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うれしくて飛び跳ねてる人。

仕事を終えて歩いていたら、カラフルな女の子が飛び跳ねていた。まだ小学生ではなさそうな女の子が。ピンクの洋服を着て。ピョンピョンと。

かたわらにはお母さんらしき女性がいて、女の子になにやらニコニコ話しかけている。


どういう光景なんだろう、と思って見れば、お母さんらしき人の胸元には、赤ちゃんが抱っこひもで抱えられている。

カラフルな女の子はまだ飛び跳ねていて、どうやら嬉しさのあまり飛び跳ねているようだ。どうして嬉しいのかな、と思ってその視線のほうを見てみると、あったのは「消防署」だった。

すっかり日も落ちて、薄暗くなっているが、どうやら女の子は消防署にならぶ消防車と救急車に対して喜んでいるようだ。


お母さんらしき女性も、消防署にならぶ車たちを指差してニコニコしている。女の子はその場で両手をめいっぱい伸ばして飛び跳ねる。

ジャンプ、ジャンプ。
ワッショイ、ワッショイ。

久しぶりにお散歩に行くときの
ワンちゃんみたいな愛らしさだ。


ここで思ったのは、そういやここ数年、自分の身に嬉しいことがあったとしても、その場で手を伸ばし、飛び跳ねて喜ぶことはしてないなぁ、である。


飛び跳ねて喜ぶことは、
大人になってからそうそうないわけだ。

仮にあったとしても、先ほどの女の子のように「そんなことで飛び跳ねるの?」と理解もされないかもしれない。



はて、いつから飛び跳ねてないんだろう。

と思って、自分の過去の記憶をいくらたどってみても、嬉しさのあまりその場で何度もジャンプして喜びを表現した経験は見つからなかった。

子どものころはあったような気もしないではないが、はて。たとえば高校受験で「合格」の2文字を見たときはどうだったっけ。

たぶん、飛び跳ねてない。

「よしっ」とにぎり拳をにぎったくらいのもんだろうか。

たとえば大学受験、仕事が決まった、住む部屋が決まった、恋人ができた、結婚した、子どもが……など、この社会におけるどのライフイベントを考えても、どれもその場で飛び跳ねて喜んだ記憶がない。

「よしっ」とにぎり拳をにぎっただけのような。


……あれ、ちょっと待てよ?


そういやちょっと前に開催されたWBCの準決勝。日本対メキシコ戦で村上選手がサヨナラヒットを打ったとき……

ウオオオオオー!


あのときは、妻と手を取り合って、その場でジャンプして喜んだわ。家の中で何回も飛び跳ねた。

ジャンプ、ジャンプ、ワッショイ、ワッショイ、ヤッタ、ヤッタ! ソレミタコトカ! ムラカミワッショイ! オレダケハシンジテタ! バンザイ、バンザイ!


それを忘れてたわ。

ジャンプ!ジャンプ!


野球やスポーツに対して、それほど熱をかたむけていない方からすると「え? そんなことで?」と思われるかもしれないが、消防車に喜ぶ女の子のように、その人が何に大喜びするかはみんなそれぞれ千差万別。


飛び跳ねて喜んでいる人がいたら、できるなら一緒になって喜んでいたいものだね。


〈あとがき〉
思うに、誰かの喜んでいる姿を笑顔で見守って、なんなら一緒に涙を流すほど喜ぶような関係性ってうらやましいな、と思います。どんなことにでも、それが素晴らしい結果なのならば手を叩いて「おめでとう」と言ってお祝いしてあげたいものです。今日も最後までありがとうございました。

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