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【書評】ずっとやりたかったことを、やりなさい

いつやるか?今でしょ!

数年前、巷でこんなフレーズが大流行した。
今思えばそのキャッチーさもさることながら、この言葉が多くの人々の心に刺さったのは、それだけ自分のやりたいことを「今、やれてない」人が多いことの裏返しなのではないか。

そんな僕も例に漏れず、「30歳までには世界一周の旅をして、写真を撮りまくるのだ!」と壮大かつ、ふわっとした野望?は持っていた。

しかし、コロナによって世界への道は強制的に閉ざされてしまい、「ずっとやりたかったこと」への挑戦権は奪われてしまった。

今、「お金がない、時間がない、もっと写真が上手くなってから...」とぐずついている数年前の僕が目の前にいたら、200mm望遠レンズでぶん殴ってでも、目を覚ましてやりたい。

「やりたいことが、いつでも、いつまでもできると思うな」と。

そうして中長期的な目標を失った中、徹底的に自分と向き合い、埋もれて化石となっていた僕の「やりたいこと」が少しずつ見えてきたきっかけとなった書籍、ずっとやりたかったことを、やりなさい。(ジュリアン・キャメロン 著)を今日はご紹介します。

はじめに

本屋で見かける啓発本の大半が、結局は「自分のやりたいことを信じて突き進め」系の内容だなと思うのですが、これは僕のチョイスが悪いんですかね。

本書もタイトルだけ見ると、そんなフラグがビンビンに立ってますよね。
ただ、この本の趣旨は様々なワークを通じて、自分の中から「やりたいこと」を掘り起こすことが目的の本になります。

加えて「やりたいこと」を邪魔するものをどう排除するかも徹底的に考え、実践することにつながるので、「やりたいことなんて、ないんだよなあ」と思ってる人にこそ読んでほしい一冊になります。

創造性を取り戻す、たった1つのワーク

長い年月をかけて自分の中に沈殿し、光が当たらなくなった「やりたいこと」を取り戻し、内なるアーティストが目を覚ますために是非とも取り組んでほしいのがモーニングノートです。(いかにも欧米を彷彿とさせるネーミング)

モーニングノートとは、要は朝日記のことです。
朝一番に、徒然なるままに思い浮かんだことを書き殴ることです。

何も思い浮かばないのなら、「何も思い浮かばない」と。
眠いのなら、「眠い」と書くのです。

とにかく思い浮かんだことをノート一面書き連ねていくと、今日はどんなことをしようか、どんなことをしたくないのか、何がそれを邪魔しているのか、無理と囁くもう1人の自分の声は具体的になんと言っているのか、みたいに頭に渦巻く感情がどんどん整理されていきます。

そして、肝心なのは必ずこれを朝に行うこと。
日記というと、何となく暗い部屋に灯りのもとで書くイメージを勝手に持っていますが、夜に物事を考えるとどうしてもその日の反省に偏り、自分を責めがちになってしまうのです。

朝、これを行うことで思考は未来を向いた状態で、自分のやりたいことに向き合える。少しだけ解像度が上がった未来をイメージして1日がはじまるので、それに近づくように1日をデザインし、行動していける。

このちょっとしたマインドセットがあるだけで、1日のアクションが少しずつ「やりたいこと」の実現に近づいていきます。

率直に申し上げると、「やりたいこと」っていつの日か、神からの啓示のように突然降りてくるイメージを持っていました。(これだからゆとりは、というお叱りは真摯に受け止めた後、リリースします。)

そんなことはないんですね、絶対に。
至極当たり前ですが。

自分が何に幸福を感じるか、何を嫌うか、子供の時何が好きだったか、そんなことに向き合って、実践して、自分の感情を再確認して。
そうしてトライ&エラーでハマるポイントを探っていくことで、自分の内なるアーティストが目を覚ます感覚を実感できる。

