週刊「我がヂレンマ」<4月22日号>

 ところで明日は私の誕生日です。38歳。まごうこと無き、おっさんである。何ら感傷もなく、とくに予定もなく、ただ仕事があり、帰ってきて風呂に入ってnoteを書くだけ。哀しくなんてないぜ。
 いつからか誕生日が無風になってしまった。
 それはそれとして、すべからくnote2年目は座学に力を入れる予定である。必要な書物はすでにあるので、準備万端。
 ゴールデンウイークは安倍公房と西村賢太と三島由紀夫と、座学。
 有言実行でいきたいと思います。積読を消化せねばならぬ。
さて。今週のコンテンツ。
<メモについて解説と考察>
<購入した書籍、おススメの紹介>
<アンパンマンを多面的に捉えよう>
 で、いこうと思います。
 前置きにも限界がきたので、そろそろいきます。

<メモについて解説と考察>

「膾炙(かいしゃ)」
『膾』はなます(細かく切った魚肉)、『炙』はあぶり肉の意で、いずれも味がよく、多くの人の口に喜ばれるところから、世の人々の評判になって知れ渡ること
「人口に――する」
「鱠」の異体字として扱われることもある。漢字検定1級。
 私はおそらく使うことはないでしょう。難しいもん。

「壁村耐三」
 1934年2月21日‐1998年12月8日。岡山県出身の日本の漫画編集者。
『週刊少年チャンピオン』の黄金時代を築き、1970年代に少年漫画の部数トップに導いた名物編集長。
 1972年から1981年にかけての最初の『週刊少年チャンピオン』編集長時代には「ドカベン」、「マカロニほうれん荘」、「750ライダー」、「がきデカ」、「ブラック・ジャック」といったヒット作が生まれた。
 体調を崩し辞任したが退任後大幅に部数が落ちたため、1985年から1989年にかけて役員兼任で再度編集長を務めた。
 晩年の壁村は膵臓癌を患って痩せ細り、表情も柔和になっていた。1998年12月8日、64歳で死去。
 編集長時代の部下には伊藤嘉彦(幻冬舎コミックス元社長)、沢孝史(『週刊少年チャンピオン』9代目編集長)、奥村勝彦(『コミックビーム』元編集長)がらがいる。

「顫えた(ふるえた)」
 寒さや激しい感情で小刻みに動くこと、細かく揺れ動くこと。昔の文学作品には多用されていたが、現代は「震える」と書かれることが多い。
 「顫」の音読みは「セン」、訓読みは「顫く(おどろく)」「ふるえる」、漢字検定1級。
「眼球が不規則に動いて、唇が顫えました」
                       小酒井不木「印象」より

「贏ち得た(かちえた)」
 意味:もうける。もうけ。利益を得る。あまる。あまり。あます。あふれる。みちる。すぎる。ゆるむ。のびる。勝つ。まさる。勝利。
 音読みは「エイ」、訓読みは「あま(る)」「か(つ)」「にな(う)」「の(びる)」「もう(ける)」。
 当然、漢字検定1級。ゴリゴリの難読漢字。おそらく使用せず。

「殷鑑(いんかん)遠からず」
 戒めとなる手本は、古いものや遠くのものを捜さなくても、ごく身近にあるということのたとえ。また、身近にある他者の失敗例を、自分の戒めにせよということ。
「殷」は古代中国の王朝。
「鑑」は「鏡」のことで、手本という意味。
 殷の紂王が滅びたのは、殷の前代の夏の桀王の悪政を戒めとしなかったからだ、という故事に由来する。

「馘(くび)」
 耳を切る。敵を殺した証拠として左耳を切り取る。「馘耳」「俘馘(ふかく)」。
 首を切る。「斬馘(ざんかく)」
 解雇する。「馘首」
 音読み「カク」、訓読み「くびき(る)」「みみき(る)」
 漢字検定1級。使うとすれば、解雇の意味だろうか。

「ピーター・スカリー」
 オーストラリアで1963年1月13日に出生。メルボルン郊外で結婚、2人の子供をもうけた。その後、メルボルンを離れる前に20人の投資家から268万ドルを騙し取り、フィリピン人の女性を郊外のセックスパーティにエスコートするサービスを始める。
 しかし、2009年にはオーストラリア証券投資委員会による調査の対象となり、2011年にはフィリピンのミンダナオ島へ逃亡。
 彼は他に詐欺や財産に関する罪状で117件にも及ぶ犯罪を犯し、現在フィリピンの刑務所に収監されている。
 その原因となる犯罪は、ミンダナオ島スリガオ市、貧困の家を標的とし、両親に、女児に対する教育の支援を約束し、島から誘拐、性的虐待を加えてそれを商品化していた。
 悪名高いハート・コア・ビデオ「デイジーズ・デストラクション」があり、ダークウェブで流通していた。
 震えるほどの嫌悪感を催す、女児の虐待ビデオである。鬼畜の所業。

<購入した書籍、おススメの紹介>

「校閲至極」←おススメ
                        毎日新聞校閲センター
『誤字や不適切表記と格闘する日々。
 プロの現場から生まれた傑作コラム74編』
『作家・逢坂剛氏、絶賛!』
「校閲こそは、文筆家の生命線である。校閲を軽んじれば、そのつけは確実に回ってくる。校閲を知れば、文筆の怖さが分かる」

第1章 校閲って何?
第2章 同音の語があふれている
第3章 カタカナ語の落とし穴
第4章 「いかにもありそう」が命取り
第5章 問題は言い回しにあり⁉
第6章 辞書の仲の奥深い世界
第7章 ところ変われば・・・・・・
第8章 名前は唯一無二のもの
第9章 確認は文字だけ? いえ無限です

「サンデー毎日」大人気連載、待望の書籍化!

