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ITエンジニアがMBAを学ぶということ

今年の4月から東京理科大学大学院に通い、技術経営(MOT)を学んでいます。学生生活の八分の三が過ぎ、余裕もでてきたので、学校生活と通う意義をまとめたいと思い、ノートを書きました(タイトルがMBA、となっていますが、似たようなものということでご容赦ください)。同じような悩みを持つ技術職の方、そういった社員がいらっしゃる企業経営者の方、人事関係の方の参考になれば幸いです。

何を学んでいるのか
一言で言えば、「技術軸でのマネジメント手法、考え方」です。MBAでよく出てくるCAPMや資本コストといったファイナンス、アカウンティング、マーケティングなどのMBAの基本と言うべきものから、技術のボラティリティと事業へのインパクト、研究開発マネジメント、ロジスティクス、ナレッジマネジメント、新製品・事業開発の方法論、ITの戦略活用、デザイン思考などといった、技術の視点で経営するということはどういうことか?を学んでいます。

そもそも、なぜ東京理科大のMOTに行こうと思ったか
エンジニア上がりで専門の教育を受けていないものですから、管理職になり、ここ数年は「もっといい組織にできるのではないか」「どうすればいいのか」「自分のキャリアはこれでいいのか」といった、漠然とした課題感と人生に対してのモヤモヤがつきまとっていました。本を読んだり、セミナーに参加し、知識を入れて実践するだけでは何かしっくりとこないものがありました。そういった悩みを抱えているときに、技術経営のことを知りました。いくつか大学を当たって、実務に即した文化であったこと、100%社会人学生のみであり、学生間の交流に重きを置いていることから、東京理科大学に入学しました。

行ってみた結果、どうだったか
学校に通う前に思っていたことを列挙します。
・技術系の人たちばかりいる
・中小企業の人たちもそれなりにいる
・レポート大変そう
・座学が多い
・勉強時間の確保が大変

実際は以下のような状態でした。

・技術系の人たちばかりいる
技術系も確かにいますが、意外とマーケや営業畑の人も多く、私調べで4:6くらいで技術系がやや少ない印象です。ただ、授業自体はやや技術系に寄っているので、話が噛み合わない、ということはありません。むしろ他業界の考え方を知れるので、非常に楽しんでいます。

・中小企業の人たちもそれなりにいる
一番予想外だったのはこの点で、私調べで9割が大手企業所属でした。企業のサイズが違うことによる議論の噛み合わなさは時々感じています(肩身狭い)。

・レポート大変そう
担当教授(講師)により、濃淡があります。シラバスなどでレポートの量、タイミングを見計らい、計画的に履修していないと大変です。ちょっと控えめにした私も、レポートのために有給休暇を使うなど、業務への影響は多少ありました。

・議論が多い
正直、某海外の大学のような「みんなが手をあげ、言い合う」ような感じではありません。グループワークが多い気がしており、その中でファシリテーションがうまい学生がいると、いい議論ができたりします。学生の中には教授と仲良くなり、色々議論する環境を自分で作っている方もいますので、社交性次第で変わって来ると思います。

・勉強する時間の確保が大変
これは社会人大学に通うみなさま共通の課題と思います。毎日ではありませんが、学校がある日は夜10時まで、土曜日は朝8:50から16:00(場合によっては19:20)まで、拘束される形です。授業がない日はレポートで終わる日もあるので、平日は会社の業務の調整ができ、休日はご家族の理解がないととても通えないと思っています。

実際に通ってみてどうだったか
一言で言えば、「非常にイイ」です。自分のスキルアップをしたい技術者の方、社員のスキルアップをやりたい経営者の方でそれぞれ違う話になると思いますので、以下、分けて書きます。

・社員にスキルアップしてほしい経営者、人事の方
通学して学んだことは、「事業の大きさで、社員の考える幅の広さが変わる」ということです。社員の独学に頼っていると、思索の幅(私は「OS」という表現をしています)は広がらないと思います。(注:伸びる方もいると思いますが、非効率ではないか、というのが私の意見です)
東京理科大学MOTのように、体系的な学びの場と、自分の考えることがいかにメンタルブロックだらけなのか、気づかせてくれる場に社員を派遣することは、社員の思索の幅を広げるいい手段ではないかと思っています。幅広く考えてくれる人が多ければ多いほど、ブレイクスルーの機会は(確率論として)増えるのではないか、と私は思っています。

・技術者、管理職として悩んでいる方
独学でもある程度できると思いますが、何と言っても感覚面が鍛えられるのが一番のメリットと思います。知識ではなく、感性や志を鍛える場、としては良い機会なのではないかと思っています。経営学をかじり、改めて気づいたことは、日々のオペレーションはあくまでも「手段」でしかなく、企業理念や文化といった「どういった志を持ち、社員全員が同じことを思っているか」が重要だ、ということです(技術者倫理とか、そういう文脈で学びました)。そういった抽象的な話までいくと、書籍や座学では得られず、考えている人たちが集う場が必要なのではないでしょうか。そういう場にいることで、感性が磨かれ、考えが変わり、行動が変わり、成果に繋がっていくのではないか、と私は思っています。

最後に
全般的に東京理科大学の宣伝のようになってしまいました(笑)。
ただ、この半年強を振りかえってみても、やはり大学院で学ぶ意義は非常にあると思っていますし、もし興味がある方はとりあえず話を聞きにいく、というのでも良いのではないかと思っています。私立大であれば、今からでも間に合う大学は色々ありますので、この記事が参考になれば幸いです。


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