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JW23 草香江を渡って

【神武東征編】EP23 草香江を渡って


紀元前663年2月11日、狭野尊(さの・のみこと)(以下、サノ)一行は、大阪湾を経由し、難波(なにわ)に辿り着いた。

難波へ

ここで、味日命(うましひ・のみこと)とサノの息子、手研耳命(たぎしみみ・のみこと)(以下、タギシ)が、難波についての解説を始めた。

味日(うましひ)「浪が速いんで、浪速(なみはや)と言われるようになり、そこから転じて難波になったんやじ。」

タギシ「浪速以外の名前もあるぞ。知っておるか?」

味日(うましひ)「浪花(なみはな)っちゃ!」

タギシ「正解!」

そこへ次兄の稲飯命(いなひ・のみこと)が会話に加わってきた。

稲飯(いなひ)「これで、海を進まんでも良いようになったわけや。まこち(本当に)良かったっちゃ。」

サノ「兄上は、海が嫌いなのですか? 我らは海神の孫にござりまするぞ。」

稲飯(いなひ)「それは分かっちょる。じゃっどん、あんなに船酔いやら、嵐やらに遭遇するとな・・・。もうコリゴリや。」

サノ「じゃっどん、宇津彦(うつひこ)や、亀一号、二号、槁根津日子(さおねつひこ)などに出会えもうした。いい思い出もありまする。」

稲飯(いなひ)「これが、二千年後で言う、ポジティブシンキングっちゅうやつか・・・。」

そこに三兄の三毛入野命(みけいりの・のみこと)(以下、ミケ)も参戦してきた。

ミケ「兄上の言う通り、もう海はコリゴリや。これからは陸を歩くだけでいいのかと思うと・・・こんなに嬉しいことはない! 最高っちゃ!」

味日(うましひ)「ちなみに、我々が上陸した、北側の先端部分の岬を難波碕(なにわのみさき)と呼ぶっちゃ。そして、この地に、我が君が神様を祀(まつ)ったという伝承が残っちょるんやじ。」

難波碕

ミケ「えっ? 祀ったっけ?」

稲飯(いなひ)「ちゃんと台本を読めっ! 生島大神(いくしまのおおかみ)と足島大神(たるしまのおおかみ)を祀ったやろ!?」

サノ「たしか・・・現在『生玉(いくたま)さん』の愛称で呼ばれている、生国魂神社(いくくにたまじんじゃ)の起源が、我にあったような・・・。」

稲飯(いなひ)「あるっちゃ! 神社は、豊臣秀吉(とよとみ・の・ひでよし)が大坂城を築城するまで、上町台地(うえまちだいち)の北端に鎮座してたんやじ。現在の神社は、大阪市天王寺区にあるっちゃ。」

生国魂神社1
生国魂神社2
生国魂神社3
生国魂神社4
生国魂神社5
生国魂神社6
生国魂神社鳥居
生国魂神社拝殿
河内湖(草香江)
秀吉時代の大坂城

タギシ「島が生まれる状態を表したのが、生島大神(いくしまのおおかみ)で、島として成長して、満ち足りてる状態を表したのが、足島大神(たるしまのおおかみ)らしいですな。」

稲飯(いなひ)「草香江(くさかえ)からの土砂で、上町台地の陸地面積が増えていったことを表すみたいや。」

味日(うましひ)「それだけじゃないっちゃ。同神社では、鎌倉時代まで、天皇の御衣(おおんぞ)を海に向かって振って、大八洲(おおやしま)の霊を身に付ける即位儀礼(そくいぎれい)がおこなわれてたんやじ。」

八十島祭り

稲飯(いなひ)「八十島祭り(やそしままつり)やろ?」

味日(うましひ)「さすがは稲飯様。その通りです。」

そのとき、長兄の彦五瀬命(ひこいつせ・のみこと)(以下、イツセ)が不敵な笑い声を上げた。

イツセ「はっはっはっはっ。」

タギシ「伯父上? 如何なされました?」

イツセ「わしらは、まだ船から降りぬぞ。まだまだ航海は続くんやじ!」

稲飯(いなひ)・ミケ「えっ?! まこっちゃ(本当)?」×2

イツセ「まこちっ! わしらは、そのまま草香江を進んだんやじ。」

稲飯(いなひ)・ミケ「兄上! 海でなければ、何も問題ないっちゃ! 我らは嵐に遭遇したり、波に揺られるのが嫌やったんやじ!」×2

イツセ「よし、そういうことなら、次に向かうっちゃ。目指すは、河内国(かわち・のくに)の草香村(くさかむら)にある青雲(あおくも)の白肩津(しらかたつ)や!」

こうして、一行の船団は、草香江を横断。

災難にも遭遇せず、無事、白肩津に上陸した。

白肩津へ

紀元前663年3月10日のことである。

味日(うましひ)「ちなみに、上陸地点は、現在の東大阪市の日下町(くさかちょう)やじ。」

日下町1
日下町2
日下町3

ここで、一代目と四代目の混合物、Seesawが疑問を投げかけてきた。

Seesaw「これから中(なか)つ国(くに)に入るわけですが、どういう道を進んでいくんです?」×2

ミケ「まあ、普通に考えれば、この山を越えて行くことになるんやろうな。」

山を見上げて

稲飯(いなひ)「アホか! こんな険しい山を登るんか? もっと良い道があるはずっちゃ。それを探すんや!」

イツセ「稲飯の言う通りっちゃ。良き道があるはずっちゃ。」

こうして一行は、斥候(せっこう:探索部隊のこと)を出して、いろいろ地形を調べることにした。

斥候役には、筋肉隆々の日臣命(ひのおみ・のみこと)が就任した。

日臣(ひのおみ)「台本に斥候の話なんてなかよ? なして、わしがこんな役目を負わされてるんや?」

イツセ「作者の意向に従わねば、槁根津日子(さおねつひこ)のように、いないことにされるかもしれんぞ。それでもええんか?」

日臣(ひのおみ)「い・・・いやっちゃ。」

サノ「では、すまぬが、斥候の大任、引き受けてくれ。」

日臣(ひのおみ)「しょ・・・承知致しました。」

こうして、日臣命は斥候の旅に出たのであった。


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