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読書の時間〜凍りのくじら〜

私にとって4番目に読む辻村深月作品、『凍りのくじら』。

スロウハイツを読んだあと、読む順番をTwitterでいろいろと教えてもらってたどり着いた本です。

読み始め10分くらいで「こ、これはめちゃくちゃ好きになるかもしれない…」と興奮して、途中からはなんだかもう好きすぎて読み終わるのが嫌でゆっくり読んでました。(笑)

興奮のままつぶやいたらみなさん反応してくださってうれしかったです。

そんな凍りのくじらもとうとう昨日読み切ってしまった。

好きな小説第一位に躍り出るくらい、ものすごく好きな小説でした。

藤子・F・不二雄をこよなく愛する、有名カメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。残された病気の母と二人、毀れそうな家族をたったひとりで支えてきた高校生・理帆子の前に、思い掛けず現れた一人の青年・別所あきら。彼の優しさが孤独だった理帆子の心を少しずつ癒していくが、昔の恋人の存在によって事態は思わぬ方向へ進んでしまう…。家族と大切な人との繋がりを鋭い感性で描く“少し不思議”な物語。

主人公・理帆子への共感

理帆子ちゃんにものすごく共感できる人と、全く共感できない、むしろ不快感を感じる人、両方いると思います。

本やマンガなど、空想の世界をこよなく愛していて、現実の人付き合いがうまくとれない高校生・理帆子ちゃん。いつも自分が「少し不在」だと思ってる。

学校で浮いた存在でもなければ、友達もちゃんといるんだけど、あらゆる場所にどうも本気になれない。自分だけが宙に浮いているような違和感。この時代なので、学生さんでもいろいろな人がいると思います。理帆子ちゃんみたいに、友達はいるけどどこか自分に違和感を感じている人、逆にいつも一人でいる人。学生でありながら、世界を達観して見ている人。

私は理帆子ちゃんにものすごく共感できる人の類で、理帆子ちゃんの心の声に「めちゃくちゃわかるわ…」と頷きながら読んでいました。あまり共感できないというレビューもすごく多かったので、「やばい、共感できてしまった」と思いましたが、共感した人もいますよね?(笑)

どなたかのレビューで「主人公が中二病」って書かれていて、笑ってしまった。悪口でもなんでもなく、そのとおりかもしれない、と(笑)

学生生活でずっと本を読んでいた人とか、周りに引かれるほどに大好きなことがある人はきっと「ああ、わかる」とどこか懐かしいような痛いような気持ちになるのではないでしょうか。

理帆子ちゃんは、複雑な家庭環境に見えるんですが、決して不幸なわけではありません。それを自分が気づくかどうか、なのですが、あらゆるドラえもんの道具を例にして話が進んでいくのがとてもおもしろいです。

何よりも、辻村さんの作品に出てくるキャラクター達は、頭の中で想像しやすくて、愛着が湧く。全員ではありませんが、これでもかというくらいにその人たちの性格や見た目を説明してくれているからだと思います。だから登場人物が多い作品でも混乱しないで楽しめるのかな。

頭の中で実写化したり、漫画化したりすることができるような。

理帆子ちゃんに共感するからこそ、後半にかけてはずっと泣きながら読んでいました。(泣いたというレビューはあまり見かけなかったので、人によるのかも)

まだ4作品しか読んでいないですが、辻村さんの作る世界観は本当に優しい。少しぞっとするときもあるけど(笑)、読後感が最高にいいな、と思います。

『凍りのくじら』は、大人はもちろんですが、「少し不在」だと思っている学生さんたちに読んでほしいなぁと思うし、自分も学生の頃に出会いたかったと思えるお話でした。モヤモヤを抱えている子たちは、理帆子ちゃんに共感しながらも救われるんじゃないかな。

それに、この本は、そんな子たちへのメッセージのような、そんな気がします。

自粛生活のため、Kindle版で読んだのですが、文庫版も手元に置いておきたいと思ったので、またいつか買って読み直したいと思います。

いや〜大好きだった!!!!

このまま辻村作品を読み進めたいのですが、次は少しブレイクして、本屋大賞の『流浪の月』を読もうかなと思ってます。

本好きな方の写真を見ていると、何かかわいいお菓子と撮影していることが多くて写真がすごくかわいい!!

こんなときだからこそ、何か素敵なお菓子をお取り寄せして贅沢な読書もありですね。

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