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胸郭回旋動作向上の3つのポイント!

日常生活ではもちろん、スポーツにおいてもとても重要となる胸郭の回旋動作。


スポーツにおいては野球やゴルフ、ラクロスなどの投球動作やスイング動作のある競技ではパフォーマンスにも関わる大切な要素となります。


今では胸郭の可動性を出すためのエクササイズとして、ウォーミングアップやコンデイションの一部として取り入れている人も多いかと思います!


股関節の可動域があることで胸郭回旋運動がパフォーマンスにつながるので、もちろん胸郭だけを動かせばよいというわけではありません。


ただ、胸郭が正しく動かないことで腰部にストレスがかかり、腰痛の原因につながるなどパフォーマンスだけではなく障害の原因にもつながります。


そのため、パフォーマンス向上から障害の予防として、胸郭の可動性はとても重要なポイントになります!


ではどのようにして胸郭回旋可動域を向上してくべきか。


回旋動作を獲得するには、ただ回旋エクササイズをすればいいというわけではありません。


回旋動作の前に獲得しなければならないものがあります!


今回は基礎的な解剖学から、「回旋動作に必要な3つのポイント」をお伝えし、さらに回旋エクササイズをどのように順序だてて考えていくかをまとめていきたいと思います!


■胸郭の解剖学

1.胸郭の回旋に関する基礎知識

まず胸郭とは
・胸骨
・肋骨(左右12対)
・胸椎(12個)
から構成されています!


胸椎で形成される椎間関節では、関節面が水平面に対して60°、前額面に対して20°と腰椎に比べ前額面に近いことから、回旋動作が大きくなる構造となっています。(腰椎は水平面に90°、前額面に45°)

各脊柱の平均回旋可動域は↓

各脊柱の回旋可動域

頚椎が一番回旋可動域が高いことになりますが、パフォーマンスに関する体幹部分の回旋を求める場合は、やはり腰椎よりも胸椎の回旋可動域向上の重要性がわかりますね!


2.回旋時の肋骨の動き

回旋動作では、胸椎・肋骨の骨運動において下記のような動きをするとされています。


例)胸郭の右回旋
=右肋骨の外旋、左肋骨の内旋
※左回旋は逆の動き

そのため肋骨の内旋可動域が低下している状態では、胸郭の回旋運動にも影響が出てしまうことになります。
(もちろん外旋可動域の低下も回旋可動域の低下につながりますが、内旋可動域低下を見る機会の方が多い。)


また、回旋時には肩甲骨の可動性も求められます。


肩甲胸郭関節における肩甲骨の水平面回旋は、片側で約15°の可動性を有するとされています。


肩甲骨の可動域制限があることで胸郭の可動性が低下し、結果的に腰椎の回旋代償を誘発することもあるので、胸郭とあわせて確認していきたいポイントですね!


3.上位肋骨と下位肋骨

肋骨の運動は、肋椎関節(肋横突関節と肋骨頭関節)による運動で行われます。

この肋椎関節による運動は上位肋骨と下位肋骨で異なります。


・上位肋骨(第1肋骨~第6肋骨)
矢状面に近いことから上部胸郭が天井に向かって上下に動く(前後径拡大)。
=pump handle motion

・下位肋骨(第7肋骨~第12肋骨)
前額面に近いことから内外旋動作が行われる(左右径の拡大)。
=bucket handle motion

※第11・12肋骨も左右径拡大に関与するが、動きの特徴からcaliper motionと呼ばれることもある。


回旋動作では内外旋動作に関わる下位肋骨の動きが重要なため、上位肋骨の可動性はもちろんのこと、下位肋骨の可動性向上が胸郭の回旋可動域向上につながると考えられます!


いわゆるリブフレアの場合は、下部肋骨の内旋機能が低下している可能性が高いため、回旋動作のエクササイズを行う前に、まずは下位肋骨の内旋動作の獲得が求められます!


4.脊柱のカップリングモーション

カプリングモーション
=脊柱の側屈・回旋動作は単独で行われているのではなく、連動して複合運動として行われています。

このカップリングモーションを考えることが、胸郭回旋運動でも非常に重要となります!


どういうことか。


〇胸椎回旋のカップリングモーション
・胸椎中間位、屈曲位
側屈と回旋は同じ方向に起こる。
例)右回旋と右側屈は同時に起こる。

・伸展位
側屈と回旋は逆方向に起こる。
例)右回旋時に左側屈が同時に起こる。


このカップリングモーションがパフォーマンス時にどのように影響を与えていくのかは、後程説明していきたいと思います!



■回旋動作向上に向けた「3つのポイント」

では、解剖学の知識を踏まえ、回旋動作向上のための3つのポイントをみていきましょう!

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