わたしは今までの人生、人と喧嘩をしたことがほとんどない。
幼少期に姉と小競り合いをした程度な気がする。

イラっとすることはあっても怒ることがほとんどなく、怒ったとしてもそれをうまく外に向ける方法を知らない。
だから怒っても大体自分の中で溜め込んでどうにかこうにか潰していって、なかったことにする。

何かを嫌だと思うこともそんなになくて、大抵のことはいいよ〜おっけ〜で済ませるし、大体のことはなんでもいいしどうでもいい。
そもそも何かに興味を持つことがほとんどないので、怒りにまで繋がりにくいんだと思う。
プラスの感情も、マイナスの感情も、興味がないことには発生しない。
人は好きだけど興味はないし、相手について知りたいことも特にない。
深入りされたくないから、深入りしない。もちろん相手によるので全ての人に対してではない。

ずっとそうやって生きてきた。

先日、ちょっとしたことで喧嘩のような状態になってしまった。
これに関しては、私は自分に非はないと今でも思っている。
珍しく嫌だと思うことがあったのでそれを伝えたけど、相手も引き下がらないので、なんとなくギスギスと。

ただお互いに喧嘩は避けたいタイプなのでどことなく遠慮し合うような、少し距離ができたような、探り合うようなそんな状態になってしまって、それがとても寂しくて気持ち悪い。

向こうからしてみれば、自分を信用してくれていないのだと、私に対して不信感や苛立ちをきっと感じているんだろうな。
私からすれば、どうしてこの人は私の話を聞いてくれないのだろうと悲しい気持ちが大きい。

信じていないわけじゃない。
でも、嫌なものは嫌で、無理なものは無理。

正直今までのわたしなら、嫌だなぁと思っていても喧嘩は嫌だし険悪な空気が続くのも嫌だし、何より正直なところ、不機嫌な男性がわたしにとっては恐怖でしかないので、無理に自分を納得させてでも「いいよ」と返事をしていた。
自分が我慢をして済むのなら別にいいか、と。

でも、それは結局許したわけじゃなくて自分の中で許したふりをしているだけだから、どんどんしんどくなる。
ずーっと引っかかって、抜けなくなって、より深く深く刺さって、そのうち痛みを伴うようになる。
ちょっとした違和感がいつしか傷になる。

でもわたしだって幸せに生きていきたくて、少しだけわがままになろうと思った。
今までの人生は誰に対してもとりあえず「ごめんね」と言ってきた。
相手が少しでも機嫌を損ねていたら、それは全て自分のせいだと思ってそのことに対して「ごめんね」と。

でももう、自分が悪くないと思うのなら謝るのはやめようと思った。

だから絶対謝らないぞという意思のもと、言葉が少しキツくなってしまったことと嫌な思いをさせてしまったことに対してだけ「ごめんね」と伝えた。

相手は「いいよ」と言った。

「いいよ」ってなんだよ。
なんでお前が譲ってやったみたいになってんだ。

と思ったけれど言わない。言わないぞ。
言っても無駄になることは言わない。

言わぬが花。

わたし自身、人の顔色をうかがって行動するタイプだからこそ、察してちゃんは正直面倒だなぁと思ったりするので言葉にする。
言わなきゃわかんないことって、多いから。

でもわたしが言うのってポジティブなことだけ。

例えば髪を切った時。
「どこか違うと思わない？」なんてまどろっこしい言い方はせずに
「髪切ったの！可愛い？褒めて！」と素直に言葉にする。

新しいお洋服を買った時も、ネイルを変えても、見て〜と伝える。
わたしは褒められて伸びる子なので、褒められると結構可愛くなる。

性格的にも、そういったことを言うのは簡単でさらっと何も考えずに誰にだって言える。

ネガティブなことはなるべく、言葉にしないようにしてきたけど、相手を守ることと同じくらい、
もしかしたらそれ以上に、自分を守ることは大事だなぁと最近は思えるようになったので「嫌」をきちんと言えるようになりたい。

少しくらいわたしがわがままになったって、わたしが許します。