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19歳息子が突然坊主頭に〜ブラジルの大学の新入生

 昨日、息子が突然坊主頭になった。一年の浪人生活から更に遅れること半期。この度大学入試に合格し、8月に彼はやっと大学生になる。こちらでは男子新入生(bixo ビッショと呼ばれる)は、髪を真っ赤など奇抜な色にカラーリングするか、丸坊主にする独特の慣習がある。そういえば我が家のバリカンをあてにして、息子の友達数人が我が家で丸坊主になったことがあったっけ。

 人様の息子さんが丸坊主になる姿を見て何とも感慨深かったものだが、とうとう自分の息子もその時を迎えたというわけだ。今回は我が家ではなく、友達の家にバリカンを持ち込んで刈ってもらうらしい。果たしてうまくいくものか?と多少の不安もあったので、

「近所の安い床屋さんでプロに刈ってもらえば?」

と一応おススメしてみたが、本人の決意は固く、昼食後にいそいそと出かけて行った。

 珍しく夕飯前には戻って来た息子。果たして文字通りの「ハゲ坊主」となっていた。ちょっと見、タイか何処かの修行僧の風貌だ。冬のサンパウロはここのところ冷え込んでいるので、そんな姿を見るだけで寒々しい。髪の長さは1、2ミリと言ったところ?考えてみたら彼は今まで坊主、スポーツ刈りのヘアスタイルにチャレンジしたことは一度もなかったのだった。

これは生後半年の写真。生まれた時に生えていた髪の毛は、しばらく経つと沐浴の度に抜け落ちて、一旦リセット。生え揃った頃の写真。今の髪はこの頃より断然短い。

 家族のwhatsappのグループで合格について報告して、カナダの義弟たちからもたくさんのお祝いの言葉をいただいた息子。

 「しばらくは出かけるたびにtouca(ここではニット帽の意味)を被らないとな」

と言う彼に、義弟のお嫁さんが

 「どうして⁉︎あなたはbixo(新入生)としての自分を誇りに思って、みんなにその姿を見せないと!」

 と言ってくれていたのが印象的だった。一応、半期先の州立大学の入試に最後のチャレンジをする予定だけれど、学業と入試の準備を並行して進めるのはなかなか大変だろう。でも、「若い頃の苦労は買ってでもせよ」とも言うし。学生生活が始まらないと様子は分からないが、引き続き頑張って欲しい。

 ブラジル学校全般で入学式という行事はない(卒業式は高校からある)ので、日本人の私からすると何とも物足りない感じがする。因みに、入学にあたり女子新入生(bixete ビシェッチ)が特にしなければならないことは何も無い。娘の場合はとにかく学業(建築)とバスケットに全力投球した5年間だった。

 息子も何かスポーツでも始めるのか?詳しいことは何も訊いていない。パソコンの壁紙やスマホの待ち受け画面にはガールフレンドの輝かしい笑顔が保存されていて、母親の私が見るのも照れくさい。右手の薬指には、恋人の証の、ガールフレンドと揃いのシルバーの指輪が輝いている。

 人の意見にはびくともせず、専攻する学科(心理学)を自ら選んだ息子。この先の学生生活が充実した日々であるよう、家族で陰ながら応援していこうと思う。基本的に、自分の道は自分で切り拓いていくと思うから。もう大人なので。

我が家のじーじの「蘭」がこの日を待ち受けていたかのように、3回目の開花を果たしている。天国で見守ってくれているのかな。


※ヘッダーのイラストが、今の息子の雰囲気にピッタリです(笑)


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