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第47回 マンション防災を考えよう

マンション防災の全体像5

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという共同住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今日は、これまで考えてきましたマンション防災の考え方のまとめ5として、災害時の情報について
まとめていきましょう。

災害時の情報に限らず、すべての判断基準はさまざまな「情報」に基づいて決定されます。会社の組織でも上席の方が「判断するには情報が足りない」と発言するシーンはよくありそうですね。
災害の時も同じです。個人、家族、理事会、管理組合、自主防災組織、災害対策本部、すべての単位で行動を判断するには情報が必要です。

マンションの災害時に必要になる情報は、代表的なもので以下のものがあります。
・家族や組織構成員の安否情報(要配慮者の所在と状況も含む)。
・自宅内やマンション内の被害情報、組織的活動の情報。
・マンション周辺地域を含む近隣、広域の被害状況、復旧情報(交通機関なども含む)。
・自治体、行政機関、消防・救急・警察・自衛隊など公的機関、医療機関、ボランティア団体等からの避難所開設や給水車・配給などの対応、支援、復旧関連情報。

特に家族の安否確認、状況確認、救助・支援と被災生活に必要なマンション内の被害状況、管理組合の活動情報は、マンション居住者にとって重要です。

例として、外出先、勤務先で災害発生になると、マンションに残した家族の安否がLINEでわからない、助けてと言われて帰れない、高齢者や子供、要配慮者でLINEが使えない、自宅内で一人でいる方の確認が必要な際、隣近所で誰かに確認を頼むためには連絡先を知らなくても依頼できる環境が必要ですし、スマートフォンを持っていない方の安否確認方法、ドアをノックして確認に回った際に「返事が無い住戸」が【外出しているのか、中で倒れているのか】を確認することなどが必要になってきます。

また、災害時という観点で言うと、発災直後以降で情報が必要になることは勿論、災害発生前に入手・展開が必要な情報もあります。例えば台風接近中に警戒のためベランダの荷物の取り込みや機械式駐車場の自動車避難を要請するなどの警告は、集合住宅としてとても重要です。
また、合意形成の下でマンションの維持管理をしているので、防災活動を円滑に進めるためにも、防災活動に対する理解を得るため、平時から意識の統一を図る啓発活動は必要です。

このように、マンションに限らずですが、防災活動、災害時の情報というのはマンション内の方同士で、信頼できる情報を、災害に関するときだけ、展開・入手できる環境が必要ということです。
備蓄品などの物理的準備、組織などのしくみ的準備だけでなく、このような点も留意していきましょう。

今回はここまでです。ここまでのまとめはいかがでしたでしょうか。マンション防災は共有資産である建物、設備の問題から人、家族、組織行動など広範囲にわたりますので非常に難しいですが、人の単位、項目種類、時系列などの観点でまとめて関上げていくことが必要です。
一つ一つ、整理しながら進めていきましょう。

今回はここまでです。次回からは、現在マンション業界で広がり始めた第三者管理方式と防災について少し考えていきましょう。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。

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