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Mr.Children心に響く歌詞10選【00年代限定】

 5月10日にデビュー30周年を迎えたMr.Children。
 同日の東京ドーム公演にも現地参戦させていただいたが、そこでも披露した『Any』『くるみ』『GIFT』など、00年代(2000~2009年)にリリースした楽曲はほぼ100%心に響いてしまう36歳の私。
 そんな00年代楽曲の中でも特に歌詞に感銘を受けるものを10曲、引用しながら取り上げる。

※順位はとても付けられないので、時系列順にしました。


1.蘇生(2002.5.10)

叶いもしない夢を見るのは もう止めにすることにしたんだから
今度はこのさえない現実を 夢みたいに塗り替えればいいさ

 2002年(当時16歳)の曲だが、歌詞が身に染みたのは夢が叶わなかった10年後(26歳)である。後述の『未来』事実上のアンサーソングとも言えるのではないか。

2.Any(2002.7.10)

今 僕のいる場所が 探してたのと違っても
間違いじゃない きっと答えは一つじゃない

 これもリリース当時の16歳青年にはあまり響かなかったが(もちろんメロディーは超響いた)、大人になると共感せずにはいられない。早く自分の答えを見つけたい。

3.HERO(2002.12.11)

人生をフルコースで深く味わうための
幾つものスパイスが誰もに用意されていて
時には苦かったり 渋く思うこともあるだろう
そして最後のデザートを笑って食べる 君の側に僕は居たい

 2番のサビを丸々使ってじっくり歌い上げ、「最後のデザート~」で気持ち良く着地する。この部分、当時プロポーズの言葉に使う男性が続出したという(未確認)。

4.くるみ(2003.11.19)

どこかで掛け違えてきて 気が付けば一つ余ったボタン
同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに
出会う事で意味が出来たならいい

 これも2番のサビから。桜井さんは普段テレビなどで披露しない2番に一番良い歌詞を仕込みがちだと思う。というかミスチルに限らずどのアーティストもフルで聴いてこそ歌詞の真意を理解できるものだと思う。余談だが、近年になって『CDTVライブ!ライブ!』などフルサイズ披露のレギュラー音楽番組が出てきたのはとても良い傾向である。

5.Sign(2004.5.26)

緑道の木漏れ日が君に当たって揺れる
時間(とき)の美しさと残酷さを知る

残された時間が僕らにはあるから
大切にしなきゃと 小さく笑った

 Cメロ~ラスサビの部分。Cメロ単体だと解釈が難しいのだが、直後のラスサビでハッとさせられる。君が美しい「今」と、残された限りある「未来」、その両方とも「時間(とき)」なので、美しさと残酷さを併せ持っている(と解釈している)。

6.未来(2005.6.29)

生きてる理由なんてない だけど死にたくもない
こうして今日をやり過ごしてる

 貴方はちゃんと地に足を付けて生きているか、それとも「ただ死んでいないだけ」なのか。少なくとも私は後者だった時期があった。明るい曲調とは対照的な歌詞が陰キャにストレートに刺さる。

いつかこの僕の目の前に横たわる 先の知れた未来を
変えてみせると この胸に刻みつけるよ
自分を信じたなら ほら未来が動き出す

 前述の『蘇生』と組み合わせると「さえない“現実”を夢みたいに塗り替えれば先の知れた”未来”も変わる」というメッセージにも受け取れる。まああくまで「変えてみせる」という意思表示に過ぎないのだが、Aメロのネガティブなフリがあるからこそラスサビのオチが活きるという、一曲を通して物語の構成としても成立している。

7.彩り(2007.3.14)

僕のした単純作業が この世界を回り回って
まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく

 マキシマムな世界なのにミニマムに終始しがちな人生。どんな些細な仕事もマクロ的に見れば誰かの為になっている。もちろんこの歌詞は仕事に限った話では無いのだろうが、仕事で悩んでいる全ての人に聴いて欲しいアルバム曲。

8.もっと(2007.3.14)

