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[すこし詩的なものとして]0162 夜明けに酔いながら

街の灯りがすでに消え
包まれた闇にぼくらは畏れる

静寂はゆるりゆるりと押し寄せて
胸の奥に小さく渦巻いていく
薄らぐ闇は人の世の
行き場のない
あらゆるまばらな憎しみが
薄い膜のように
ゆらめいている

栞を挟んだ上製本
電車の中で読むには少し重い
口に出したら鳥のように
啄む虫の音が響き出す

白ばむ空に
漂う言葉
夜明けが近づくにつれ
少しずつ光が差し込んでくる
闇は薄らぎ
世界は明るくなる
朝日は希望へ

重く垂れ込めた雲
星のない夜空
冷たく光る街灯
投影された影
凍てつく心
猫だけの路地裏

行き先は分からない
答えもない
ただ、歩き続ける
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たぶんどうしようもない事象に転がされるのが嫌いではないのかもしれない。
ただそれは虚空で現実的ではない。もしかしたら憧れなのか。とも言い難い。

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