読書感想文6

池上彰(2011) 知らないと恥かく世界の大問題2,

前回の本の続きとなります。長くなってしまったので流し読みでもいいです♪
今回は、金融、中国経済、人口減少、政権について感想と本の内容を切り抜きしています。

2010年通貨安戦争勃発
アメリカによる量的緩和により、円買いが起こった。円高により輸出が伸びなくて景気が悪くなる。この時1ドル約87円
また、先進国がこぞって金利を下げたことにより、南の新興国やブラジル、オーストラリア、ニュージーランドにお金が流れて、株価が上がり、原油や穀物の値段が上がる例。
 日銀はこの事態に対応するために、インフレにならないようにお金をコントロールするのをやめたのです。

なぜコントロールしていたかというと、第二次世界大戦中に戦費調達のため、政府が発行した国債を直接買い取ることで、お金を大量に刷りました。すると、お金釜世の中に溢れた結果、物価がどんどん上がり、インフレとなりお金の価値が大暴落して経済が混乱したからです。

しかし、2010年時点で日本経済はデフレということで、日銀は以下の金融緩和に乗り出したそうです。
一 ゼロ金利政策、
二 ゼロ金利を物価が1%上がるまで継続
三 5兆円規模の基金を設けて、長期国債や投資信託ETF、不動産投資信託J-REITの購入
 これが、景気回復の呼び水なるよう仕向けてみたんですね。
 ところが思ってた成果がなかったので「マイナス金利政策」をとったわけです。この政策のおかげで銀行にお金がないわけですが。
 しかし、2020年までまだまだデフレが続き、オリンピック需要で若干伸びたりはしましたが日経平均23000円を行ったり来たりで景気回復という目標は達成できてなかったでしょう。物価が1%上昇というのは達成できていたはず。
 2024年2月現在はコロナ助成金や海外投資家および国内の個人投資家が日本の市場にお金を流すことで、市場にお金が溢れて日経平均が40000円に行きそうになっています。最近までデフレだったのにいきなりですね。日銀はこの事態を見越していたのでしょうか?

 2010年のキープレイヤーたち。
G2時代の幕開け
 アメリカ一強という時代から移り変わり、ついに2010年に中国がGDP第2位となり、21世紀の超大国の覇権争いが始まった年でした。
 2010年の中国トップは胡錦濤国家主席、習近平副国家主席、李克強国務院副首相ほか9人の政治局常務局員が13億人を動かしてます。
 中国の領土問題はこの頃すでに存在し、東シナ海を含めた「第一列島線」、伊豆諸島から北マリアナ諸島、パプアニューギニアを繋ぐラインが「第二列島線」として、中国の領海を広げようと画策しています。
 しかし、日本が尖閣諸島を渡してしまうと、他の東南アジアの国が黙っていません。東南アジア圏では日本はまだまだ憧れの土地ですからね。日本には中国に負けてほしくないものです。
 しかしそんな中国の弱点があるとのこと。それは一人っ子政策による少子高齢化です。2050年には人口の3分の1が65歳以上という超高齢化社会が待っています。
 ちなみに日本も2060年には第二時ベビーブーム世代とその子供世代が全員65歳以上となるので、労働人口がいなくなるという未来が待っています。2023年は出生数が72万人なので、2060年に37歳の働き盛りが72万しかいないことになります。東京都の人口が2023年8月1日時点で1400万人くらいなので、95%がいなくなることになります。
  仮に2023年生まれたのが72万人。
2060年時点の労働人口15歳以上65未満は、これから毎年出生数が5万人減るとすると、
年齢         出生数(万人)端数切捨
15-25才  
2035-2045年生まれ 
12+7+2+1+1+1+1+1+1+1=28万人
26-35 才
2025-2034年生まれ 
62+57+52+47+42+37+32+27+22+17
=395万人
36-45  
2015-2024年生まれ 
100+98+95+92+87+84+81+77+72+67
=853万人
46-55  2005-2014年生まれ 958万人
56-65  1995-2004年生まれ 934万人
労働人口はざっと3500万人なので、東京都と愛知県と大阪府と福岡県を足した人口ですね。首都圏しか残らないですな。まあ毎年5万人減るとするのはかなり過激な減り方です笑笑。
 ただ90年代後半ですでに人口減少を予測してたある研究所によれば、コンパクトシティー化というのも一つの社会ではあるそうな。

