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小指の曲がってる彼女の話

小さな頃にけがをしたのか、その子の小指は何か持つ時に薬指にくっついちゃう。
特に牛乳びんを持って飲む時なんかは不器用っぽく危なっかしく見えて、その左手を見るのが給食の時間の楽しみでもあったんだ。

彼女が女の子チームからはぶられたり、31でバイトしてたり隣町のやつと付き合ったりしてたのを見てたよ。なんとなく。

20年の時間がたって、地元での飲み会の後、二次会にあぶれちゃったんだ。どのグループでもないこさっくんに誘われてバーに行った。佐鳴湖のそばの車ないと行けないとこ。

「こんなとこで呑んでさ、愚痴こぼして ミスチルとか氣志團歌って終わるんだよ。しょうがねぇよ」って田舎の俺たちのバンドの二代目ベースのこさっくんはこぼしてた。
「ママ、歌う」
っていってミスチルをリクエストしたよ。
熱唱!www

で、マイクを持って来てくれたママのその手の小指が薬指にくっついてたんだけど。
「え?知恵ちゃん?」
「そうだよ」かわりにこさっくんが答える。

「指、変わんないよね。その小指いいよ。」
知恵ちゃんは営業スマイルで
「あんた、相変わらず変わってるね」
って言った。

小さな町のほんの小さな夜の出来事


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