皆様の声を敢えて代弁しますが、想像よりかなーり地道で、地味ですよね。

でも「やりたいこと」って、それこそ人によって違うのが当たり前で、むしろ他人から与えられるものでなくて、自身から湧き出る真の「やりたいこと」なら、そういった対話は自然で、不可欠なことは腑に落ちるんじゃないかなと思います。

喪失の感覚

モーニングノートに始まり、様々なワークを通じて「やりたいこと」に向き合うと、突然こんなの喪失的な感情が芽生えます。

「何のためにこんなことしてるんだろう、自分には結局なにもないじゃないか」と。

どんどん「やりたいこと」は明確になって、自信を持って毎日楽しく人生を過ごせるようになります!
なんて上手い話はないこともまた真理ではありますが、そうは言っても順風満帆で直線的な成長を求めてしまうのが、人間の性ですよね。

徹底的に自己と向き合い、他人の目やプライドが基準になっていた自分が取り払われていくと、本質的には「やりたいこと」へ近づいているのですが、慣れ親しんだ表面上のアイデンティティは失っていきます。

これはやりたいことを見つけて新しい自分をスタートさせようと思っている人にとって、かなり残酷で苦しい段階です。

そんな時は、それが当たり前であり、自分自身を「未開の地」と思うことで、今こそ創作のスタートラインに立った証拠なんだと自分を奮い立たせ、「やりたいこと」に向き合うことを辞めないでほしいください。

リスクを引き受ける

ここまで自分と向き合い、メンタルの起伏を乗り越えることで、
「やりたいこと」の解像度はかなり高くなってくるかと思います。

しかし、最後にして、最重要の課題は「リスクをとって行動」するか。

「考えてるだけじゃ現実なにも変わらないよ、行動しなきゃダメだよ」なんて、すでに古今東西あらゆる啓発書に書かれており、もういいよと思う人もいるでしょう。

今さら僕が行動することの重要性を説くつもりはありませんが、
これだけ多くの人が口を揃えて主張することですので、やはりこれが自分を実現することの唯一の方法なんでしょうね。

達人の創作物と比べてしまう完璧主義な自分。
金銭や年齢を言い訳をする及び腰な自分。

行動を目の前にした時、
それから逃れたがるあらゆる自分が顔を出すでしょう。
「今までの自分」という暗く長いトンネルを抜けるための最後の扉は、いつでも、誰にとっても重いですが、考えすぎる前にそんなもんだと行動してみるくらいが、ここまできたらできることじゃないでしょうか。

もう一度問いたい、いつやるか?

やっとこさ、自分の「やりたいこと」も見つかった、行動をしてみた。
それでも成功というかたちですぐには出てこないし、もしかしたら永遠に成功はしないかもしれないです。

長々と書いてきて、興醒めなことを言ってしまい、すみません。

ただ、常識や虚栄心からでなく、心の底から「やりたいこと」を見つけて、それを始められたことは、人生においてこれ以上ない「成功」なんじゃないかと思います。

本書を読んだからと言って、
世界から見た自分はすぐに変わるかといえば答えはNOです。
ただ、自分自身がすぐに変わるかといえば答えはYESです。

「なにもやりたいことなんてない」と思ってた自分が、
「これがやってみたかった、これならできそう」と思う自分に変わる。

そう思えたとき、かつての僕のようにチャンスを大事に抱え込んで腐らすような自分は完全に更新されてるでしょう。

いつやるの?
そう聞かれたら、食い気味で今でしょ!と叫びチャンスに飛びつく。

昔、思い描いてた道とは違うけど、自分と地続きになっている別ルートを見つけたような感覚で、毎日ぐんぐん突き進めている気がします。

挫折や環境の変化で、「やりたいこと」が見えなくなった人にこそ、
ぜひ、今、手にとっていただきたい一冊。
ずっとやりたかったことを、やりなさい。(ジュリアン・キャメロン 著)のご紹介でした!




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