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小5の熱意

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

過日、自宅の庭で夕暮れを見ながらBBQを行いました。平日なので一人でのBBQ。
BBQとは言っても、牛肉を焼いて、ルービーを飲んだら、けっこうお腹が膨れてしまいました。

夕日を見ながら、小さな焚き火を見ながら、過行く時間を楽しみます。

「おーい。一人キャンプとは贅沢じゃないか」
道路から近所に住むおじいさんが声をかけてくれました。自転車に跨っているおじいさん。どうやら畑仕事を終えて自宅に帰る途中のようだ。
「どうぞこちらへ」

僕の誘いに、おじいさんは首を左右に振った。

「おっかあが待ってるからよ。これやるわ」
おじいさんが自転車の前かごに入っているビニール袋から、ジャガイモを3個くれた。
「ありがとうございます。ヘルメット装着、素晴らしいです」
「これが邪魔でョ。だけど万が一ってことがあるからな」
そう言ったおじいさんは、ゆっくりと遠ざかって行った。

近年、自転車に乗る人に対し、ヘルメット装着が努力義務になった。まだ努力義務だけど、こうして実践している人を見ると、本当に素敵だなと思う。

僕はおじいさんから頂いたジャガイモを手に取った。
このジャガイモ、何にすると思いますぅ?
僕って、何歳だと思いますぅ?
ちょっとウザい絡みをしてしまいましたが、日頃から僕の記事を読まれている方々は言うまでもありませんよね?


そうです、じゃがバターにするのです!


僕は家からアルミホイールを持ってくると、ジャガイモを包んで焚き火の中に置きました。

「こんばんは!」
ランドセルを背負った男の子が、道路から声をかけてくれた。
「お帰り。この時間まで部活だったの?」
「はい。サッカー部です」
ハキハキ答える男の子。初対面なのに物怖じしない所がnice。

「実は僕もネ、4年生からサッカー部に入部してた。左ウイングっていうポジションだった。君は?」
「自分はトップ下です。えっと…5年生です」
トップ下って事は、チームの中心選手ではないか。
夕暮れではっきりと顔が見えなけど、会話のキャッチボールをする限り、異性からもモテそうなタイプだ。

「そうか。ぢゃあ今年は君たちの時代だね」
「はい。今年こそ必ず県ベスト4を目指します」
男の子は力強く言った。ここからでもその熱意が伝わってきた。その熱意は目の前で盛んに燃えている焚き火よりも熱い。

「僕は昔ネ、C級ライセンスを所持していたことがあってネ、更新制だから
今はもう所持していないのだけれでも………」
「教えてください!」
僕の言葉を遮った男の子は、ツカツカと庭に侵入すると、僕のすぐ横に立ったのだ。ちょっとビックリ。

それにしても、何たる熱意だろうか。

「教えたいけど、数年前にライセンスは消滅したからネ。ライセンスが無いとサッカーは指導できないでしょ?」

すると男の子は無言のまま、左右に大きく首を振った。

「いいえ。監督は理科の先生ですけど、サッカーのライセンスはないし、ボールだってちゃんとけれないんです。ライセンスが消滅しても、指導はできますよネ?」
男の子がさらに僕に近寄ってきた。

熱い。物凄く熱い。だけど、この熱さは嫌いじゃない。

だけどまさかのまさか。小5男子から逆質問、逆アプローチに合うとは…。

これだから人生は面白い!

つい15分前まで、庭で一人寂しく夕日と焚き火を見ながら、ルービーを飲みながらBBQをしていただけなのに………。

僕はルービーを飲んでから言った。
「そうだね。今すぐとはいかないけど、君たちの練習は1度見に行ってみるよ」
「絶対ですよ。約束ですよ!」
男の子が僕の横でしゃがんだ。
それはまるで上司に媚びを売る社員のように、ヤクルト販売のお姉さんのように、実に肝っ玉の据わった小5ではないか。

男の子は満足したのか、僕に一礼すると、ダッシュで帰って行った。

実に聡い子だ。自分が小5の時なんて、見知らぬ大人と目を合わせることすらできなかった。

まあいつの日か、散歩がてら彼らの練習を見に行こう。いまはSNSの時代だから選手たちで練習メニューなどは考え実践しているだろうから、特に問題はないだろう。あとは監督がサッカー未経験みたいだから、そこは経験者である僕が、何かアドバイスできるかも知れない。

「このままではダメだ。運動してメタボ腹を解消しないと!」

僕は焚き火に見守られながら、その場でスクワットを開始した。
小5の熱意に、僕は早くも突き動かされている。


30分後、出来上がったじゃがバターをホクホクしながら食べつつ、熱燗を飲んだ。

とても、とても有意義な夕飯だった。

今日も良い1日だった。


【了】


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