2010年の異常気象
 2010年の猛暑の原因は「ラニーニャ現象」前に紹介した「エルニーニョ現象」とは真逆の原因で起きています。
 どちらも貿易風の強弱により違いが出るのですが、明確なメカニズムはまだわかっていないとのこと。ここら辺はグローバルな問題となるので割愛します。

2010年の日本政府
 日本の借金は2011年度末の見込みで997兆円となり、無駄を省くだけでは無駄となってきたとのこと。団塊の世代が年金生活に入って社会保障は膨らむばかり。
 日本国民の預貯金は1000兆円となっているので、すでに貯金ギリギリの借金をしていることになりまふ。すでに家計崩壊ですね。
 というわけで2011年1月にアメリカの格付け会社スタンダード&プアーズは日本国債の格付けをAAからAAマイナスに1段階下げました。
 しかし、日本はギリシャのように破綻することはないのです。なぜなら日本国債の買い手の95%は国民個人だからです。まだ国債買うよという人がいる限りは簡単には破綻しないとのこと。
 さて、この時代の総理といえば鳩山由紀夫首相→菅直人首相の代替わりでしょう。
 著者は鳩山内閣の失敗として3つ挙げています。
 1.「沖縄・普天間基地移設をめぐる発言」
       マニュフェストには県外移設と言っていなかったのに、社民党と連立を組むにあたって「県外移設」と言ったこと。
2. 政治とカネの問題
 母親のブリジストン株で儲けてた?
3.2転3転発言がブレたこと。
 官僚政治をやめる予定で、官僚に仕事を回さなかったことでアップアップ。
 

次に菅内閣の失敗点は
 参議院選挙直前、消費税率の引き上げの話を持ち上げたこと。これによりねじれ国会ができて、法案等が通りにくくなった。
 また内閣改造が思ったような成果をあげないことでしょう。この時すでに当初予算ベースで国債が税収を上回る状況となっています。自転車操業ですね。一応財政法で赤字を出すなというふうに決められていますが、特例で法案は通せるので意味なしです。

2010年の領土問題。
 著者によると、2010年9月海上保安庁の巡視船と中国漁船との衝突事件がありましたが、菅内閣は隠蔽。激怒した海上保安庁がyoutubeに公開して、菅内閣は赤恥をかきました。
 また11月にはロシアのメドベージェフ大統領が北方領土訪問しました。中国とロシアの連携プレイではないかと噂が流れたほどです。
 しかし、日本には押しが強い"タフネゴシエーター"がいないので、したたかな交渉術を身につけて"攻めて押し出す"技が使えない、最初に話し合いで解決しようとか落とし所を考えてから妥協しょうと考える。これでは領土問題では負け確だと個人的には思います。
 
 著者の2010年代の心配事 
 日本はどう進めばいいのかという表題に対して以下の点について、著者は意見を述べています。
1.消費税率25%でも「一番幸せな国」
 2010年時点では物価が下がってるから年金の支給額下げたら怒るお年寄り。年金は物価スライド制ということの理解が足りてないですね。
 増税は避けては通れないこと。
 そこで参考になるのが消費税率25%のデンマーク。デンマークは例外なくすべて25%。贅沢品は180%.しかも所得税率は約50%,しかしデンマークの国民は文句なし。なぜなら医療費全て無料、小学校から大学まで無料、臓器移植も無料、失業保険は4年間、現役時代の90%が保証されるからです。つまり自分たちが25%も消費税を納めているのだから変な政治家は許さないとの意識が強いのでしょう。日本も見習いたいですね。
2、トップの若返りが必要
3.  なぜ日本の総理大臣がコロコロ変わるのか
4.マスコミも政権交代を
5.解説か私見か見極めを!
 SNSを使うときには、情報を鵜呑みにしないこと。
6.「坂の上の雲」を目指してきた日本
 いざ坂の上になったら、どこに行くかわからなくなってしまった。目標を作れるだろうか?
 ちなみにZ世代は最高到達点から落ちると思っている人が多くいるので、刹那主義や悲観的な子が多い印象を個人的に持っています。

 長い感想文となってしましましたが、読んでいただきありがとうございました。日本の政治はコロコロ変わるというのが2010年代のトレンドでしたね。今から10年前の話ですが、今につながる話題がほとんどですね。やはり大きな変化は30年ほど待たないとないかもですね。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?