レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドのワークショップでは、参加者によって実に多くの情報が生み出される。

目的によって、どの記録を重視するのかは変わってくるため、そのことも考慮に入れて記録の対象について整理してみたい。

（１）モデル
　レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドを使ったワークショップにおいて、参加者は問いに合わせてモデルを作る。
　モデルの全体と部分の表現の形状や色には、参加者によって意味がつけられている。部分表現同士の空間的な配置（周辺にある、中央にある、上にある、下にある）ということにも意味がつけられる。

（２）ストーリー
　モデルを作った後には、そのモデルを使って参加者はストーリーを語る。
　モデルそのものとストーリーは微妙に異なる。ストーリーはモデルに表現された情報を一つにつなぎ、整理して語ったものであるからだ。
　そこでは情報が語られる順番が含まれる。順番にはモデルの部分表現の中での重要度の情報が含まれている。語り口調から、強調点がわかることもある。
　参加者にもよるが、モデルには表現されていない背景情報がストーリーに込められて語られることもある。逆に、モデルで表現されているが、ストーリーでは語られない情報もある。

（３）参加者同士の問いかけ
　作った人からモデルとストーリーが語られたのちに、同じテーブルの参加者やファシリテーターからモデルに対して問いかけがなされることがある。
　基本は、ストーリーの中で語られないがモデルの中で目立っている表現に向けられる。また、そのようなストーリーに至った理由などに対して問いがなげられることもある。
　モデルを作った本人が、あまり意識していなかった重要な情報がそこで出てくる可能性がある。

（４）モデルに関して書き下ろされた文章やメモ
　ワークがひと段落、もしくは終了する直前のタイミングで、作った本人にモデルについて解説した文章もしくはモデルを見てから考えたことを書いてもらうことがある。
　ここで出てくる文章には、ワーク全体つまり他の人のモデルやストーリーを聞いた経験の影響も含まれた形で文章が書かれる。参加者によって、書く文章の量や質にバラツキが出ることが多い（それもまた参加者の思考の表れではあるのだが）。

（５）参加後のアンケート
　ワークショップが完全に終わったのちに参加者にアンケートを書いてもらうことがある。ワークショップの満足度や印象について聞くことが一般的である。参加者のワークを通じた感情的な高揚度合いを知ることができる。時間を少しあけることで、ワークショップが終わった後の、普段の生活や仕事への変化などを内省して書いてもらうこともできる。

（６）ワークショップの設計と実施情報
　ワークショップの狙いや、進行表、参加者属性やグループ編成などがこれにあたる。特に、評価や分析をしようと考えるのであれば、ファシリテーターが用意した問いや進行の裏にある「狙い」についての情報が重要となる。
　「狙い」についても、全体の狙いのほかに、個々のプロセスについての狙いとその狙いのための方法の選択、その方法を支える方法論まで明確になっていると、より細かい検証がしやすくなる。

主な記録の対象となるものをあげてみた。
改めて見てみると、いずれも他にはない特徴を持っている。
そのため、実施したワークショップを分析したり、効果検証するときなどは、これらのどれを選ぶかについては慎重に選ばねばならないだろう。