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35歳のNZ留学【ヴィーガンフレンド】

私はベジタリアンである。留学してからベジ向けの店を探すのはきっと大変だろうと思い、留学前から学校付近のヴィーガンカフェをいくつか検索しGoogleマップに保存しておいた。
そのリストの中で初めて行ったのが”Revive”という店である。昼時の店にはテイクアウェイのお客さんが次々と来ては帰って行く。私は人の流れの早さにたじろぎ、しばらく店の前に立ったままその様子をじっと見ていた。
しかしこのままではいつまで経っても食べられない。意を決して店に入る。
この店は通常のレストランやカフェとは違い、一つずつ自分のオーダーを伝えていくスタイルである。ライスとスープ、ライスとサラダ、ライスとサラダとスープ、とまずはパターンから選び、更に主食はライスかカリフラワーライスか、サラダにおいては8〜10種類もの中から選べるようになっている。実は店の入り口に今週のメニューが貼り出されている(サラダの種類、味付けまで具体的に説明書きがある)のだが、Google翻訳をかざしてみても複雑で味が想像できない。実際に目で見てからようやく「こんな感じか」と分かるのだ。そんなわけで、サラダやスープを前にして迷ってしまうし、背後には行列ができているのでとても焦る。早く選ばなくてはと急いで決めるも今度はサラダの名前が読めない。もう緊張で顔を真っ赤にしながらやっとの思いで注文する。手に汗、額にはじんわりと汗をかいている。
それでもこんなに忙しい店でスッタフは急かすこともなく明るく溌剌としてグッドバイブスだった。「Anything else?」と聞く笑顔がまた素敵で、私は緊張しきりなのにアハっと笑ってしまった。

また後日。
今度は店でオーダーする流れが分かったので、注文で必要な英語を練習してもう一度トライしてみることにした。そして2回目の挑戦。だがスタッフは前回と違った。何だか日本人のような、そう思っているとスタッフの方から「日本人ですか?」と話しかけられた。おお、スタッフはやはり日本人だった。正直ほっとしている。練習した英語はまた次回活かすことにする。今回は安心してサラダを迷い日本語で注文を済ませた。
お互い少し話しただけだけれど、「もっと話したいね」と連絡先を交換した。
これが初めてのヴィーガンフレンドとの出会いだった。

彼女の名はアヤノちゃん。アヤノちゃんはヴィーガンである。アヤノちゃんと初めて食事に行った時、自分がベジタリアンになったきっかけから始まり、気候変動、アニマル福祉、ヘルスケア、瞑想など幅広い内容のことを気兼ねなく自由に話した。アヤノちゃんもまた音叉やシンギングボールを鳴らすような人で、私が話すそれらのことを普通に理解してくれた。この時初めて私は身近に自分と同じ考えを持つ人が確かにいるのだと実感した。なぜなら普通に理解されると言うことが今までの私には少し難しかったから。
私がベジタリアンになったのは2020年頃である。当時私の身近にはベジタリアンやヴィーガンの人はいなかった。一番身近な人に、肉や卵を食べないということを理解してもらえず、理由を「気候変動が…」と言ったところで伝わるはずもなく「頭おかしくなったんじゃない?」とか「なんの宗教だ」などと言われ深く傷ついた経験がある。それ以降、人と食事をする時は魚介を選ぶとか、最近肉はあまり好まないと言い、敢えて自らベジタリアンだと話すことを避けてきた。
また傷つきたくない。恐れている。怖い。びびっている。
それでも、アヤノちゃんと出会い自分のことについていろいろと話すうちに、話したい人にはオープンに自分のことを話してみても大丈夫なのではないかと思うようになった。ヴィーガンのイベントにも一緒に行ってみて、NZには結構身近なところにヴィーガンがいるということも知れた。好きなヴィーガン製品の情報交換や、カフェ巡りも楽しい。
一人でベジタリアン(日用品はヴィーガン)してるのも楽しいけれど、誰かと一緒にヴィーガンを楽しむのもいいなあと思わせてくれた初めてのヴィーガンフレンドである。

この傾斜、NZの坂を思い出さずにはいられない
塩胡椒はセルフ、紙ストロー、コンポストできるカトラリ
カリフラワーライス
サラダの上にかかっているのはフムス
ライス普通バージョン

ースピンオフー
学校の昼休み、家から持ってきたランチボックスを開けて食べていると学校のスタッフが「ベジタリアンなの?」と声をかけてきた。イエスと返事をすると彼女は「Oh〜!Vegitarian Friends!ハグしてもいい?」と言って私にハグをした。ちょっと恥ずかしく、ちょっと嬉しかった。

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