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1年後のわたしへの手紙

もしもし?
僕の声が聞こえますか?
あなたは今どこにいますか?
相変わらず部屋で烏賊のお刺身を食べながら熱燗を飲んでいるのでは?
もしくはソロキャンに行って、満月の光を頼りに焚き火を見つめているのでしょうか。
僕はどちらでもかまいません。
あなたが生きていてくれたら、僕はそれで満足です。

3.11以降、僕は人生計画を立てて生きることをやめました。
天災は突然やってきます。
誰かの頭上に降ってくるのです。
僕はそれを痛感しました。
だから人生の計画を立てるなんて無意味だと感じるようになったのです。
今日を精一杯生きる。
今日一日を充実させることが出来なければ、明日はきっとつまらない日になってしまう。
だから今日一日を、今を充実させ一生懸命に生きるのです。

僕は幼いころから人に迷惑をかけては駄目だと両親から教わり育ってきました。
それは今日に於いても、日本人の美徳となっている気がします。
だけどインドではこう教わるそうです。
あなたも人に迷惑をかけて生きているのだから、何かあった場合、人を許しなさいと。
あなたが少しでもいいから、他人に頼っているところを見たいです。
そして人を許してあげるあなたの懐の深さも見たいです。

1年後にあなたが生きていること。
そしてこの手紙を読みながらあなたが熱燗を飲んでいたら、願ってもない最高の結末です。

その為には、計画を立てなくちゃ!

僕は本棚から手帳を取り出しました。
先日購入したばかりの手帳。
2024年度版です。
僕はボールペンを手に取ると、一字ずつ丁寧に書いていきます。

家族・両親・友人・仕事・趣味・食事・本・酒・野良猫について…。

「計画を立てるって、こんなに楽しかった?」

僕は部屋で1人、時おり笑いながら外が宵闇に包まれるまで書き続けていました。

1年後の自分に会うために………。


【了】

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