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【11】日ソついに開戦~簡単に絶たれた軍司令連絡~

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ソ連軍の侵入は幸か不幸か、師団長や軍直轄部隊長が、棭河集合時に起きたのである。
このため各団隊長は軍司令官より直接軍命令を受け、短時間で意思疎通や相互の協調ができたものと思はれる。

だが夜明けと共に東安爆撃の無線を最後にこの方面の連絡は簡単に絶たれてしまった。
虎林線は密山方面より侵入した敵のため平陽付近で遮断された。

文字通り陸の孤島と化した虎頭、荒木大尉の第15国境守備隊との連絡は絶え、ウスリー江を眼下に要塞重砲の巨砲の放列が対岸イマンの鉄道橋をはじめ重要拠点に照準をつけ、全山要塞地下壕の備えも空しく全滅したであろう。

敵の先峰部隊はことごとく戦車部隊で、国境全域より侵入中である。
午前中掖河の司令部には後方部隊の命令受領者が集合した。


牡丹江の経理部幹部教育隊派遣中の阿城の先輩 不動田准尉の顔も見え、妻子は阿城にあり、部隊は下城子付近で道路破壊と戦車に対する肉迫攻撃の命令を受け、これが最期になるかも知れないと言って固く手を握り合った。

午後になって家族移動準備のため支障ない者は交代で、又営外居住の独身者も身辺整理のため帰宅が許された。

女子軍属、軍人軍属以外の後方移動の計画ができた。
女子軍属は看護婦にと用意の手ぬぐいを鉢巻して夏軍衣に着替えて業務に当たり、官舎の家族は― 河越参謀長夫人をはじめ、退去をしぶり現地に生死を共にと願ったが、全般の統制上後退する事になり、輸送指揮には老練の関本副官が任命され、これに各部の軍属が1~2名づつ同行する事に決まった。


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