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核のかがやき

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やはり最後まで捨てられないのか

おかしなことだけど、突然、まっさらな
罪なき自分に戻りたくなる

夜は来るのが早すぎる 朝が来るのは遅すぎる

今までは全て演技だったから、
まるで何も知りませんと言うような顔つきに戻りたくなる

そう、まさにそれがあなたの顔だった

純真さなんて云うものは全部、
読んだことない本のあらすじのように、心に存在しないものなのかもしれないな

目に映る雨

財布に紙幣があると、途端に50年も老けたような気持ちになる

虚構だけを握っていなければ、
いつか自分が虚構になった時 そこへ持っていけないから

でもやっぱり愛だけは 愛だけは捨てられないのか

空っぽになりたい

全て窓から捨てられたって、なんの問題もないんだ
私はただ、ここにいるだけでどこへでも飛び回れる思念なんだから

今、窓から飛び立って
愚かな循環活動をする人間たちの暮らす屋根ゝを剥ぎ取り、
蟻塚を見るような無心で比べることができる

そうなった時にもまだ私がターコイズブルーを愛していたら、完全な悲劇だ

空っぽになりたい
こんなに何もかも捨てて、一輪挿しの体で、
ただ空のトランクを持って歩いてきた
一駅分の運賃だけ払った切符で、本当はあり得ないはずの虚無の道のりを
ブルーライトいっぱいの視界で、iPhoneに吸い込まれるように進んでいる

一駅一駅ドアが開くせいで
異常なほど下げた冷房は適温になってしまうのに、
捨てられるために撮られるプリクラに入れた100円玉を
全てPASMOで支払ったのに、
私の胃にはまだ牛乳が入っている…

カボチャの中の身や種を全てくり抜いて、入ったのは存在しない光のはずなのに
こんなに大地が暖かい

私はもっと亜音速になるんだ

インターネットミームの派生画像だけが飛び回る世界で1人、
本当に、本物の、
全くの空っぽになってやる

私は大きなしゃぼん玉になって、ただただ周りの光を虹色に反射させてゆれる
絵が下手な人間には描き写すことすらできない!

私は本物の空っぽになるんだ
身体も、心も、拠り所も、宗教も、たった1人の味方すらいない、切った爪の指に沿った形になる

引力もナシ 目はLED

頭を開ければ、波打つ銀色の髪 ミラーボールの脳みそ

何も無い、そこには何も無い

最後に愛が余ってしまう
これだけ捨てたい、これだけ

でもゴミの日はいつまでも来ない…

核物質の中で1人、なぜ100年前の絵画への愛を止められないの?
ジャンポールエヴァンのチョコレート、青い、青い色の服
意外な形の筆記具
恐ろしいほど化学が進んだ、色とりどりのクリスマスコフレ

こんなに全てが終わったはずの場所なのに、どうして何も失っていないんだろう

結局、もともと何も変わっていないんじゃない

最初からこれしか持っていなかったのよ


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