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越境学習をレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドで促進させる

 様々な学習の在り方の中で、「越境学習」という領域がある。
 様々な学問領域の中でも、多くの人の注目を集める比較的新しい領域である。

 その理由の一つとしては、グローバル化の進展で、人々の移動が活発になり、それによって社会がより多様性を持ち始めていく中で、移動する側も迎え入れる側も、これまでとは異なるバックグラウンドを持った集団に入っていったり、異なる感覚の個人とやりとりする機会が増えてきていることがある。

 異なるバックグラウンドの人々の言動を抑圧したり排除する対応もあるが、お互いの考え方の違いを経験したのち、それらの違いを乗り越えて、今までにない良い効果をもたらす対応を目指す方法もある。後者の対応を導き出すことを越境学習では目指しているといえる。

 越境学習を行うときに、より良い変化(学習の結果)に至るか可能性の高い方法を確立していくことは、今後の私たちにとっても大変重要な課題であるといえる。

 異なる考え方を乗り越えるための思考については、いくつかのパターンを考えることができる。そのひとつは、その考え方がどこから生まれてくるかを知る、つまり、考えの前提を明確化するというパターンである。

 前提を明確化することによって、越境した先の人々の考え方や行為をより良く理解することにつながることがある。その前提を自分も大切にしたり、自分の所属する集団に伝え、同じように持つことで、その境界を越えて大きな利益を双方にもたらすような活動を生み出すことができる可能性がある。

 レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドでは、相手の考えをモデルという形で構造化して知ることができる。そのモデルに表れている考え方をよりはっきりと掴むことは、その考え方の前提を明らかにすることにつながりやすい。場合によってはある表現の底にある(前提にある)考え方を追加でモデルに表現してもらうような働きかけができる。
 または、お互いに作ったモデルを交換してみて、そのモデルを自分の考え方であるかのように説明してみるというワークもある。相手のモデルを自分で説明してみて上手く説明できなかったり、違和感を感じたところは、自分とは異なる前提をもっている可能性が高い。

 もう一つのパターンとしては、相手と適度な距離をとるという方法がある。同化することだけが変化ではない。その違いを尊重し、それぞれの領域を相互に侵さないと適切な距離を取りなおすことも良い変化となる。

 考え方の距離感というのは、かなり抽象的なメタファーではあるが、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドでは、お互いの考え方をモデルに表現してもらった後、テーブルの上にその考え方を実際に配置して距離感をはかるというワークをすることができる。モデルが2つではあまり感じないが、5~6人で行うとモデルの相互関係を考えることからの学びは大きい。誰と誰の考えが近く、誰が遠いかが明確になることで、自分が誰からより学ぶことができそうか、誰から学ぶのは難しいのか、それはなぜかということを考えることができる。

 このように、レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使うことで、人々の越境学習をより良い方法にするためのサポートができるかもしれない。越境学習については、研究がどんどん進んでいる領域なので今後も引き続き考えていきたい。

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