趣味というほどでは


ないけれど。


最近お休みの日に、目をつぶってGoogleマップに適当にピンを刺し、そこへ向かうということをやっている。

日帰りで、遠くても車で片道3時間程度、というルールが一応ある。

とはいえ、何もない場所を楽しめるほど感性が豊かではないので、何もない場所であれば近くにある建物や観光名所を目的地として行く。


これを始めたきっかけは至って単純で、私は予定のない休日を過ごすことが苦手だと最近気がついた。
朝から晩までスケジュールを埋めたいわけではないけど、今日は○○をするぞ、という予定や目標がないと損した気持ちになってしまう。
余暇を楽しむことが下手だ。
暇だと必要のないことを悪い方へ考えてしまうので、何もしないを楽しむことがなかなかできない。
数年前まで出不精で引きこもってばかりだったけど、元々アウトドア派で1人で出かけることが好きで、それをようやく思い出した感覚。

こういうとき、映画も焼肉もお寿司もテーマパークも旅行も恋人たちの聖地も1人で行けるタイプでよかったと心底思う。
1人で楽しむ方法を知ると、少しだけ人生は楽しくなる気がしている。


話を戻します。

先日は獣道を通って山の中にあるお寺に辿り着き、お寺の方に声をかけられ、何故か御祈祷をしていただいた。
神社のイメージだったけど、お寺でもしていただけることを今更ながら知った。
お財布を忘れていたのでお金ないぞ…と思ったけどお金はいいですよと言っていただけたので、また後日お伺いして改めてお礼をしようと思う。
正直お財布があったところで、キャッシュレス派なので1000円くらいしか入ってないけど。


そしてまた、朝10時過ぎにまたそれを思い立ち、適当にピンを刺す。
隣県の山奥だった。
近くに何があるか探したところ、とある観光地があった。

約3時間、破ってもなんの罰もない自分ルールギリギリ。
悩んだ。
悩んだものの、思い立ったら即行動しないと気が済まないので準備。
最近仕事でトラブル続きで気持ちがもやもやぎすぎすしていたので、いつもよりメイクを濃くした。
涙袋のグリッターは致死量ギリギリ。
太陽に反射して、世界が輝いてみてる。
アイラインは地球1周分、月まで届くほど跳ね上げる。かぐや姫もびっくり。
まつげもぎゅいんぎゅいんにあげる。ほぼ直角。次回のSASUKEの種目にいかがですか。
気分もそれに比例して上がる。
ツヤッツヤのハイライトをぽんぽんと仕込んで仕上げて顔面の主張を強めにしておく。
いつもはしないシェーディングも少しだけ。

少し伸びた前髪は軽く巻いて、先日買ったバーバレッタで髪をまとめた。

地味な顔なので、浮いて見えないギリギリラインを攻めます。
コーナーで差をつけろ。


お家を出たのは11時過ぎ、ナビが示す到着予定時刻は14時近く。

家を出るのが遅かったので致し方あるまい。
コンビニでカフェオレを買って現金を少しおろして向かった。
本当はココアが良かったけど、ココアは売り切れだった。切ない。

どんどん建物がなくなり、田畑が増えていく。
コンビニも、ガソリンスタンドもない。
同じ方面へ行ったことはあったけど、1人では初めてだったので道がよく分からない。
幸い、ナビが優秀なので間違えようが何しようが最後は必ず目的地へ連れて行ってくれる。あんしん。

運転は好きなので道中でもうわっくわく。
次から次へ変わる景色が楽しい。

続くヘアピンカーブ。ほぼ壁な坂道。
マリオカートと頭文字Dで鍛えたドライビングテクニックが火を吹いた。

道がかなり空いていたこともあり、予定よりずいぶん早く目的地に到着。
紅葉シーズンは賑わうらしいけど、私が行った時はがらがら。
ただ、韓国の方達がバスツアーで来られていて皆さん楽しそうに写真を撮っていた。
あっちもこっちも韓国語ばかりで何を言ってるかは分からないけど、時折大爆笑が起きていたので、私も1人で釣られて笑った。人の笑い声聞くと笑っちゃう。怖。


なんとなく、景色が入るように自撮りをしたりもしたけど、陰キャなので端の方でこそこそ撮っちゃったから、あんまり観光地感がない。
ただの雑木林。

場所柄とにかく風が強くて寒くて、ワンピースで来たことを後悔した。
ワンピースの裾から入ってくる風があまりにも冷たい。
冷たい上にワンピースだから上へ上へと風が通り抜ける。
ガッタガタに震えながらてくてく。
ちなみにしっかり整えた前髪は、車を降りたその瞬間にすでに寿命を迎えてしまった。

