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始まるよ!コクリコ坂が始まるよ!

*好きなシーンを挙げるのでネタバレを含みます

私はジブリ作品が大好きだ。
いつも作品を嗜む**時は、まず一回通しで見た後チャプターで細かに前後しながら楽しみ、今度は大好きなシーンをコマ送りにして再生しその精巧さに感嘆した後、音だけを聞いて物と物の衝突音を楽しむ・・・・
という、割とニッチな楽しみ方をしている。そのくらい好きだ。

さて、今日は金曜ロードショーで『コクリコ坂から』が放送される。
皆さんご覧になったことはあるだろうか。
舞台は60年代の日本。経済成長真っ只中における学生のラブロマンスだ。
大好きな作品だが、私は初めて観た時、ヒロイン海の可愛げのなさがすごく気になった。今までのジブリ作品は基本的に愛想が良く人から好かれやすそうな女の子がヒロインになることが多かったため、『時代背景があるにしてもなんでこんな現実的なストーリーのラブロマンスのヒロインに笑顔が少ないんだろう・・・』と、不思議に思っていた。
しかしDVDを購入し何度も見ていく内に、どんどん海の己を律する強さや姿勢、責任、覚悟、そしてそこに垣間見える少女らしさが愛しくて堪らなくなり、どハマりする作品となった。
特に真実を知った後の風間に対する態度なんて、もう涎もんだ。
なんと凜とした美しさのあることか!!


と、海について熱くなってきたが、ここからは私の個人的に好きなシーンやセリフを挙げていく。急だぜ!といった感じではあるが、ここで振り返り、21時からの放送をより一層楽しむための支度をしないと。


1:カルチェラタンの掃除シーン

© Studio Ghibli

なんでジブリって掃除シーンであんなに胸を躍らせてくるんだろう?ハウル然りだが、人の清掃作業(しかも掃除とはかけ離れた所を一気に行う大掃除)ってなんかロマンを感じる。今まで表面しか見えていなかった空間の細部が埃のベールをはためかせ見え隠れするからだろうか。お宝が見つかりそうなワクワク感もある気がする。


2:全学討論会の様子

© Studio Ghibli

私は90年代の出生のため、学生達がこんなに学校の指針に対して各々の意見を熱く語り合うなんて考えられなかった。討論会等はあったが誰も発言せずダンゴムシの様に小さくなり時が過ぎるのを待つような時間だった。こんな青春時代を過ごしていたらどうなっていたんだろう、という感情と共に、どこか古い自分の過去に、こんな風な学生時代があったんじゃないかと思わせられる、不思議な懐かしさに溢れるシーンだ。あと普通に水沼の独唱が渋すぎて震える。


3:理事長、生まれ変わったカルチェラタンへ訪問

© Studio Ghibli

ここはもう、取り壊しを阻止するために努力した学生達の熱意と成果を表現する物語の一番の見せ所なため全員好きなシーンに決まっているのだが、とにかくこの理事長がアツすぎる!イイ奴すぎ!学生達の返答も良いが理事長の言葉選びが素敵すぎる。
黒点観測を10年続けたが得たものはないと白状する天文部の学生には
「潔くて良い!」
哲学研究会の一人しか入れない小屋のような部室を見て「新しい部室が欲しくないか」という問いに部長が
「失礼ながら閣下は樽に入った哲人をご存知でしょうか!」
と返すのに対して
「ディオゲネスか!!」
と高笑いし、苦い顔をしている校長にかける
「良い生徒達じゃありませんか」
という言葉。
全てに知性と親しみ、生徒に対する寄り添いを感じる。
彼の勢いや包容力、リーダー性まで感じさせる粋なシーンだ。
こういう大人になりたいな、とまで思わせてくれる。



他にも、数学部の吉野君の「海にボトルを流す様なやり方だなあ」とか、水沼の言葉のキザチョイスセンスとか挙げ出したらキリがないが、こうしている間に金曜ロードショーが始まってしまうためこのくらいにしておく。

さあ、とっておきのウイスキーと切ったチーズを並べてTVの前に集まろう。
現実からエスケープだ。


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