蛙の子は蛙、毒親からは毒親しか生まれない⑤ 母親に初めて本音をぶつける

ある日、夫が海外出張で土日いなかったので、親子3人で実家に帰ったことがあった。

頻繁に会ってはいるものの、やはり非日常感にテンションが上がり、調子に乗る子供たち。

私が息子のグズリに耐えられず
下の子の髪を掴んで静かにさせたことがあった。

やってしまった途端、自分でもやりすぎたなーと思ってたけれどもう遅いかった。

ジジババもエッ?て顔して、少し沈黙があった。


その日、実家から自宅に帰った夜に、母親から電話がかかってきた。

「明日私仕事で、この嫌な気持ちを引きずりたくないから電話した。あのやり方は酷すぎる。ヤクザよ。子供たちが可哀想。あれくらい子供なんだから普通よ。厳しく怒りすぎ。すごい嫌な気分だったわ。

ただ、その気持ちのまま明日からを迎えたくなかったから。伝えておこうと思って。じゃあね。」


ガチャ。


一方的な電話は、突然切られた。


子供の頃から、ずーっと言い返さずに母親の言動を受け止めてきた私は、もうこれ以上我慢できなかった。


電話をかけ直した。


「お母さんさぁ、あのやり方は酷すぎるって、もちろん私が子供にした事は良い事だったとは思わないけど、自分が私にし続けてきた事わかって言ってるの??

義母に言われたとしても仕方ない、でも誰に言われても、お母さんにだけはそんな事言われたくない。」


私は、初めて自分が感じ続けていた気持ちを母親にぶつけた。私の心は、この電話で本当に本当に傷ついたのだ。


小さい頃から、私が母親の身長を超えるまで、ひたすら辛い事、痛い事、悲しい事をしてきた自分自身の母親本人から、子供への接し方について罵倒され、私はもう正気ではいられなかった。


母親は私を結局守ってくれなかった。


母親自身が、自分が辛くて子供に当たった記憶があるはずなのに
その苦しさを感じてきたはずなのに

その娘が孫に同じことをしようとしているときに

自分を戒めることなく、また正論言って、自分がスッキリしたくて娘に感情をぶつけるんだ。



以前から母親は、私に「子供達への接し方が厳しすぎると、旦那さんのご両親から言われる」と何度か言ってきた。

「私自身も、あなたの態度は厳しすぎると思うし、そう向こうの両親から言われて恥ずかしい」というようなことを言ってきた。


それに対して、そうだね、と私は短く答えてそれ以上はコメントしなかった。


母親は義両親との食事の場でその話題を振られ、どんな気持ちだったのだろう?「自分の子育てのことを言われてるようだ」と思わなかったのかな?

「自分の子育て方法が招いた結果」だと【自分を】恥じることはなかったのかな。

もし私の娘が将来母親になって孫に同じようなことをしてしまっていたとして、娘の義理の両親からそんなコメントが出たとしたら、私はもう、申し訳なさすぎて言葉が見つからない。
でも、それでも私も自分の母親のように、娘に「義父母からそんなこと言われてるわよ、改めなさい。」って伝えてしまうのかな。それを言われた時の娘の気持ちを考えると、残酷すぎて耐えられない。


ただ私は、その時までは反論しなかった。そうだね、気をつける。と返事していた。

でも、あの日の夜の電話での母親の言葉を、もう許すことが出来なかった。


電話で、私が自分の気持ちをぶつけた時、母はこう言った。


「義理のお母さんはあなたにそんな子供の子育ての事、注意なんてできないから私が言うしかないじゃない。自分自身はあなたが小さい頃、お父さんも残業や出張で家にはおらず、転勤先で友達もおらず親子2人、息が詰まる事もたくさんあった。それで強く当たったこともあったと思う。でもそれはあなたが言うことを聞かなかったから。私はいつでも自分の親から教えられた『いつでもこうあるべきことはこう、ダメなことはダメ』そう教わって、誰の前でも恥ずかしくないように一生懸命育ててきた。あなたは大人になっても私が注意した事、こうしなさいと教えた事を守らないじゃない。それを、そんなふうに「お母さんにだけはそんなこと言われたくない」って言われて、傷ついたって思われてたなら、悪かったとしか言えないし、もう、、分かり合えないわよね。」


私は、正直言うと、多分謝って欲しかったんだと思う。気持ちが複雑すぎて言葉に表すのはとても難しいのだけれど、

「○○をそんな気持ちにさせてたのね、今でもとても傷ついていたのね、ごめんね。」と言って欲しかったんだと思う。


でも、母親はそうではなかった。

自分の今までの行動は正しくて、子供のための行動だったと、正当化した。


この言葉は、私にさらに深い傷をつけた。


母親の言う通り、これ以上この話し合いを続けても母親とは分かり合えない、と、母親との関係を諦めてしまった。


そのまま電話を終え、私たちの関係はしばらくギクシャクした。



家族なので、簡単なやりとりをするうちになんとなく関係は軟化し、普段通りの関係に表面上は戻ったが、この一件以来、母親は私に強く言うことはなくなったように思う。


改心したわけではなく、若干腫れ物に触るような感覚なのだと思う。


私にとっては理由はどうであれ、口煩く些細なことに口出しされたり当たりが強くなくなっただけで、ありがたいので、解決は全くしてないけどこれで良かったと思えている。


綺麗事を言えば、自分自身の母娘関係を改善させる事が、私と娘の関係を改善させる近道になるのかもしれないけれど、


まだそこに踏み切る勇気はない。

毒親を克服して、親子関係の改善をし、ゆくゆくは同じような辛さを感じている方をサポートできるような仕事をすることを目標にしています。サポート頂けますと嬉しいです。