草月しな乃

「小説家になろう」にて掲載している小説をこちらでも連載いたします。 毎週月木、午後八時…

草月しな乃

「小説家になろう」にて掲載している小説をこちらでも連載いたします。 毎週月木、午後八時頃投稿予定。

マガジン

  • 「蜂蜜色の瞳」

    呪歌使いと呼ばれる魔法使いの一派「キャンウィール」の名を継ぐことになった少年、プイス・キャンウィール。 師ルイス・キャンウィールとの出会いから始まる、彼の不思議な物語。 同名義の「小説家になろう」との同時連載です。 原作:「蜂蜜色の瞳」品野 優喜(夏のサボテン) (https://www.pixiv.net/novel/series/872981) 書いている人間は別名義の同一人物です。

  • 甘えん坊第四王子の異世界奮闘記!目指すは家族の完全攻略です!

    とある王国の第四王子、リュートには秘密があった。それは現代日本からの転生者であること。 甘えん坊の子供だったりゅうとが右も左もわからない世界で家族の完全攻略を目指す! 書きたいを最優先にした完全見切り発車の小説です。 更新は不定期になると思われます。

  • ご隠居魔女おばば様の地獄暮らし

    年老いた魔女エレノア・フィロ=ソフィーア。愛しい弟子達を遺し、最期の眠りに就いた。そんな彼女が喧騒に目を覚ますと見た事も無い不思議な場所だった! ニホンという見ず知らずの国はもはや地獄の有様。人々は疲弊し、前を向き歩く事を忘れている。 現代日本に転生した中世の魔女エレノアの前に現れる、かつての弟子達によく似た若者たち。しかし彼らも皆例外無く疲れ切った様子。 おばば様と呼ばれた魔女エレノアは、そんな彼らを救うべく立ち上がる! 「甘えん坊第四王子の異世界奮闘記」と並行して執筆しているため、更新は不定期になります。

  • 「人形のお医者さん」

    人形を人生の相棒とする人形の国に生きる、相棒を失った人形修繕師の少年リュカ。 相棒ナタエナルの復活を目指し腕を磨き続ける彼の、人々とその相棒を救う物語。

  • 「星は日の出に溶けて消える」

    古き友ステラを亡くした魔女オリアーヌ。 学友であった彼女は人の子、短命の種族だった。 魔女の卵が集う学校での、ステラとの一番の思い出を夢に見た彼女は、最後の眠りについたはずのステラに起こされる。 「朝を迎えに行こう」と。 これは悪魔が見せる幻影。だって目の前の彼女は同じ学び舎で共に勉学に励んでいた頃の姿だもの。 日の出の魔女オリアーヌは、星の魔女ステラの誘いに乗って東の空を目指し旅立った。

最近の記事

「呪歌使い戦記」第二話

 魔法使いが一派、歌う者キャンウィール。それが僕に与えられた新しい名の一つ。キャンウィールとは、数ある魔法の中でも特に呪歌の扱いに長けた流派の名。呪歌を、まじない歌を用いて魔法を使う事から歌う者と呼ばれている、らしい。魔法の師であるルイス先生からそう教わった。他の流派は五つ、呪文の扱いに長けた綴る者バーダー、魔法陣の扱いに長けた描く者ルニアード、姿なき者の姿を見ることができる喚ぶ者グウィール、ものづくりを得意とする創る者アルケー、薬作りや医学を用いて人々を救う癒す者フェルリー

    • 蜂蜜色の瞳「呪歌使い戦記」第一話

       全ての始まりは、一通の手紙だった。あれは何時の事だっただろう。年数にして十二年、しかし。ここに至るまで、果たしてどれほどの時間が流れたのだろうか。  僕は元々国の端にある小さな港町の生まれ。漁師である父は僕が産まれる前に船が転覆し、母は僕を産んだ際の産褥熱で死んだと聞く。産まれてすぐに身寄りを亡くした僕は教会の孤児院で育った。漁師町に産まれた男児、大人になれば親の背を追って漁師になるものだと思われていたそうだ。  僕が五つになる年の春のある日、神父様に一通の手紙が届いた。シ

      • 今後の活動について

        おはこんばんにちは、しな乃です。 今回は表題について、最近の小説投稿が滞っている件についてお話させていただこうかと思います。 今年二月頃から本業の繁忙期や勤務時間の変更、私生活の方でも忙しい日々が続いており、小説執筆の時間を取ることが非常に難しい状態です。 執筆時間も取れない程の状況はしばらく続くと思われます。いつまで、とはっきり言えない現状がとてももどかしいのが本音です。 ですが、小説の執筆はもちろん続けたい。 そのため本業の方で五月下旬に一度まとまったお休みをいただい

