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花と源氏と

立春を過ぎてから、日に日に暖かくなり、今、近所の梅が、花盛り。
ここ数日で寒さが戻ってしまったけれど、少しずつ春に近づいている。
そろそろ、桜の季節も近い。
滝廉太郎「花」の季節だ。

春のうららの  隅田川
のぼりくだりの  船人が
櫂のしずくも  花と散る
ながめを何にたとうべき

滝廉太郎「花」

この歌詞は、源氏物語の和歌の本歌取りだと、以前新聞で読んで知った。
今、潤一郎訳の源氏物語を読んでいて、その歌に行き着いた。

春の日のうららにさして行く船は竿のしづくも花ぞちりける

潤一郎訳 源氏物語巻ニ「胡蝶」


源氏物語の世界観は、本当にうっとりするほど、美しい。
物語の面白さもさることながら、装束や舞楽、和歌のやりとりなど、雅の世界に身も心も満たされて、浮世を忘れる…とはいえ、生きるためには働かざるを得ず、本を閉じて電車を降りる。現実は厳しい。

働かなければ、生きていけない。
でも仕事がしんどすぎて、時々心がぎゅっ、となる。
ストレスは人生のスパイスだから、なくなったら人生が味気なくなる!と、昔上司が力説していた。
私は昔から薄味が好きなのだけれど。

スパイスまみれの平日を、行き帰りの読書でなんとか中和しよう。今日も仕事だ。

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