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西加奈子さんの「サラバ!」を読んで

ずっと読みたいと思っていた西加奈子さんの「サラバ!」。上下巻からなる長編小説。
自分の信じるものを探す家族の物語。

自分の気持ちと重なる場面がいくつかあり、思うことと重なり、下巻では揺さぶられた文章に貼っていたふせんが連なり、涙ぽろぽろ流しながら、最後は力強い気持ちで読み終えた。

自分が信じるもの。大事にしているものやこと。それがあればぐんぐん力が出て、目の前のいろいろな出来事をひとときでも忘れられるもの。そのことを思えば生きる力がわいてくるもの。

好きな音楽、好きな本の一文、好きな映画の一場面、誰かと一緒に過ごしたひととき、息をのむような景色、一口食べれば幸せになるおいしいもの、見ていてどうしようもなく癒される猫、誰かの一言…。

何でもいいけど、自分だけが心の底からいいなと思える何か。そういうものが一つでもあれば、何かで揺らぐことがあっても、ぐらぐら揺れながらもそれを支えに立ち上がることが出来る。そんなことを読んでいて思った。

自分が「これだ!」と信じられるもの。そう思う自分の気持ちを信じられること。自分で自分を信じること。

いろいろ思いながら、迷いながら、あれこれに支えながら、今いるここ。その道のりでよかった、と思えた。

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