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振袖が受け継いでくれたもの

私が着物に触れた一番遠い記憶では、成人式に着るための華やかな振袖だったと思います。

またそれは、着物に対して憧れを持つきっかけでもありました。

親戚の知人に京都で呉服屋を営んでいる人がいて、振袖と帯を何枚か持ってきてくれ、その中から母と叔母達が選んでくれました。

その振袖は、何も知らない私が見ても高価そうで素敵だなと思う品物で、一目見て心を奪われてしまい、一生大切にしないといけないなと思ったことを覚えています。

成人式のあとに友人や先輩の結婚式で振袖を数回着ましたが、三年後に結婚したため、残念な事に、母の桐ダンスで眠ることになりました。

その後、女の子が生まれ、二十歳の成人式には私の振袖が着られるわねと、母も楽しみにしておりました。

その母は病にかかり、三年前に他界しました。

あまりにも悲しみが深く遺品整理もできずにいましたが、亡くなってから約一年後、不意に母の桐ダンスがに気になり開けてみました。

いつでもすぐに着ることができるように、私の振袖一式がきちんと収納されており、亡くなってからも母の愛情を感じることができて涙が止まりませんでした。

今年、娘が二十歳になり成人式を迎える年になったため、事前に羽織らせてみたところ、とてもよく似合いましたが、身体が大きくて裄が足りず、娘には新しい振袖を購入することにしました。

記念写真だけでも私の振袖を着せて残そうということになり、スタジオで撮影してもらいました。

その姿を見て、娘の成長をとても嬉しく感じ、同時に、きっと母も二十歳の振袖姿の私を、こんな風に見ていたんだなと思い、胸がいっぱいになりました。

母から私へ、私から娘へ受け継がれた振袖にはたくさんの愛情が込められており、母が亡くなっても振袖を通じて愛情を感じることで気持ちが温かく膨らみました。

着物について学び始めて一年が過ぎましたが、まだ着姿に自信を持つことができず、身についた知識もほとんどありません。

でも着物は私にとって心豊かにしてくれるものです。

着物って素敵だということを周りの人に伝えることができるくらいの知識や美しい着姿が身につくよう、これからも学び続けていきたいと思います。

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