神社があるとの看板を見たのでせっかくなので参拝しようと思ったけど、どこにあるのか分からない。
適当に歩いていると、白蛇を奉っているという建物があった。なんとも怪しそうだったので入ることに。
怪しい、危ない、胡散臭いには積極的に近付きたくなる。

中に入るとご年配の男性が1人。
500円で蛇と触れ合えるらしい。

私は死ぬまでにやりたい100のリストの中に「蛇を首に巻く」を挙げている。
巻けるのかは知らないけど、せっかくのスネークチャンスなので500円払って蛇のもとへ。
暑すぎるくらいぽっかぽかのお部屋。
変温動物だもんね。寒いのやだね。わたしも。
ずらりといくつも並んだケース。
一つ一つに真っ白な、綺麗な白蛇たちがいる。

中にいた、これまたご年配の男性が1匹ケースから出してくれた。

写真撮っていいよ〜と言われ、近くにいた別の男性の参拝客の方が撮ってくれることに。

手をパーにしてと言われパーにするけどやっぱりちょっと怖い。
イヒヒイヒヒと笑いながらおじさんに「ねぇちょっと待って怖〜い!」と。
それでもおじさんは躊躇なく私の手の上に蛇を乗せる。

乗せてみると案外おとなしく、動くけど顔をぴくぴく左右に動かしたり伸ばして舌をちろちろとするくらい。
乗せてみるとめちゃくちゃ可愛い。
おめめくりくり。
そして全身筋肉!という感じ。
かたい。思ってたよりかたくてびっくり。しなやかだけどかちかち。

お兄さんが何枚も写真を撮ってくれて「可愛く撮っときましたんで!」と言ってくださり、無事にふれあいタイムは終了。
私の手から離れるときは少し寂しさを感じるほどだった。

そのあと、おじさんは波動が…とか気が…とかスピリチュアルな話をしながら私に手のひらを出せと言い、私の手のひらに向かって自分の手をぐーぱーぐーぱー。

「どう?何か感じるでしょ?」と言われ、私も私でノーが言えない人間なので「あっ!なんか!うまく!言えないけど!!!」と。

そりゃ手のひらのすぐ近くでぐーぱーされたら多少の風は起きるのだから感じるよ、、とは言えない。
残念ながら、スピリチュアル方面は全くもって疎いので何も分からない。

彼の中で波動を感じられる女になったところで帰った。
可愛かったな、蛇。

それから、名物なのかは分からないけど鹿のお肉を使ったジビエハンバーガーがあったので食べた。
猪肉もあったけど、牡丹鍋は食べたことがあったので食べたことがない鹿にした。
鹿の味はわからないけど、とりあえず美味しかった。
ちなみに私が大きなお口を開けてハンバーガーを凍えながら1人で食べているところを、先ほど写真を撮ってくれたお兄さんとすれ違って見られた。
会釈して微笑んだけど、ちょっと恥ずかしい。

そのあと、ソフトクリーム。
ソフトクリームマニアなので見かけたら絶対食べます。
アイスも好きだけど、ソフトクリームがいい。
ちなみに場所を変えてソフトクリームを食べている時にもお兄さんと遭遇。

その後お土産を買って車に乗り込みシートベルトを締めてふと、広い駐車場で隣に停まる車の運転席の方と目が合う。
お察しの通り、先ほどのお兄さんです。

お互い思わず笑ってしまう。

さすがにちょっと運命を感じた。
なぜなら、私に会釈をして走り去るお兄さんの車のナンバーが私の誕生日だったから。


不思議なこともあるものだなぁと思いながら帰路に。

帰りの車の中、遠くに見える風力発電所の風車を見て大興奮。
風車、めちゃくちゃ好き。
というか大きい建物とか大きいものがだいたい好き。
クレーン車とか工事現場とか工場も好きです。
正確な場所もわからないし、日も沈みかけていたので諦めたけど、いつか近くまで行ってみたいなぁ。


すっかり日も暮れた頃、お家についた。
合計6〜7時間運転しているので主に右足首がくたくただけど、充足感がある。
知らない街へ行って、知らない人とお話しして、知らないものを見て、知らないものを食べて。
楽しかったなぁ。

2024年、今年はいろんな場所へ行けるといいですね。私。


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