進むべき道を見失った時に救われた本
誰でも長く生きていると、時々自分の道を見失うことがあると思うのですが、私は起業したころ正にそのような状態に陥りました。
起業をすると人間関係の枠が大きく広がり、それまで自分の周りに居なかったタイプの人たちと急激に出会うようになったからです。
人間力の凄さに圧倒される日々
その中には、自分よりもかなり若い人もいるのですが、人間力の違いをまざまざと感じました。特に「相互啓発力」とも言える、他者を尊重しつつも相手の駄目なところはハッキリと指摘し、切磋琢磨しながらお互いを高め合うことが出来る人物は、私がそれまで生きてきた環境には全く居ないタイプでした。
親以外で愛情を持って、相手が言われたくないようなことをズバっと指摘出来る人は中々少ないだろうと思います。私の周りにも片手で数えられるほどしか居ません。
そういう人は、自分の弱さや悪さ加減も良く知っているし、他者を思いやる力が強いです。当然、そのような人たちと会う機会が増えれば増えるほど、自分の小ささを思い知りました。
内省をしすぎて身動きが取れなくなる
兎に角いまの自分では通用しないということを思い知りました。ですので、まずは自分の悪さ加減に気づくことから始めました。日常の中で、特に感情が揺れ動くことを記録しました。ほんの些細なことから、大きく感情を揺れ動かされることまで、記録をし、定期的にその記録を振り返るのです。
そうすると、同じようなパターンが出てくるのですが、私の場合、もっとも良く出てくるのは傲慢さや居丈高とも言える態度でした。
若い頃から「誰にも負けるか!」という強い気持ちを持って色々と取り組んでいた結果、行き過ぎてしまってました。それに全く気づけていないまま過ごしていたのです。
ですので、あの頃、用がない限り私に近づいてくる人は居なかったように思います。特に同年代は居ませんでした。目上の方々の中にはそういう私の悪さ加減も含めて、私を諭してくれる人もいたのですが、それもほぼ理解出来ていなかったかもしれません。
記録を見直しては内省する日々を続けていくと、それまでの自分の生き方がいかに間違っていたのかということを思い知りました。そして、それを数ヶ月続けた結果、何が正しいのかがわからなくなってしまったのです。
もはや自分の言動の全てが不正解に感じてしまい、身動きが取れなくなりました。
進むべき道を見失った時に救われた本
そんなことが半年ほど続き、これは何かひとつの指針がないとどうしようもないと思い、色々と本を読みました。その中で、未だに本棚から引っ張り出しては読むようにしているのが『渋沢栄一「論語」の読み方』という本です。
正直「論語」は私には難しすぎたのですが、この『渋沢栄一「論語」の読み方』は具体的なエピソードを交えて書かれているので、とてもイメージがしやすかったです。
この本は当時、オーディオブックにもなっていたので、毎日、毎日、数カ月間ずっと聞き続けました。本で言われていることを、ひとつでも身につけられるように日々実践していきました。
「私は変わった」と実感した瞬間
どれぐらい経った頃かは忘れましたが、客先で打ち合わせがありました。その時、何人か紹介され、仕事の話が一通り終わって雑談をしていました。
その紹介されたひとりの方に「はまださんって、すごく気さくな人ですね」と言われました。私の人生で初めて人から言われた言葉でした。「誰も近寄ってこない私」から「気さくな人と言われる私」に変わっていたのです。
あの感動は今もハッキリと覚えています。渋沢栄一の本は明らかに私の生き方を変えてくれました。
余談ですが
この『渋沢栄一「論語」の読み方』を最近、改めて読んでいるのですが、大河ドラマと連動しているので、今までと違った、面白い読み方が出来ます。本に出てくる人物のエピソードは、実際に渋沢栄一が出会った人たちですので、本も大河ドラマもよりリアルに感じられるのです。
「論語」とまではいきませんが、ポッドキャスト「考働チャンネル」では心の在り方や思考の鍛え方を身近な出来事を交えて話しているので是非ご視聴ください。
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