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原油価格膠着状態について 2023/07/03

米国ドライブシーズンにより増加すると予想されるガソリン需要と先月のロシアの政治情勢、及びOPECプラスのサウジアラビアの単独減産という三つの材料により、先月から70〜68ドル(WTI価格)での膠着状態が続いている。

この価格膠着状態を打開するトリガーはあるのだろうか。

状況を打開する材料


【結論:中国の指数】

価格膠着状態が発生する前は主に中国の景況感に係る指数に焦点が当たっていた。
中国の原油消費量は世界2位であり、中国の消費動向から目を離せない。

よって、中国の6月の経済統計によって価格が動く可能性がある。
現時点では、製造業PMIが発表されており、予想を0.1p下回り49.0pであった。
先月比0.2p増ではあるが、好不況の目安である50pを3ヶ月連続で下回っている状態だ。

今後発表される自動車生産台数や鉱工業生産指数の内容によっては、現在の状況を動かすトリガーになりうる可能性があるので注視したい。

市場と生産者での需要予測の違い

現時点でのガソリン先物市場は2022年を除いた同時期の過去5年を上回り、市場はアメリカのドライブシーズンによる需要増加を期待しているようである(現時点では2.5ドル近辺)。

しかし、一方の生産者サイドの需要予想は異なるようだ。

EIAが公表する週間石油在庫量のデータによると今年のガソリンの在庫量は過去5年の同時期(6月4週目)の量を下回っている。

また、例年であればこの季節はガソリン需要の増加を見越して生産者の発注により、リグの稼働数が上昇するが、今年は少しずつ下落してきている。

つまり、市場はドライブシーズンによってガソリン需要の増加を予想しているが、生産者は需要が増加しない、若しくは何らかの事情により在庫を確保できない状態に陥っていると考えられる。

生産者側の状態


ドライブシーズンの盛り上がらない懸念として、第一に挙げられるのはおそらく利上げリスクだ。

米国はインフレ抑制を目的として利上げを続けてきた。

6月27日ロイターの記事によると「モルガン・スタンレーは27日、米連邦準備理事会が7月に25ベーシスポイントの利上げを実施すると予想した。」とある。

この状態を考えると、生産者サイドは利上げ懸念により在庫を増やせないのではないだろう。

ただ、先週は上記のような状態であったが、6月30日発表の5月の米個人消費支出物価指数でコア指数が前年同月比4.6%上昇と4月実績(同4.7%上昇)と市場予想を下回ったという事実があり、米利上げ観測は少し低下したと考えられる。

現在のタイミングでは米国の消費に関する指数も中止する必要がありそうだ。

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