        • 第十九話

           夏至のお祭り当日。ネイ兄様とはまだ仲直りできてない。セタール先生のバイオリンのおけいこの時も、お夕飯の時だってネイ兄様はボクと口を利こうとしない。上の兄様達も母様もボクたちのけんかのことは知ってるみたい、知ってるのならどうして仲直りの方法を教えてくれないの。そう思ったってどうしようもない、だってボクが悪いんだから。ボク自身が何とかするしかないんだもん。  でも兄様と仲直りってどうすればいいの。お祭りの準備を終わらせて、お祭りの始まりを待つだけのボクのお部屋。誰かがドアをノ

        「呪歌使い戦記」第二話

        マガジン

        • 「蜂蜜色の瞳」
          2本
        • 甘えん坊第四王子の異世界奮闘記!目指すは家族の完全攻略です!
          19本
        • ご隠居魔女おばば様の地獄暮らし
          12本
        • 「人形のお医者さん」
          22本
        • 「星は日の出に溶けて消える」
          9本

        記事

          第十二話

           ぽちっと電源ボタンを押してノートパソコンを立ち上げる。今日の目的は調べ物、手元に無い知識でも調べれば世界中の知識がこの手に集まるのだからインターネットとやらはほんに凄い。これこそ真の魔法じゃ。  さてさて、今日も欲しい情報が見つかれば良いが。検索窓にキーワードを打ち込む。打ち込んだ単語は「パワハラ 対処」。昨日エマの奉公の様子を見てきて、はげちゃびん上司の酷さを目の当たりにした。あれは俗に言うパワハラに相当するだろう。こちらに来て初めて耳にした単語だが、定義だのなんだのを

          Twitterアカウント凍結されました

          今回の記事は表題の通りです。 noteや小説家になろうなど、小説を投稿した際のお知らせとして使っていた草月しな乃名義のTwitterアカウント(@shina_kusaduki)が凍結されてしまいました。 現在は異議申し立てをして解除を待っている状態です。 解除されるまでの間は別名義の二次創作アカウント、品野優喜(@siojakesokoku)より更新をお知らせ致しますが、自称雑多アカウントとして二次創作や日常、ドールなど雑多に呟いているアカウントです。人の地雷を軽率に踏み

          Twitterアカウント凍結されました

          お知らせ(2023/01/29)

          今週も小説投稿を予定しておりましたが、本業の都合で執筆の為の時間を取ることが出来なかった為、今週はお休み致します。 来週の本業は水曜日がお休みなので水曜日に今日投稿するはずだった「おばば様」シリーズ、日曜日に来週投稿予定の「第四王子」シリーズを投稿致します。出来るはずです。 また、「第四王子」シリーズがもう少しでひと段落しますので次は何を書こうかなと考えています。 新作書きたいし、「人形のお医者さん」や「星は日の出に溶けて消える」の続きも書きたいし、なんならこのまま「第四王

          お知らせ(2023/01/29)

          第十八話

          「父様、ごめんなさい。ボクのせいで……」 「もう謝るな。確かにお前にも落ち度はあったが、今重要なのはそこでは無い。一つ再確認させてもらうが、あの箱の中身は誰にも見せるなと、ネイと約束していた。そうだな?」 「はい……」 「お前が隠さずとも、あの中身についてはおおよその見当がついている。ネイ自身が描いた絵が入っている、そうだな?」 「……そうです。でも、どうして」 「子の隠し事など、この父には全てお見通しよ。……と言うのは冗談だが、実は以前あの箱の中身を見てしまってな

          第十一話

           そんな事を思い出す内に、あの子が乗っているデンシャに追いついた。中はぎゅうぎゅう詰め、これが世に聞くスシヅメと言うやつか。こんなものを朝から体験していれば帰ってきた時の疲労困憊な様子も頷ける。今の世は世知辛いものじゃな。  スシヅメのデンシャを抜け出せば、今度は沢山の人が行き交うスクランブル交差点。魔法の靴は人混みを縫うようにすり抜けて奉公先へと駆けてゆく。奉公先は駅から歩いておよそ二十分、始業には十分過ぎるほど間に合った。やれやれ、これで一安心。とは行かぬのが今日の話。

