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ドイツ一人旅_ベンツのタクシー_01_06【海外旅行】

前の話  プロローグ  第1話  1日目01

1999年冬 1日目 フランクフルト

「駅の外に出てもいいですか?」

Gさんの住むマールブルクに向かう列車の出発時刻には、まだ時間の余裕があった。もちろんGさんは同意してくれた。中央駅を出るとドイツの街並みが広がっていた。

「うわー、テレビで見たのと同じだ!」

建物は石造りで、石畳の道路を右側通行で車が走り、平行して路面電車も走っている。振り返ると国会議事堂を小さくしたような立派な中央駅の駅舎が建っている。その脇に停車しているタクシーの扉にはドイツ語の広告が掲載されている。

「すげー、タクシーがベンツだ!」

冷静になれば単に日本でトヨタのタクシーが走っているのと同じに過ぎない。

それでも、明治維新の志士達が欧州に初めて上陸したときの驚きに比べたらちっぽけな興奮かもしれないが、僕にとってはそれに匹敵するくらいの興奮だったのだ。

「いやー、すごいなー、外国って本当にあるんだな。日本と全然違うな。なんか吸ってる空気も違う感じがする!」

興奮冷めやらぬ状態でドイツの街並みを飽きることなく見続けた。



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