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『SHIFT:イノベーションの作法』をレゴ🄬シリアスプレイ🄬の文脈で読む(1)イノベーションのためのコラボレーション論

 『SHIFT:イノベーションの作法』は、ビジネスデザインのコンサルタントである濱口秀司氏による著作である。研究論文ではないものの、ビジネスでイノベーションを起こすための考え方が論理的かつ明快に体系化されている。

 その内容を紹介するよりも、「もう実際に読んでみてください」としたほうが良いぐらい文章もわかりやすいので、内容をまとめつつ進めるというよりは、この本から、いくつかレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドと関連させられると感じた部分についてピックアップしてNoteに書いていきたい。

 まず、今回取り上げるのは「コラボレーション」である。

 イノベーションためののアイデアも一人の天才に頼るのではなく(それだと天才がいないと話が終わるので)、チームで確率高く、イノベーティブなアイデアを引き出すための方法について語られている。

 ポイントは3つであるとされる。
(1)シンプルに語る。
(2)箱に入れる。
(3)アップグレードする。

 (1)のシンプルに語る、が特に最重要であるとされる。新しいことを考えるには、いきなり話し合いを始めず、まずじっくりと一人一人が考え抜くこと、その結果シンプルな説明ができるようにしてもらうのである。
 (2)の箱に入れる、の「箱は」「まとまりがある」状態を指す。写真撮るであったり、絵に描くなどが「箱」にあたる。
 (3)のアップグレードする、は「箱」を材料としてバイアス(思い込み)を見つけて、それを破るということである。バイアスを破って価値や特徴をシフトさせることがイノベーションの本質である。

 あくまで参考であるが、(1)(2)の個人作業で20分、その後、アイデアを5分程度で共有し、その後、どこにバイアスがあるかを議論した。その後、再び、バイアスを破る作品を10分程度で個々人で考え、そこから、それを再び持ち寄って5分ほどアイデアを共有したのち、最終的なアイデアのとりまとめを議論をするのに20分ぐらいかける、というモデルが示されている。大体1時間である。

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドにどう重ねるか

 (1)と(2)の個人作業は、お題について、各人でレゴ🄬ブロックのモデルで表現してもらうということになるだろう。この点については、標準的なレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドの進行に重なる。

 一方、アイデアの共有は同じであるが、その先の出てきたモデルを比較してもらうことで、そこに隠されたバイアスの発見をすること、および、それぞれのアイデアを一つにまとめていくところを全員で行っていくというメリハリの付け方は、そのままイノベーションのアイデアの創出ワークショップにおけるファシリテーションの仕方として参考になる。

 個人で考えること、全員で考えることのそれぞれの特徴を理解しておくことが重要であるということだ。

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