病名を貰ってから、本人にしか分からない病状との戦いがあったり、病気や障害を持った人の身近で同じように戦っている家族がいると思いますが、私が障害を持った子どもを育てるときにもうひとつ大切にしたこと、慎重に気を配ったことがあります。

【きょうだい児】…みなさんは、この言葉をお聞きになったことはありますか？

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【きょうだい児】とは、病気や障害を持ったお子さんと一緒に育っている兄弟姉妹のことです。
病気のための通院をはじめ、入院や手術の付き添い、病気や障害を持った子どものフォローなど、保護者が病児らのケアに追われることから、一緒に育っている兄弟姉妹が、孤独を感じたり、愛情を受け取れなかったり、自分の意思とは別に我慢を強いられたりするお子さんのことです。

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我が家にも、軟骨無形成症の弟を持つことになった【きょうだい児】がおります。学年は２学年上になりますが、生まれ年でいうと年子になります。
長男くんは面白いくらいに基本の育児書通りに成長していく感じで、小さいときから夜泣きはほとんどなく、予防注射も泣くこともなく、知らない人に抱っこされても笑っているような子どもでした。
ただ、早生まれということもあり、学年単位で見ると４月生まれの子とは約一年の差があるので、本人もそれなりの苦労をしたと思います。
次男くんが産まれたとき、私の出産が軽かったので、出産中の分娩台横での応援もでき(笑)、退院後の育児もそこまで体がきつかったという覚えもありませんでした。

そんな中、兄弟揃って幼稚園の運動会に行ったときに感じた違和感がきっかけとなりました。
その頃の私は【きょうだい児】という言葉すら知らず、ずいぶん後になってから、認識した覚えがあります。
それぞれが出場したお遊戯や玉入れ、そしてメインとなるかけっこ…長男くんは運動会も慣れたものでドキドキしながらも楽しめました。次男くんは今年が初めての運動会で、少しずつ周りのお子さんとの身長の差が出始める頃でもあり、体形も微妙ながらも少し背の小さい子という範囲だったと思います。幼稚園の先生をはじめ、園児もその保護者の方も病気のことは伝わっており、みなさん温かく見守ってくださいました。
いよいよ始まったかけっこで、どんどん引き離される次男くん…もちろん足が短く歩幅が小さい次男くんはビリでしたが、転けることもなく全力で走り抜けました。そこで頂いた大きな大きな拍手。中には泣いてくださる保護者の方もいて、幼稚園の先生からもたくさん誉めていただきました。
『偉い。良く頑張った！』本当にその一言に尽きます。ここまで来るまでの選択が、間違ってなかったと、誉めていただいた気持ちにもなりました。
その光景を私だけじゃなく、長男くんも見て思うことがあったのでは…別に本人から何かを言われたのではありません。細かいことを気にする方ではないので、もしかしたら長男くん自身は何とも思ってなかったのかもしれませんが、冷静に考えたら頑張ったのは長男くんも一緒だということ…。
毎年全力で頑張って上位だったのも素晴らしいこと。ただ周りに感動を与えられるかということとは、別のことなのです。

長男くん、次男くんが同じ小学校に行き、６年生と４年生のマラソン大会のときも、長男くんは年々順位を上げ、６年生では念願の１桁の順位を手に入れ大喜び。ほんと頑張った。もちろん私も大喜び泣けてきました。
そして続けて始まった次男くんの初めてのマラソン大会は『笑われるから…』と朝から出るのを渋りましたが、『ビリでもいいじゃない。順位じゃなく走ることに意味がある』と説得し出場。まずは校庭を１周、学校の周辺を３周、そして最後にまた校庭を１周するという距離。他のお子さんとの身長差もかなりあり、歩幅を比べると２～３倍の運動量になり、想像以上の長距離マラソンになるのです。
しかし、ここで起きた大誤算…次男くんは、ビリではなかったのです！本人もそうですが、私もてっきりビリだと思っていたので、違う意味でビックリしました(笑)途中で体調が悪くなったお子さんは別として、走れずに歩きながらゴールを目指すお子さんが数名…その横を短い足でちょこちょこと追い越していくのです。ゴール直前で追い越されたりしましたが、最後まで走り続けてゴールしたとき後ろから数えて３番目でした。いやいやいや、お見事！この後の５年生、６年生のマラソン大会も後ろから３番目をキープしました(笑)
ここでもまた、大きな拍手と、先生や保護者の方が泣きながら『感動しました』と誉めてくださる。有り難い。本当に感謝ですね。我が子ながら良く頑張ったと泣けてきました。

でも…頑張ったのは長男くんも同じこと。

あの場にいて、次男くんに感動して泣いてくださる方を長男くんはどう見ていたんだろうか？
幼稚園のときは、幼くて何も気にしてなかったかもしれませんが、小学校の高学年ではもしかしたら、また違ったように見えたのではないでしょうか？
同じように頑張っても周りから誉められるのは次男くん。少しの頑張りでも目立ってしまうのは次男くん。お互い頑張ってるのだから、お互い誉められなくちゃね。

頑張りは人それぞれ違います。頑張る過程もそれぞれです。その頑張った姿は見てくださる方によってもそれぞれ違います。見え方、見せ方が違うと同じ頑張りでも人によっての自分への評価が違ってくるのです。
私は出来るだけ平等に誉めるようにしてきましたが、いつの頃か長男くんへの褒め方が変わった気がします。微妙なことですが、もっと大袈裟に、細かいところまで誉めるようにしていました。特に、次男くんがいないところでです。

【きょうだい児】という言葉を知ってから、障害がある方はもちろん、その兄弟姉妹の心のケアも重要だということを知りました。大きくなって、子供のときに持った心の傷が残り、負担になり、兄弟関係が悪くなるという話もたくさん耳にします。

我が家では、そんなことにならないように出来るだけ努めてきました。私は今後の長男くんの次男くんに対する思いや彼自身が持つ優しさ、自分の置かれた立場を理解しながらの成長に期待したいです。
そして次男くんには、あなたの少しの頑張りが人の心を動かせるということ、自分のハンデが武器になることをいい意味で生かして、個性を発揮して生きていってくれればと期待します。

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。これからも感謝しながら、丁寧に少しずつ軟骨無形成症の洋服製作、軟骨無形成症を広めることを頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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