「黄金州の殺人鬼 凶悪犯を追いつめた執念の捜査録」←おススメ
                        ミシェル・マクナマラ
                            訳=村井理子

「ジャンルの垣根を超えた傑作。ページをめくる手が止まらない」
「スティーブン・キング、絶賛!」
「序文寄稿 ギリアン・フリン(『ゴーン・ガール』著者)」
「ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー1位」
「全米放送TVドキュメンタリー・シリーズ化(HBО)決定‼」

 1970-1980年代に米国・カルフォルニア州を震撼させた連続殺人鬼・強姦事件。30年以上も未解決だった一連の事件の犯人を追い、独自に調査を行った女性作家による渾身の捜査録。
 ワシントンポスト、エスファイア誌、Amazon.com、ニューヨーク公立図書館、シカゴ公立公園で”2018年ベストブック・オブ・ザ・イヤー”受賞!

「本当に手に汗握る作品だ―――ピープル誌」
「息を呑む、野心的で、見事な筆致―――ニューヨークマガジン誌」

 読者が知るべきは、なぜこの本が特別なのかという理由だ。それは、この本が向き合っている、二種類の強迫観念である。
 一つは光りに溢れ、もう一つは闇の中にある。
「黄金州の殺人鬼」は闇にあり、ミシェル・マクナマラは光りだ。
 気が滅入るほどの邪悪。総明かつ、断固とした決意。
 本書はこの二つの心理への旅路である。
 私は本書を愛してやまない。
                        スティーブン・キング

「SSSS Shinichi Sugimura's Short Stories」
                          すぎむらしんいち
『今こそ読み切りの時代!』
「すぎむらしんいちは天災だ!! 今すぐ、この本を買って逃げろ!」
                  ――大友克洋(漫画家・映画監督)
「健在っていうか、まだ進化してるすぎむらしんいちは最新が一番面白い」
                  ――佐久間宣行(プロデューサー)

『The End of The End of The World』
『nUMA』
『夜明けの漫画描き』
『こども探偵物語』
『あさぼらけ』
『Light my ハートに火をつけてfire!」
『1983』

「錠剤F」
                              井上荒野
『ひとは、「独り」から逃れられない』
『短編の名手が、日常の隙間にひろむ「孤独」を描き出す――』
『著者史上最もグロテスクで怖い10の物語から成る、最高制度の小説集』

バイト先のコンビニに現れた女から、青年は「ある頼み事」をされて
                         ――「ぴぴぴーズ」
男を溺れさせる、そんな自分の体にすがって生きるしかない女は
                         ――「みみず」
刺繍作家の女は、20年以上ともに暮らした夫の黒い過去を知ってしまい
                         ――「刺繍も本棚」
女たちは連れ立って、「ドクターF」と名乗る男との待ち合わせに向かうが
                         ――「錠剤F」

「アルジャーノンに花束を」
                          ダニエル・キイス
                          小尾芙佐=訳
『読まないまま終わる人生もあったと思うと怖いってぐらい凄かった。』
                    ――はる(@haru_187_)
『何度読んでも泣けます』
                小説紹介クリエイター・けんご小説紹介

『SNSで話題沸騰、1400万回インプレッション超え!』

 32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリィ・ゴードン。そんな彼に夢のような話が舞いこんだ。
 大学の先生が頭をよくしてくれるというのだ。これにとびついた彼は、白ネズミのアルジャーノンを競争相手に検査を受ける。やがて手術によりチャーリィの知能は向上していく・・・・・
 天才に変貌した青年が愛や憎しみ、喜びや孤独と通して知る人の心の真実とは? 
 全世界が涙した不朽の名作。著者追悼の訳者あとがきを付した新版。

<アンパンマンを多面的に捉えよう>
 
 アンパンマンは、やなせたかしが描く一連の絵本シリーズ、および、これを原作とする派生作品の総称。また、それらの作品における主人公「アンパンマン」の名前である。
 通常、アンパンマンを中心とした、嫌がらせをするバイキンマンをやっつける勧善懲悪ストーリーである。
 今回は、別の視点から見てみようと思う。
 では行こう。

