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MIRACLE 2

Miracleはつづく。 


学生時代、あるお店の販売員さんに憧れ
販売のお仕事っていいなと思っていた。  

雰囲気も言葉使いも柔らかく、とても素敵な人
だった。 

直接お客様から「ありがとう」という言葉をもらえること。
その言葉をもらえると、こちらもとても嬉しく
なる。 


免税店の仕事は楽しかった。 

特にノルマとかはない。
新しい商品をたくさんの人に知ってもらう
仕事。 
もちろん売れるに越したことはないが。

これから旅行に行く人ばかりなので、
荷物になってしまうから買う人は少ない。 
でも旅行前だからか、みんな陽気で素敵な笑顔で「今は買えないよ!」とやんわり断ってくれる。

買ってくれなくても良いのだ。 

香りを移した試香紙を手渡し
私はつたない英語で「Have a good day!」と
笑顔で言い返す。   

いい仕事だった。 

THIS IS MY LIFE♡


この年の7月、私にとって奇跡が起きた。
とても大きなセレンディピティ。 


今でも不思議に思うこと。 


それはあるイベントが百貨店で開かれており、 絶対に行こう!と決めていた。

当時ソロ活動をし始めた歌手のYUKIさん
スタイリストの大森伃佑子さん
アートディレクターの平野文子さんが手掛ける
ブランド 「Sleep(スリープ)」の展示が
全国の百貨店を巡回していた。 

仕事帰りに百貨店に到着するのは19時くらい。 
都会の百貨店は遅い時間まで開いているので
間に合う。

sleep


イベントブースに到着すると思ったより人が
少ない。 
お目当ての服を何着か買うことができ、とても
満足だった。店員さんも気さくで話やすく
ゆっくり楽しくお買い物ができた。 

足取り軽く、家に帰ろうと駅に向かって歩いて
いた時、不思議なことが起こった。 


駅に向かわないといけないのに、
体が勝手に反対方向に動くのだ。


なぜかまた百貨店に向かっていた。


心の中ではもう買い物をしたのに、なんで百貨店に戻ってるんだろうと思った。


すると行列ができていた。 
私は何の列かも分からず何故か一緒に並んだ。 

なんで並んでるんだろう?と思いながら。


女の人ばかり。 
しばらくするとその列は動き出した。


百貨店の階段をかなり登り、どこに向かっているのかわからなかった。


そしてある階の売り場に入ったその時、
先程のsleep展の売り場のフロアだとわかった。





YUKIさんご本人がいた。 




3人ずつくらい売り場に通される。 
私もさっき買ったばかりだけど、また売場に
入った。


この時、私に勇気があれば本人に話しかけただろう。

突然すぎて、言葉が出なくて近くにいるのに
話しかけることができず、眺めることしかできなかった。
次の人達の順番があるため、売り場から出た。

2021年
YUKI『Terminal』


JUDY AND MARYを好きになってから
いつかお会いしたい人の一人だった。 
中学生の頃の私の夢が叶った瞬間だった。 


YUKIさんに会うために戻ったんだ!!

と理解はしたが、私はYUKIさんが来ることも
知らなかったし、告知もされていなかった。
家に帰ろうとしていた。  


私はあの瞬間、何かがまだ帰っちゃだめだよ!と私を操って売り場に戻してくれたとしか思えない感覚だった。   
しばらく放心状態で家に帰ったと思う。

私がもし弱気になって、あの時実家に帰って
いたら? 

会えなかったかもしれない。 
今自分がいる場所はきっと間違ってない。
大丈夫と
自分を励ました。


そして9月。 

ある事が起こった。 
空港にお客様が誰も来ない。 


でもお仕事は継続された。 
がらんとした空港にふた月くらい
ぽつんと立っていた。 


あれから何年か経った頃、9.11は作り話で実際に
起きてないという人がいるとニュースで見た。

そんなことはない。

知人が丁度ニューヨークに旅行をしており、
どれだけ大変な出来事だったか話を聞いた。 

モンセラット修道院


それから約15年後、初めての海外に行くことになり、免税店の前を通った。

私が働いていた事は誰も知らない。 

働いていたお店も人も変わっており、当時の面影はない。お店も人も3倍くらいに増えており
とても賑やかだった。  
懐かしさと寂しさが込み上げてきて
当時の自分に15年後に海外旅行に行けるからね!と教えてあげたくなった。

またここに戻ってきたいなと夢ができた。


読んでくれてありがとう。

Have a good day♡

ある日の朝食

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