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断食合宿に参加してきた|その4|最終日

二日目の晩はわりとぐっすり眠れた。
翌朝6時前から隣のひとが起き出す。普段から朝の目覚めがすっきりしないわたし。さらにこの朝は熱っぽいので隣の起き出す気配をかんじつつまた布団にもぐりこんで、ヨガの開始ギリギリ6時半前までごろごろしていた。

寝ていた二階から、一階に降りるのがよろよろ。昨日夕方はあんなにハイで楽しかったのが起きたら魔法が醒めたかのようにローで頭もはっきりしない。検温しながらタミさんに伝えると「全然食べていないからね、あたりまえ」ちょっとホッとした。

やっとのことで身体を動かしながら、食べ物を食べていない、ってこんなに力が出ないんだなと気づく。95歳になってまだ健在の祖母がよく「色々やりたいとおもっても身体がもうついてこない、動かせない。それがもどかしい、くやしい」とこぼす。年寄りの気持ちが少しわかった気がした。

ゆっくり身体をかんじながらのヨガ、そして呼吸法、お祈り。朝のルーティンが終わったら、いよいよお待ちかねの回復食。明けてみればあっという間、土曜日まるごと一日が長かった。

カフェスペースに移動してダイニングテーブルに座る。まずは梅干しを入れたお湯をどんぶりサイズのボウルに各自用意して、ゆっくり飲みはじめる。梅干しの塩味、酸っぱさが身体に沁みわたる。飲み終わったひとから梅干しを少しほぐして、もう一杯。だいたい五〜六杯飲む。

途中から、生野菜。にんじん、キャベツ、大根、きゅうり、いずれも地元・信州産。最初は生で、それから塩をつけたり、味噌をつけたり。それぞれの野菜がもつ甘み、辛味、苦味…こんなに野菜ひとつひとつを大事に、よく噛んで味わって食べたことがあっただろうか。

そろそろ、それぞれにトイレが近くなってくる。急激に何かからだにわるいものを摂ったかのように、席を立ち、頻繁に行くようになる。梅湯と生野菜を摂ることが刺激となり、まずは水のようなもの、そして宿便が出てきた。

最後は緑豆、米、ゴマ、キビなど7つのチャクラに合わせて7種類の食材を使った、やさしいおかゆ。ひと口含むたびにホッと落ち着き、穀物の甘みがからだを落ち着かせ、この場に生をよみがえらせてくれた。

わたしはなぜか眉間が痛くなってきて、みれば眉間ジワもできていた。断食が終わった安堵感とともに、これからについての明確な答えが合宿期間中に見出せたわけでもなく、このまま帰ることにどこか不安を感じていたのかもしれない。眉間にある第6チャクラに対応する食材はゴマ、これを多く摂りましょうとアドバイスいただいた。

今後の回復食については、三日間は刺激の少ない食事をこころがけること。食べ物、飲み物によってどんな影響があるかたしかめ、みていきながら、回復食から徐々に普段の食事に戻っていってよい。

それぞれ感想をシェアし終わって、ふと「断食三日間やりきった自分に感謝!」と出てきた。もちろんご指導くださったタミさん、一緒して見守ってくれたやさしい仲間たちにも。これまでならやりきった自分に感謝、と言えなかった自分がそう感じていえるようになったのでも十分な成果があったように感じた。

帰り道、身体はものすごくすっきりしていた。おヤセのわたしはさらに胸がなくなった(泣)、着ているものがゆるい。それでも身体は軽いし気持ちよく動く。といってもテキパキ動こうという脳スイッチは切れて、自然にゆっくりとした動きを選ぶようになっている。

断食中の、これまでと違う世界にいたような状態から、今まで知っている日常的な世界に戻ってきて、今いるこの世界の様子を慎重に、そして新鮮に味わっていく。生まれ変わったような感覚。クルマの運転も力みが少なく感じる、開けた窓から入ってくる風が心地よい。自分がここにいて、それを客観的にみている自分もいて。整っているってこういうかんじ

(つづく)


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