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【リバーズエッジ】

工場ではいつも新しいものが生み出され、犠牲はヘドロとなって平気な顔で川に流れる。
そんな描写から始まる、淡白で結ばれた人間関係。

人物各々が秘境のようなコンプレックスや生き辛さ、痛烈な葛藤を抱えながらそれでもどうにか乗り越えて生きていこうとする、浅い呼吸を感じ取るようなリアリティを感じた。

インタビューシーンも、どの台詞をとっても、キャストが主人公クラスの存在感。
設定もだがそれ以上に役者の演技力に圧巻され、最後なんかには『あ、もうルミは最後まで死なない運命なんだ』と妙に腑に落ちたし、同時に許してあげたくなるような気持ちになった。

彼女なんかはきっと、外からは見えない家庭環境不安で幼少期からのコンプレックスがあったのだろう。それでも最後までぶつける先もないまま自分自身に支配されて雁字搦めだったのではないか。最後まで愛に執着して、もはや愛おしさすら感じる。

さて、あそこまで目で心情を出せる俳優は吉沢亮以外にいるのだろうか。
もう死体からしか生き甲斐を感じられなくなった山田の目そのものにしか見えない。

エンディングの音楽も、ちぐはぐな語り調だけど妙に作品にしっくりはまって終わった印象。映像はやっぱり好きな行定さんの世界観でより一層良さを感じた。

#映画レビュー #映画 #リバーズエッジ #二階堂ふみ #行定勲

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