          第十七話

          「兄様!」  父様にボクの絵を見てもらっていたんです。お部屋に帰ってきたネイ兄様にそう答えようとしたら、兄様は怖いお顔をしてボクをにらんだ。 「何してんの?」 「兄様……?」  ボクは父様にボクの絵を見せただけ、なのにどうしてそんなに怖いお顔をするの。 「おれ、お前の秘密誰にも言ってないのに。約束破り、嘘つき」  兄様がお絵描きをしている事は父様に言ってない、だからボクは約束破りなんかじゃないのに。 「兄様、ボク約束破りなんかじゃ」 「うるさい!」 「兄様!

          第十話

           ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ。エマのスマホが朝を告げる。スマホとやらはほんに便利じゃのう。わしが起こさずとも、弟子に起こされずとも朝がわかるのだから。さて、わしも起きねば。今日もエマの為に飯を作らねばならん。 「うわっ!」  エマの悲鳴が聞こえる。何かあったのだろうか、一夜の眠りから覚めた瞼を持ち上げる。 「何じゃ、どうした」 「ね、寝坊した!」 「それはいかん、今何時じゃ」 「七時半!」  いつもなら飯を食い終わっている時間、いつもの調子で身支度を整えておっては確実に

          第十六話

           夏至のお祭りを来週に控えたある日のお昼過ぎ、父様に呼ばれてお仕事部屋のドアをノックする。 「父様、リュートです」 「どうぞ」  今日も父様はたくさんの仕事に囲まれてる、お祭りが近いからその準備に追われてるみたい。母様だって、お針子メイド達と一緒にお祭りで使うお洋服の仕上げに忙しそう。アサラトは居ない、別のお部屋でお仕事かな。 「何のご用ですか」 「お前に手紙が来ていてな」 「ボクにお手紙?」 「商人ギルドのレベック殿からだ。中を改めさせて貰ったのだが……。リュ

          第九話

           更に時は流れて、世間はすっかり冬と呼べる空気に包まれるようになった。冷たい冷たい風が吹く中勤めるのは辛かろう、夕飯も温かく食える煮込み料理が増えてきた。今日の夕飯はわしの故郷で食っておった野菜の煮込みと鶏もものミルクグラタン。たっぷりのざく切り野菜と角切りにしたベーコンをじっくり煮込んで、味付けは塩だけ。この国のベーコンはほんに美味い。固くも無く獣臭くも無い、煮込めばとても良い出汁が出て無粋な味付けなど要らぬ。塩をほんのひとつまみほどで良い。この味はエマも気に入ったようだし

          第十五話

          「立ち話も良いもんですが、とりあえず中にどうぞ。陛下には申し訳ねえですが、今年はうちの倅も同席させてもらいます」 「おお、それはそれは。レベック殿もとうとう家業のお勉強ですか」 「こまっしゃくれた物言いでまだまだ子供ですけんど、今日はよろしくお願いします」  リックさんに案内された建物の中はお靴で入れる木の床だった。お城の床は固い石でできていて、転ぶととっても痛い。ここならきっとお城の床よりは痛くないだろうから、ベルリラが転んじゃっても泣いちゃったりしないかな。 「誰

          第八話

          「ただいま帰りましたー」 「おかえり。今日は早い方であったな」  地獄に、ニホンに来て早二週間。奉公で帰りが遅いエマの為にと飯を作り出して二週間。すっかり飯炊きばばあが板についてきた。 「今夜は何ですか?」 「今日はハンバーグじゃ。焼きたてを食わせてやるからの」 「わぁ、楽しみ」 「ほれ、先に風呂に入ってこんか。さっさとせねば冷めたものを食うことになるぞ」 「はぁい」  飯を作り出してからエマに与えられたノートパソコンなる道具によって、作れる飯の種類が増えた。

          第十四話

           夏至のお祭りがどんどん近付いて来て、セタール先生のバイオリンのおけいこも一日中になったある日。いつかのように父様がおけいこ中のボク達を訪ねてきた。 「励んでいるか?」 「父様!」 「これはこれは国王陛下、ご機嫌麗しゅう。何用ですかな」 「我が子二人の様子を見に、な。練習は進んでいるか?」 「もっちろん! 今日も聞いていく?」 「これ! ネイ殿下、陛下に対してどう言う口の聞き方ですか!」 「良い良い、励んでいるようで何より。練習中すまないが、少し休憩にせんか?」