「バイキンマン視点」
 事あるごとに一般市民やアンパンマンに「ちょっかい」をだして、善戦はするものの、アンパンチで吹っ飛ばされる。
 それでも飽き足りず、また、ちょっかいをだす。その情熱について語っていく。もしかしたら、不器用なだけで仲間にいれてほしいのか。
 パートナーであるドキンちゃんとは、お笑いコンビ「ラランド」の関係に似ているかもしれない。
 彼は正々堂々している。
 アンパンマンの新しい顔の生産拠点である、ジャムおじのパン工場を破壊しない。そこさえ潰してしまえば、勝率が格段に向上するというのに。

「しょくぱんまん、カレーパンマン視点」
 アンパンマンのおまけ、付属品、附録。彼らが大活躍している記憶がまったくない。二人は普段、屹度、同じ境遇なことから親友と思われる。
 ある居酒屋で。
「いやー、今週も僕ら、特に活躍しなかったな」
 と、しょくぱんまん。
「俺なんて登場しなかったぞ。訓練はしてるけど」
 と、カレーパンマン。
「なんかさ、時代に合わせて挑戦していきたいよ」
「例えば?」
「いちごジャム塗ったら、火を吹けるとか。ブルーベリージャムなら、高圧水を放てるとか。マーマレードなら、雷とか」
「作品に合わないでしょ。いいじゃん、ドキンちゃんに好かれててさぁ」
「やってもいいけど、女にしたらさ、パワーバランス崩れるよ」
「やなせたかしの匙加減に任せるしかないよな」
「そうだな。創造主が全てだから」
 二人は同時にビールを飲み干し、ため息交じりのゲップを放つ。

「かびるんるん、チーズ視点」
 ある日、バタコさんがチーズの異変に気付く。
 若干、所々、青い模様が出来ているのだ。「どうしたの、チーズ」そんなバタコさんの心配をよそに、チーズは一匹で出かけていく。深い森のなかで、ある物体と接触する。
 かびるんるん、である。それも青色の。
 お互い台詞が鳴き声しかない同士、何か通じるものがあるのだろう。
 追いかけっこをしたり、秘密基地をつくったり、お喋りをして過ごす。
 お互い怪しまれないよう、暗くなる前に帰宅する。何度も会ううちに、徐々にチーズが「ブルーチーズ」に進化していく。
 黴への耐性、かびるんるんとの友情、どんな展開が待っているか。

 妄想は楽しい。
 今回のアンパンマンの妄想は、何の役にも立たないし、ショートショートをはじめとする小説に好影響はないかもしれない。
 だが、妄想はいいものだ。
 結局、頭の中、思考がそのまま文章になるから、出来る限り思考を狂ったように回していきたい。
 それはそうと、アンパンマンをテーマにすると、書く前はワクワクして「これは面白くなる」と興奮するが、書いてみると、なんだかげんなりする。やなせたかしには責任を取ってほしいが、すでに鬼籍に入っているのでどうしようもない。
 二度とネタにしねぇ。
 もう終わりだ。アンパンマンは。
 その前にホラーにしてやる。

「アンパンマン、新しい顔だよ!」
 バタ子さんが勢いよく、手首にスナップをきかせ、頭が濡れたアンパンマンに新しい顔を投げる。
 その時、しょくぱんまんが”新しい顔”をキャッチ、持ち去ってしまう。
 唖然とする一同をよそに、アンパンマンの濡れた頭は脆くなったのか、胴体からズレ落ちてしまう。
 ジャムおじの機転で、パン工場に戻るが、パン工場は炎に包まれていた。
 バイキンマンはいたたまれなくなり、おずおずと帰っていった。
 首無しアンパンマンは、仕方なく、パン工場の再建のため現場作業に従事する。
 その最中、バイキンマンが襲来する。
 カレーパンマンが苦戦するなか、アンパンマンが現れる。
 いや、体がしょくぱんまんの。
 慄然するカレーパンマンをよそに、頭アンパンマンは容赦なく、アンパンチでバイキンマンを撃退する。
 見かねたジャムおじは、しょくぱんまんの元の顔を、
「しょくぱんまん、新しい、本当の顔だよ!」
 と、投げるが、頭アンパンマンはそれを、キャッチ。
 パン工場再建中の、首無しアンパンマンに、しょくぱんまんの頭を接続。
「きみは、今日からしょくぱんまんだ。いいね」
「なぜ、こんなことを。しょくぱんまん」
「君が羨ましかった。君になりたかった。あんバターを塗った夜もあったさ。君の付属品は、もう止めにしたいのさ」
「気持ちは分かるけど、やなせたかしが化けてでるよ。あの人、かなりの遅咲きだから、作品に対する執念が半端ないんだ」
 二人は喧々諤々、殴り合いも交えながら話し合った。
 2時間後。
 結局は、頭と胴体のバランスが悪いことを理由に、元に戻ることになった。しかし、パン工場に対する放火で、しょくぱんまんは逮捕された。
 そのころ、
 濡れて、捥げて、ずり落ちたアンパンマンの頭は腐り果て、汚泥の一部になっていた。小さなかびるんるんが大量にこびり付き、ゼリー状に変化した眼が零れ落ちる。灰色の脳漿が露出しハエがたかる。
 アンパンマンの古い顔は、単なる汚物に成り下がり、誰にも認識されず土に還るほかなかった。
 
 

 
 
 
 

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