見出し画像

鳥山明を偲ぶ

夜の長屋の居間では
古びた畳の上にブラウン管TVが据え置かれ

TV台の下にはジャンプコミックス。

ファミリーコンピューターと
スーパーファミコンが
ケーブルをつながれたまま
臨戦態勢だ。

ゲームカセットのラベルには
髪が逆立った勇敢な戦士が描かれている。


「今日のドラゴンボールどうなるんかな」
『楽しみだね。あ~1時間やってくれたら
いーのになぁ〜』


兄と僕はドラゴンボールが大好きだった。

少年編と成年編が放送された当時を
リアルタイムに家庭で過ごした。

一週間の区切りがサザエさんではなく
ドラゴンボールだった。


「あー!!母ちゃんセーブデータ消えたぁ!!」

『何意味分からないこと言ってんのよ
仕方ないじゃない。ブレーカー落ちたのよ。』

「っっ!!母ちゃんいまは掃除機ダメ!!!」
カチン。ファミコンの本体にノズルが当たる。

TV「ツー、、、、、。」


「な、なんてことすんだよぉお!!!2時間頑張ったのに!!レベルめっちゃあがったんだよ!?」

『あんたらが掃除しないからでしょうよ
もろい機械だねぇ。今ので壊れたの?』


ドラゴンクエストだって学校のプリントより
何時間もこなした。

僕らにとって鳥山明のアニメとゲームは
日々の原動力であり学びだった。


チラシのウラにジャンプの表紙の悟空を
模写しては
クーピーペンシルでリアルに色付けした。
コクヨのノートは板書より
アニメキャラやゲームの装備品のイラスト
で埋め尽くされた。

鳥山明が描く世界は全てが魅力的で
乗り物は近未来的かつ先時代的なデザイン。

悪役は気持ち悪いけど魅力的で
全てのキャラクターに愛着があった。


かめはめ波が打てるように
腕立て伏せやランニング、
構えをたくさん練習した。

そりゃあまぁ。打てなかったケド。

肩パンの代わりに魔貫光殺砲が
肩にめり込むのは兄弟ゲンカのおきまりだった。(ただ2本指が肩に強烈に叩き込まれる)
      めっちゃ痛い。


映画館を楽しめたのは
劇場版ドラゴンボールがあったからだ。
付録を売店で母にねだりまくった。

キーホルダーが黒いランドセルに
給食着とともにぶら下がっていた。


かけっこを楽しめたのは
界王拳で足が早くなった気分になったからだし

山盛りのごはんを美味しくたべられたのも
悟空が作中で美味そうにメシを喰うからだった。


名シーンは今でも脳裡に焼き付く。
夕飯の匂いとともに。
母の声とともに。


「ほら、もうごはんよ〜TVばっかみてないで。」


ブラウン管にかじりつく僕ら二人は
目をキラキラさせながら
鳥山明の作品に夢中だった。


いい思い出をたくさんありがとうm(_ _)m。

ご冥福をお祈り致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?