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MMTが失敗する話

2019年頃からにわかに注目されだしたMMT(現代貨幣理論)。この理論は要約すると日本のような自国通貨を発行できる国では、自国通貨で国債を発行している限り財政破綻することはなく、インフレにならない限り国債を発行しても問題ないものだとされている。また、税は財源ではないので100%国債で予算を組むことも問題ないという。

このMMTに基づく財政政策は果たしてうまくいくのか。結論から言うと失敗必至である。日本でMMTを主著する識者は、物価上昇率2%になるまで財政支出を続ければ好景気になりそれを超えるようなら増税を行い抑制すると主張しているが、そもそも2022年以降で物価上昇率は2%を超えており彼らに言わせれば今は増税の時期という話になる。それに、物価上昇率が高まれば必ず好景気になるという説もおかしい。

また、MMTの致命的な欠点として外貨の存在がある。当然ながら日本は海外との貿易で成り立っているので、為替の変動が国民生活に影響を及ぼす。MMT理論では、とにかく円を発行することになるので円安を誘発させ輸入の比率が多いエネルギーや食料品の高騰を招く。このような無茶苦茶な発想の経済政策をされてはたまったものではない。

日本のMMT論者達はかつてはリフレ派という、金融政策による経済成長を目指す派閥に属していた。しかし2014年の消費増税以来、財政支出による経済成長を主張するようになり、2019年にステファニー・ケルトン氏のMMT理論に飛びづいた。ケルトン氏の主張では、MMTとは失業対策のための財源確保のために出された理論であり、そこに経済成長という発想はなかった。だが、日本のMMT論者はそれを経済成長のための理論として取り上げ盛んに喧伝するに至った。

彼らは更に、リフレ派が主張する説も取り入れた。それが前述した「物価上昇率2%になるまで~」の文面である。こうして、今の和製MMTともいうべき理論が出来上がった。この理論は、現状の生活に不満を抱く層には極めて魅力的に見えるようで、X上でたまにトレンドに上げる活動が行われているようだ。しかし、内容としてはあまりに現実離れしたものであり、インフレになったら増税するなどの案は民主国家では不可能と思える。彼らの主張通りの経済政策が行われだしたとき、それは日本が独裁国家になった時だろう。

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