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ダメに生きる。映画『ゴーストワールド』紹介

こんにちは。きなこもちです。

みなさんは『ゴーストワールド』という映画をご存じですか?

2001年の映画で、知る人ぞ知るカルト映画です。私はこの映画がとても好きで、昔一度観たんですけど、もう一度観たくて探してたらメルカリでDVDを売ってる人がいたので、最近購入しました。

今日は『ゴーストワールド』を紹介します。

あらすじ

イーニド(ゾーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)は同じ高校に通う同級生。卒業式が終わってホッとしたのもつかの間。イーニドにだけ美術の補講にでないと卒業を取り消すと学校から通達される。二人は卒業後に一緒に暮らす話をしていたが、早速厳しい状態に立たされた。しかし卒業したばかりで気分も浮ついており、この時はさほど深刻にもとらえず、趣味の人間観察を通して周囲の人をバカにしたあだ名をつけたりして遊んでいた。

ある日、ダイナーで何気なくみた新聞広告にバスで出会った女性との再会を求める男からの投書を見つけた。その内容が絶妙に気持ち悪く二人はバカにしていたのだが、レベッカが「その女のふりして呼び出してみよう」といたずらを提案し、イーニドはそのアイデアに乗っかってさっそく電話をかけることにした。

指定した日時に集合場所のダイナーに向かうと実際に男(スティーブ・ブシェミ)がやってきた。想像よりも気持ち悪く、最初は声をかけようかと思っていたが、結局遠巻きに男がミルクシェイクを頼むのを見るだけになってしまった。男の方も約束の時間に女が現れないのであきらめて立ち去り、そのタイミングでイーニドたちも席を立つことに。その直後ダイナーを出たところで、男の車がトラックとぶつかりそうになる現場に遭遇。男が車の中でブチ切れる様子を見て、言葉を失ってしまう。

だが、イーニドは
「あの男をつけてみよう」
と興味本位で言ってしまう。ここから男とイーニドたちの奇妙な関係が始まる。

おすすめポイント①登場人物のクセが強い

あらすじだと簡潔に書くのでどうしても出せるキャラ名が少なくなってしまうのですが、チョイ役も含め結構なクセのキャラクターがたくさん出てくるのが、この映画の魅力の一つです。

気の弱いコンビニ店員のジョシュ。そのコンビニの常連上裸ヌンチャク男のダグ。ダイナーの店員、不気味くん。来ないバスを待つおじいさんのノーマン。自己完結おばさん、美術の先生。空気が読めないイーニドのお父さんとその彼女。
ざっくりあげただけでもこんだけいます。

個人的に好きなのはダグですね。あまりにもストレスが溜まりすぎて上裸でコンビニに来て、店先でヌンチャク振り回して、車から大音量の音楽を鳴らす…。とても迷惑な人なんですが、可能な限り店を守ろうとはしていて、ジョシュが危険な目にあいそうになったときも一番に助けてくれるとてもいい人でもあるんです。見た目のインパクトとキャラクターがナイスなので、ぜひ見てほしいです。

おすすめポイント②全然さわやかじゃない青春映画

『ゴーストワールド』をさわやか青春映画だと思って見始めると、とても痛い目を見るのでやめましょう。むしろこの映画は青春時代の痛々しさ、すごい人になりたいけどなれない、なり方がわからない、もぅマヂ無理消ぇてしまいたぃ、そんな気持ちをエグるような映画です。だがそれがいい。しかもラストも救いがないところがとてもいいです。

青春映画って往々にして主人公たちが痛い目に遭いつつも何らかの気づき、学びを経て成長する感じで終わるのですが、この映画はイーニドがひたすら痛々しく、周りの人間に不幸をばらまいて、自らも自滅していきます。特にイーニドがレベッカとすれ違い二人の間にある溝がどんどん広がっていくにつれ、イーニドの破滅行動もどんどんひどくなっていく…。劇中最初の方こそ、登場人物の個性でコメディタッチに仕上がってるのですが、果たして最後まで見た人にとって笑えるか、ここはかなり怪しいでしょう。

でもちゃんと青春映画だとは思うんですよ。青春映画って大人になってから青いなって思えることを描いてるものと私は思ってるんですが、イーニドの行動も私が若いときに同じ状況に置かれたら似たような破滅行動を取った可能性はあるなと、思うところあったんですよね。彼女の破滅行動はちょっと引いちゃうところもあるんですけど、まぁわかるっていうラインで、そこが絶妙なんです。もちろんこんな青春なんか送ってたまるかって思う人もいるでしょうが、スクールカースト低めだとまぁこんなもんですよって思います。絶妙に劣等感を煽ってくる映画です。

おすすめポイント③ブシェミがエロい

ここですよ!!ここ!!ここ重要です!!
あの変人をやらせたらピカイチの性格俳優スティーブ・ブシェミから絶妙な色気が出てるんですよ!『レザボア・ドッグス』とかも色気があるんですけど、あの時とはまた全然違うのです。

中年の枯れた男の色気っていうやつですね。イケおじとも違う、中年ダメンズの謎の引力というか。ブシェミ以外がやってあの色気出るのか?っていうと仮に色気が出せたとしてもなんかもう別物になってしまうと思います。ブシェミだからいいんです。

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私はこれをはじめて見た当時確か20代前半で、イーニドと年が近かったのです。だからかイーニドと余計に共感しちゃって、画像のシーンで超滾ったんですよね(だからこそ、その後のイーニドには頭にきたんですが!)。このシーンでヒャッハァーとなる人、友達になれる気がします。

そして最近買ったDVDでこのシーンを見直したら…魔法が解けてしまいました…。ブシェミはエロいとやっぱり思いましたが「イーニド、こいつクズやぞ。やめとけ」って気持ちがわきましたね。付き合ってるダナがいながら、これはなーと冷静になってしまいました。

とはいえ、このシーン含めブシェミ祭りのとてもいい映画なので、ブシェミが好きならぜひ見てください。

おわりに

というわけで『ゴーストワールド』の紹介でした。可能な限りネタバレしないでの紹介なので、どうしても私のお気持ち表明が多くなってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。よさそうと思った方はぜひぜひ一度ご自分の目で『ゴーストワールド』をご覧ください。

ちなみに、映画ではなくDVD固有のおすすめポイントがあります。それはキャストへのインタビューなのですが、中でも特に監督へのインタビューがとてもよいです。監督が妻に「ブシェミをキャスティングするよ」と伝えたら「何ですって!ブシェミとだったら不倫してもいいわ!」って叫んだって話が聞けるんですが、最初笑いながら話してたのに言ったそばから「俺は何でそんな話をしてるんだ?」と真顔になってくのが本当にウケます。

ブシェミがイケメンだと思ってるのは私だけじゃなかったんですね。

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