クリスマスの朝、寝坊した。
それで、焼きりんごを食べに行った。

寝坊と焼きりんごは特に関係ないけれど、ここにきて一年の疲れがどっと出てしまい、こんこんと眠ってしまって、気がついたら貴重な休日の半分が過ぎ去ってしまっていたので、せめて懐かしの焼きりんごを食べに行こうと、思い立ったのだった。

焼きりんごは、大好きな喫茶店の、冬の定番メニュー。出会ったのはもう10年以上前だ。
上品なご夫婦が切り盛りされていて、静かで落ち着く空間。晩秋から冬にかけて、焼きりんごのメニューが加わる。

半分に切られたリンゴの上に、たっぷりのシナモンとお砂糖（たぶん）がかけられ、焼き上げられる。甘くてキュッと酸っぱい、冬の味。

あるときお店が移転することになり、私自身も転勤したりして、しばらく焼きりんごに会えない日々が続いていた。

久しぶりに訪ねると、ほぼ満席に近い状態だったけれど、ぎりぎり入ることができた。
本を読みながら、りんごが焼き上がるのを待つ。贅沢な時間。
たっぷりのクリームとバニラアイスが添えられて、焼きりんごがやってきた。
今年も、ようやく終わる。まだ残務処理がだいぶあるけれど。
また来年も、無事に出会えますように。