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好きな映画:セブン/ジョーカー/デッドプール

周りと、感想が噛み合わないシリーズで並べてみました。どれも大好きな映画です。 
何と伝えれば良いか不明ですが、ちゃんと打ちのめしてくれるクオリティのある作品が好きです。

今回、どの映画もいろんな意味で暴力的なので苦手な方は、気をつけて!ネタバレは多分無いです。

セブン

ブラット・ピット主演の、昭和生まれの方は金曜ロードショーでお馴染みの映画。小学校高学年くらいの頃にTVで観ました。
7つの大罪に擬えた連続殺人事件に、巻き込まれた新人警官が主人公の話です。
【好きなシーン】
・ 老刑事と警官の奥さん(妊婦)がカフェバーで話す所、そしてその内容。
・ ラストシーン。直接見せないのにくっきりと理解できてしまう構成と構図に完璧!と、こどもながらに感動しました。

何が好きか、と問われると直接的なシーンが無いにも関わらず、その犯罪の凄惨さを認識させてしまう所です。内容そのものも好きですが、話やシーンの構成に魅力を感じます。センセーショナルな犯罪自体ではなく、“その表現によって伝えたかった事”に対して興味深いと感じています(愛する人にきちんと関わり、相手の声に耳を傾ける。いつまでもいると思うな大切な人。などかな)。
陰鬱とした雰囲気作りも、きちんと不安にさせてくれて素晴らしいと思います。映画の中で、雰囲気や恐怖を再現出来るその技術、表現力を尊敬しています。


ジョーカー

2019年公開された、ホアキン・フェニックス主演の映画「ジョーカー」バットマンの宿敵の誕生譚、今までのトリッキーなサイコパス像とは違った生々しい人間像を描いています。DCコミック自体、暗くて苦手なので観た事はあまりないのですが、これは、大好きです。

【好きなところ】
・ ジョーカーが底辺に生きる、周りに理解されない存在として描かれており、その背景や人物像が丁寧に描かれている。
・ 世間との距離や孤独感を、客観的に理解できる場面を描いている。
・ 音楽、構図、色彩が的確だと感じる。

彼が脳の障害で笑ってしまう時、彼は周囲の反応に不安になり、近くにいた人は不審に思い軽蔑する。彼が誠意を持って仕事に貢献した時、易々と搾取し切り離す。
彼が存在する事自体が、世間にとって違和感なのだ。いたたまれない愛のない孤独な世界で、夢を描いても壊されてしまう。理解されずに世間から突き放される度、彼の世界と現実が、どんどん歪に変化していく。
きっと同じ思いをしている人は沢山いるはず、声も上げられず共感もされず、社会(や社会保障)から切り離され、世間との壁や溝がどんどん深まっていく。社会保障の網目から、取りこぼされてしまう人々だ。その世界を可視化して提示している所が、私にとって希望だと感じた部分であり、この作品の大きな魅力だ。
簡単には理解できない、彼らの苦しみを映像にして、感覚を共有してくれた事は本当に希望だと思った。
ジョーカーは比喩だ、愛情や保護が必要なのは全ての人なのだ。問題提起として、もっと解釈されて取り上げられるべき名作だと思っている。



デッドプール


デッドプールは本当に好き。
【好きなところ】
戦闘シーンも楽しくて好きなのだが、その構造はライフイズビューティフルを想起させる。
・ 辛い人生の中に笑いを
・ 苦しみに気づかせないように振る舞い、愛する人を身も心も守ろうとする
・ 犯罪を正当化させない

物語の中で、冗談めかして語られるデッドプールと恋人のそれぞれの辛い過去。
2人は似たもの同士、お互いのみがお互いを理解でき、必要としている。相手と一緒に居たいがゆえに、デッドプールは悲しい決断をしてしまう(パワーアップして帰ってくるけど、ね、死ななくなるけど、ね…)。
デッドプールは最高のラブストーリーだとわたしは認識している。
日めくりカレンダーみたいに流れていく、ラブシーンも幸せそうでとても素敵だ。そしてその対比の悲しさたるや…!

観せ方が、狙っている効果が、その誠実さが好きな映画です。表面的なくだらなさの中に潜んでいる真意と誠意を、ぜひ掴み取っていただきたい作品です。

あとがき

すごく好きなのに、観た人と感想が噛み合わないなぁ、と感じる作品をまとめてみました。
好きな映画は気づくと極端で、バイオレンスなサスペンスやホラーか、すごく平和な作品(テオ・アンゲロプロス監督の「永遠と一日」など)だったりします。主に洋画が好きで、怖い話が好きとかではありません。ただ、好きなものが好きなだけなのです。

今回の記事を楽しんで頂けたら幸いです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!


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