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設計課題の記録 - 初設計課題

 もう1年半が経つが、大学に入って初めて取り組んだ設計課題について、記録しておこうと思う。

 1年目で作った設計の中で、これが一番お気に入りで。

 どうやってこれを形にしていったのか記録しておく。



課題内容

 課題のタイトルは、「数学者の週末住宅」。
 数学者の女性が週末を過ごす別荘を設計するという課題。

 敷地は森の中、木々に囲まれているが少し開けた土地で、敷地内には小川が流れている。

 著作権の関係上、配布された敷地図面は見せることができないので、ここでは簡単に作った敷地模型をお見せする。

真ん中の白い部分が小川。手前側の白い棒の位置に木。
スケールの把握のために人型模型を置いている。



設計

 まずは設定上の依頼者のことを考えた。
 なんでこの人は森の中に家が欲しいのか。
 この人が好きな場所ってどんなのだろうか。
 数学者は、自分の家にどんな数学的な要素があったら喜ぶだろうか。

 もちろんすぐに黄金比のことは思いつく。
 黄金比はパルテノン神殿にも用いられているほど。

 そして、5角形の1辺の長さと、対角線の長さの比率が黄金比であることに思い至り、5角形を構成するシェイプを軸に考えていく。

 5角形の対角線2つと辺1つでできた二等辺三角形を、キャンチレバーのように張り出してみたり、上から見たら5角形になるようにしてみたり。

 何枚もスケッチして模型も作っていろいろ試しているうちに、正12面体にたどり着く。
 正12面体は、全ての面が正5角形で構成されている立体。
 この形なら、同じ幅・奥行き・高さの直方体の箱よりも、空間の広がり方に変化が生まれる。さらに東西南北という4つの方向軸を意識しなくて済むので、外界とは切り離された自分だけの宇宙を創ることができると思った。

正12面体にたどり着くだけで数十個の模型を経た。


 ここからは建物の角度を調整したり、敷地内にある川がちょうどいい角度で見えるように方向を調整したり。
 あと12面体の中にリビングや寝室、キッチン、浴室などを配置するために平面構成を試行錯誤したり。
 川に向かう傾斜を下っていくために、5角形の床スラブを配置したり、外構の工夫も途中途中で検証した。


開口と採光の検討。

 12面体の面のうち1つをガラスにした。

12面のうち1面を建物外側に倒して床板にして、空いた部分をガラスにするアイデア。

 思索や研究に集中するためにそこだけを開口にする予定だったが、上からの光も欲しいと思い、12面体の辺のうち4か所に縦長窓を設ける案を思いつく。

4つの縦長窓のうちの一つ。

 さらに、その4つのうち1つを真北に向けると、元々あった開口部の角度もちょうどよくなった。

 この決定をしてから気付いたことだが、その北の縦長窓からは北極星が1年中見れるようになることに気づく。
 友人が、数学は宇宙の言語だと言っていたのを思い出し、これを採用。
 建物や敷地周辺だけでなく、宇宙規模の数学を感じられる家になった。



提出物

 最終的に提出した模型がこちら。

※敷地模型は、授業で学校側が準備してくれていたもの。

 今見ても思うが、入口の工夫が足りない。



課題を終えて

 この課題でのデザインプロセスが一番使えるかもしれない。

 まず要望、条件を頭に入れ、本当は何が求められているのかを見つけ出す。
 次に、その要望をヒントにして、基本シェイプを決める。
 そこから動線や部屋割りなどを何度も試して検証し、同時に外との関係を上手くつなげる。
 最後に、基本コンセプトとはちょっと離れたところで、使う人が好きになるような、楽しくなるような、「ちょっとした仕掛け」をトッピングする。

 これで案の完成。


 いろいろ学ぶうちにプロセスが変わっていってしまったけど、前回の図書館の課題の時も、これと似たプロセスで設計したら上手くいった。
 これがいいのかもしれない。

 もちろんもっと試行錯誤はしてみるが…

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