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35歳のNZ留学【タカプナの想い出】

タカプナという街は、どこかセレブ感の漂う静かで落ち着いた街である。
オークランド中心部からバスに乗り30分で行くことができ、降りたバス停からビーチには徒歩5分で行ける。おそらく、留学中に私が最も多く足を運んだ観光地ではないかと思う。

ランギトト島を望むタカプナの海には、波の音と、びゅうっと吹く風の音が鳴る。ビーチには波に削られ楕円形になった溶岩や貝殻が混ざり合っていて、そこを歩くと貝殻が擦れたり割れたりする音が心地良く響く。
アヤノちゃん(ヴィーガンフレンド)と行った時には、波の音を聞きながら音叉も鳴らしてみたりして一緒に瞑想した。近くには観光客やローカルの人もいたけれど、「キー…ン」と響いた音叉の音は吹く風の中に消えてゆき誰もその音を気にしないようだった。皆それぞれに楽しんでいる。こんなに寒くても泳いでいる人たちがちらほら見え、キャッキャと冷たい水を楽しんでいる。
寒いのが苦手な私にはとてもできない。
しかし晴れ渡る空の下眺める海は最高に気分が良い。普段は物静かなアヤノちゃんも、「キンキンキーン!」と調子良く音叉を鳴らして見せ、気分良さげなその顔がちょっと可笑しい。
アヤノちゃんの新しい一面を見たようだった。

ビーチを北に向かって歩いた先にはオートキャンプ場があり、そこからもっと歩いていくと『化石の森』と書かれたインフォメーションがある。このネーミングには好奇心をくすぐられる。溶岩でできた平たい岩場は所々ごつごつしていて、注意深く岩から岩へジャンプして渡り歩き、透き通った水の中を覗いてみる。

トレジャー…!(私の目にはそう見える。)

巻き貝や水中でキラキラと七色に光る貝殻。そして、不思議なことに水の中にも岩場にも生き物が全く見当たらない。私の知っている日本海の岩場には、カニとかヤドカリとか小さい魚とか、岩にびっしり極小の黒い貝の集団とかが住んでいるのだが、そんな生き物たちの気配もない。

『化石の森』の先にも道は続いている。
道と言うのには少し無理があるような感じで、道幅は狭く人間一人がやっと歩けるくらい。足元は危うく、その道らしきを歩けば突如道は途絶え「やはり道ではなかったか、」と思ったのも束の間目線を少し先に向ければそこにはまた道が続いており全く無茶苦茶なアドベンチャー感が漂っているのである。

途中、街に抜ける階段がありもうこの辺でと階段を上れば高級な住宅街に出る。大きくて敷地が広く個性的な家ばかりが並んでいて退屈しない。

海を背に道路を渡ると今度は湖が見える。
ププケ湖(Lake Pupuke)というその湖は、火山の噴火口に雨水が溜まってできた淡水のクレーター湖だという。
私は初めて訪れてからこの場所が気に入って何度か訪れた。湖周辺は散策できるようしっかりと整備されている。
それなのに私ったら何度目かに訪れた時、いつもと違う道を歩いてみたら入り口が分からなくなって、それでもすぐ近くに湖が見えるからと草むらに足を踏み入れたのだ。
数メートル入ったところで、どきりとする。
思いのほか草むらは深かった。草の長さは私の膝丈を超えている。それに少し前に降った雨でのせいで、まだ草が濡れているということに気づいたのだ。
そして迷う、引き返すか、進むか。

結局進むことにした。湖を目前に草むらから抜け出すことができない。水滴を多く保った草はジーパンをじとっと湿らせる。嫌な感じがする。
もう少し、あと少しとやっと草むらを抜け一息もつかないうち今度は泥のぬかるみに足を取られててんやわんやである。私は草むらに入ったことを猛烈に後悔した。
私を噛んだ者の正体(*前回記事)、それはきっとこの草むらから連れてきたに違いなかった。

タカプナビーチは砂浜とこの貝浜が続きます。
裸足で歩いてみたら結構痛いです。
インフォメーションです。
Google翻訳をかざすと翻訳してくれます。
この写真からも翻訳機能を使って読むことができます。
きっとわくわくすることと思います。
化石の森
水の中のトレジャー
ププケ湖です。
水が透明で水草がはっきりと見えます。
晴れたり降ったり虹のニュージーランド
こんなにハッキリした色の虹って見たことあります?
海に架かる橋を渡ってタカプナに行く

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