインをテキパキと出し、そして上の記事中に書いてありましたが、自分の(内野守備兼打撃コーチという役割の)管轄外である投手陣に対しても、ときには指導することがあったといいます。

そういった獅子奮迅の働きをみせ、今オフからは『ヘッドコーチ』への昇格も果たしました。


以前、

というnoteのなかで、ぼくは『原監督が元木さんを登用した真意が気になる』という旨のことを書いたのですが、真意もなにも、単純に野球の指導者としての素質があったからなんですね。

原監督は、ずっと前からそのことを見抜いていたのだと思います。

以下、上の記事からの抜粋です。

長らくタレントとして活動していただけに当初は指導力に懐疑的な目も向けられた。
だが、その手腕は原監督も「素晴らしい統率力、洞察力。野球の技術、戦略、知識がすごくある」とうなるばかりで今オフはヘッドに昇格。


『タレントとしての経験、実績を生かして、その発信力、コミュニケーション力に期待していたのではないか』みたいなよく聞く考え方も、別に間違ってはないと思うのですが(ぼくも一部そう思っていた)、そこまで深読みしなくても、単純に野球の技術や戦略、知識といった側面が巨人にとって必要だから、原監督は元木さんを招聘したのだと思います。

ぼくも含めて、世間は元木さんを『タレントだからどうこう』といった目で見すぎていました...。


そしてこの現象って、他にもいろんなところであると思います。

例えば、インスタグラムで人気のとあるインフルエンサーが、ブランドを立ち上げたとします。

そのとき、やっぱり人によっては『とりあえずそのインスタグラマーの知名度や集客力頼みで、特に機能や品質にはこだわってなさそうだな』という印象を持つかもしれません。

しかし、そのインスタグラマーの『知名度や集客力』と『ブランドの機能や品質』は、まったく別の話です。

にもかかわらず、ぼくたちは無意識だと等価交換的に『知名度や集客力のある人が立ち上げたブランドは、あんまり品質や機能にこだわってなさそう』という印象を持ってしまうことがあります。

今回の元木さんの場合も、『タレントとして人気だから野球の指導力はあんまりなさそう』とか『タレントとして活動していたから、指導力よりもその発信力に期待されてコーチになったんだろう』とかって考えた人たちが、元木さんに対して少しいじわる気持ちも交えて『タレントコーチ』と呼称したのだと思います。


しかし、元木さんに関しては、コーチとしての結果を出して原監督の信頼をさらに勝ち得て、今オフには昇格も果たしています。

選手とのなごやかなコミュニケーションの風景は、ときどき記事を通して伝わってきていましたが、シーズン中、メディアに対して直接、タレント時の冗談をよく言って笑う元木さんの姿はありませんでした。

元木さんは、タレントしての能力もピカイチにあったし、野球の指導者としての能力も、また別でピカイチに持っていたのです。


ということで、能力は相対的に見ていくのではなく、ひとつひとつ絶対的に見ていきたいなという話でした。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!!!すこしでも面白いなと思っていただければ「スキ」を押していただけると、よりうれしいです・・・!