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読書紹介68「FACTFULNESS」~「10の思い込み」から、見たいものしか見ないので「世界」が歪んで見えている?


➀概要 内容紹介

 400ページにも及ぶ分厚い本で、説明だけではなく、統計やグラフなどの資料も数多く載せられています。普通の本であれば。そのページ数の多さで敬遠してしいただろうと思います。しかし、どんどんと読み進められたのは、クイズなど、実際にみんなが思い込んでいる、勘違いしている問題を、自分も間違うことで、「どうしてなの?」と、内容に引き込まれるようにして読めたからです。 
 訳者の関美和さんは次のように書いていました。。

訳者あとがき(抜粋)から
 人々はとんでもなく世界を誤解している。
 事実に基づき(ファクトフルに)世界を見ることができてない。
 その理由は、誰もが持っている「分断本能」「ネガティブ本能」など10の本脳にある。この本能を抑えなければ、事実に基づいて正しく世界を見ることができない。いまある世界を正しく認識できなければ、社会問題を解決することも、未来を予測することも、危機に対応することもできないでしょう。

 実際に自分も、知識がアップデートされていなくて、随分と偏った思い込みで世界を見ていることが良く分かりました。そういえば、昨年話題だった日曜劇場「VIVANT」は、モンゴルでの撮影も多かったようで、現地ならではのものもたくさんありました。私がショックだったことは、現地の様子が自分のイメージと全く違っていたことでした。それこそ、小・中学校の社会科で学習した内容で止まっていたので、モンゴルと言えばいまだに遊牧生活をしていると思い込んでいました(笑)。ウランバートルなど、ビルが建ち並び、都市化しているとは思ってもみませんでした。知識がアップデートされず、とまっていたことを実感しました。自分の思い込みで「世界」を見ることで、「歪んで」見えてしまうことを実感しました。

②学んだこと


 世界を間違ってみてしまう要因の一つに、人間が誰しも持っている、次の10本能(思い込み)が紹介されていました。
 

1 分断本能~「世界は分断されている」という思い込み
2 ネガティブン本能~「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
3 直線本能~「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
4 恐怖本能~危険でないことを、危ないと考えてしまう思い込み
5 過大視本能~「目の前の数字が一番重要だ」という思い込み
6 パターン化本能~「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
7 宿命本能~「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
8 単純化本能~「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
9 犯人捜し本能~「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
10 焦り本能~「いますぐ手を打たないと大変なことになる」とい思い込み。

また、それぞれの本能をおさえるためにつぎのようなアドバイスもされていました。

1 大半の人がどこにいるか(グラフ、統計など)を探そう
2 悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう
3 直線もいつかは曲がることを知ろう
4 リスクを計算しよう
5 数字を比較しよう
6 分類を疑おう
7 ゆっくりとした変化でも、変化していることを心にとめよう
8 ひとつの知識ですべて応用できないことを覚えておこう
9 誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう
10 小さな一歩を重ねよう

 
 この本で紹介されているデータを見ると、「世界は良い方へ向かっている」「着実に進歩?成長している」といえます(ただし、この本への批判でもあるように「何をもってよくなっているか」は、人の価値観によって意見が分かれてきますが)。

 コロナウイルス、ワクチン接種、現在の世界情勢。「都合のいい事実だけを切り取って主張されている」フェイクニュースや陰謀論がはやるのも、「自分がそう信じたい」という思い込みがもとにあってのこと。また、「エコチェンバー現象」(SNS等において、価値観の似た者同士で交流し、共感しあうことにより、特定の意見や思想が増幅されて影響力をもつこと)という言葉もあるように、「思い込み」や一方的な情報によって正しい認識、判断ができなくなっていないか、冷静にみていかなくてはいけないことを改めて感じました。

③自分を振り返って

 新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に5類(感染症)に分類されました。
 それまでは、連日のように全国の死亡者数や感染者数が報じられ、ニュースを見るたびに、不安を膨らませていました。今現在は、コロナウイルスがいなくなったわけではないですが、「第10波が来ている」と報道があっても、前のような不安は感じません。もちろん、感染予防に対して意識を高くしますが、普段と変わらない生活をしています。この違いは何なのか・・・。
 ニュースに触れ続けることで、「それだけがすべて」という思い込み、不安を自分でどれだけ膨らませていたか考えさせられました。
 
 また、「ルビンの壺」を思い出しました。

 「ルビンの壺」とは、デンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案した図形。見方によって、壺に見えたり、顔(向きあった二人)に見えたりする不思議な絵です。
 1枚の絵の中に2つの「現実」があるのですが、脳の認知機能には限界があり、いわゆる盲点があって、1つのものを認知することで、他のものが目に入らなくなります。
 同じように自分がどんな思いで、世界を見ているかに気を付けておかないと、

ネガティブな想いばかりになっていると、そういう出来事やニュース、「現実」ばかりの世界に見えてきます。逆に、いつも感謝する気持ちが高まっていれば、「現実」の素晴らしい場面、風景が見えてきます。 

・著書情報
発行所   学研プラス社
発行年月日 2021年7月20日

皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです

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