西側諸国のジレンマ・ウクライナ支援が滞り原油価格が跳ね上がる可能性
現在、WTI価格は78ドル近辺で推移している。
親イラン派フーシによる拿捕や攻撃の影響で船舶が紅海を迂回することになり、このところ、価格が上昇しているとみられる。
さて、上昇を続ける原油価格だが、筆者はここにきてウクライナへの支援の減少及び停止が原油市場に大きなダメージがあると考えている。
今月21日、ウクライナがロシアの石油関連施設を無人機ドローンで攻撃したことにより、操業停止に追い込まれた。
今後ウクライナへの支援が減少すれば、筆者は石油関連の施設が危険に晒され、原油価格が暴騰する可能性もあると考えている。
市場では需要面が弱いことから、供給サイドが逼迫しても大きな影響はないとの予想があるが、油断は禁物である。
ウクライナ支援の足並みが揃わない
現在、欧米では長引くウクライナ戦争に対し、ウクライナへの支援の継続が難しくなり始めているようだ。
ヨーロッパでは、「支援疲れ」がすでに蔓延しており、ハンガリーが先月、EUが計画していた500億ユーロのウクライナ支援計画に対して拒否権を発動しており、足並みは中々揃わない状況である。
また、アメリカでは共和党議員が600億ドル(約8兆9000億円)のウクライナ向け支援の承認を阻止しているという状態であり、こちらもまた足並みが揃っていないようである。
さらに、アメリカは中東での親イラン派フーシへの対応に追われている状態でもある。
「無敵の人」状態になる可能性
西側諸国がこうしてウクライナへの継続する資金支援を続けられなくなれば、どうなるのだろうか。
ロシアは輸出収入の約7割程度を占めるエネルギー輸出が占めていると言われているが、筆者は石油関連施設への攻撃を増やす可能性があると考えている。
西側の制裁下でもロシア産原油はインドや中国などのへの輸出で世界中に出回っている。
ロシアからの供給がなくなれば、原油価格は大幅に上昇する可能性がある。
原油価格が高騰すれば、利下げ観測が高まるヨーロッパでも逆に利上げせざるを得なくなる可能性すらある。
ドイツでは不動産バブルが完全にはいけたとの声もある。
今の欧米にインフレを耐え抜く力はあるのだろうか。筆者は疑問である。
まさに西側諸国は継続的支援を取るかエネルギー不足を取るかのジレンマに陥っているのではないだろうか。
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