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【8】日ソ開戦前の状況~大笑いした日~

前回はコチラ。


今回はここから。
厳格でおとなしい祖父が「大笑いした」原因とは・・・?


部屋にキンセンカを飾るとは、風流。

ここ1週間官舎に帰る事は稀であった。
独身者ばかりの合同官舎に1部屋2名が割り当てられていた。
たまたま同寮の電報班の土井曹長は半月ほど出張のため留守で、その日の当番山田上等兵が机の上にキンセンカを飾り配給と言ってビール1本を運んできた。

栓をはらった処で改まって言うのには、実は今日、誤ってインクを畳の上にこぼしなかなか消えないので困ったと言う。
成程気付かなかったが毛布が敷いてある。
自分が使って栓を忘れたのかもしれない・・・と思いながら毛布をのけると、あたかも南アメリカの地図を想はせるようなインクの跡が残っていたので大笑いした。
彼が立ち去ったあとは物音1つなく、土井曹長の羽根ぶとんを借りて良い気分で寝てしまった。連日の疲れもあってかぐっすりと。


次回はいよいよ日ソ開戦の日です。


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