暗い目をしてたって この星のリズムは
君に笑顔を降らすから きっと きっと きっと

どんな理不尽もコメディーに見えてくるまで
大きいハート持てるといいな
もっと もっと もっと
もっと もっと もっと

『彩り』と同じアルバム『HOME』に収録。忌まわしき「9.11」をきっかけに制作された楽曲。「理不尽」とはつまりそういうこと。「3.11」や今なら「コロナ禍」に置き換えても良いと思う。

『彩り』がミクロ的思考をマクロに拡大したのに対し、『もっと』はマクロ的に考えると重すぎるから、逆にミクロに縮小して「大きいハート(=優しい心)持てるといいな」で締めている。同じアルバムの中で対比を入れているのというのも深すぎる。

9.GIFT(2008.7.30)

「白か黒で答えろ」という 難題を突きつけられ
ぶち当たった壁の前で 僕らはまた迷っている 迷ってるけど
白と黒のその間に 無限の色が広がってる
君に似合う色探して やさしい名前をつけたなら
ほら 一番きれいな色 今 君に贈るよ

 もうサビが全体的に完璧。白か黒かで決めるのではなく第三の選択肢を。その第三も一つではなく無限にある。
 色と言えばやはり前述の『彩り』だが、そちらはモノクロの毎日に「赤、黄色、緑、金、銀、紫、水色、オレンジ」と少しずつ色を増やしていき、最後に「頬が染まる 温かなピンク」を見つけて締めている。
 それに対し『GIFT』白と黒(≒モノクロ)の間に無限の色を見つけている。これ、例えでも何でもなく「カラーコード」的にはそのままの意味になっている。黒が「#000000」、白が「#FFFFFF(16進数における最大値がF)」で、それ以外の色は全て黒(最小値)と白(最大値)の間にある数値を取っている。要するに探すまでもなく最初から「無限の色」は存在するのである。

 この2曲もある意味対照的なのだろうか。モノクロに色を増やしてカラフルにする『彩り』、無限の色(≒カラフル)から一番きれいな色を探す『GIFT』。考えれば考えるほど深いのだが(深いって便利な言葉だな)、実はこの後、もっと感銘を受ける歌詞が待っている。

知らぬ間に増えていった荷物も まだなんとか背負っていけるから
君の分まで持つよ だからそばにいてよ それだけで心は軽くなる

 君の荷物を持つことで僕の手元は重くなるのだが、心は逆に軽くなっている。この秀逸な対比をサビやCメロではなく「2番」のしかも「Bメロ」にさりげなく入れてくるからミスチルは油断できないのである。

10.エソラ(2008.12.10)

 もう聴いてマジで。聴けば分かるから(『GIFT』の説明で力尽きたやつ)。

まとめ

 もちろん「尖っている」と言われた90年代の初期の楽曲も名曲揃いだし(特に『終わりなき旅』とか)、「丸くなった」と言われる10年以降の楽曲もほとんど好き(最新曲『生きろ』も聴いて!)なのだが、私的にはその中間、00年代の楽曲たちが一番好きであるし、実際鬼のようにリピートしている(特に『未来』)。

 今時CDの売上が全てではないと思うが一応述べると、現時点でミスチル最後のミリオンヒットはシングルが『四次元 Four Dimensions』(※92.6万枚というデータもあるが、日本レコード協会からはミリオン認定されている)、アルバムは『SUPERMARKET FANTASY』なのだが、いずれも00年代である。90年代はまだミリオンがそれなりにあったが00年代で激減しているので、00年代にミリオンを飛ばしたという記録はとても貴重なのである(嵐やEXILE、AKBなどは除くよ、そのへん入れるとややこしくなるから)。

 ちなみに、ドラマ『コードブルー』の影響で『HANABI新規』な若者も多いと思うが、その『HANABI』も00年代である。『HANABI』を入口に、まずは収録されているアルバム『SUPERMARKET FANTASY』またはベスト盤『macro』などを手に取ってみてはいかがだろうか(もちろんサブスクでも可)。

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