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今日のおうちごはん⑫

おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

今日は休日で僕のテンションは朝から高い。
午前中に用事を済ませた僕は、午後からフリーとなった。まさに天国の時間がやってきたのだ。ハハッ☆彡
玄関のドアを開けた僕は、雲ひとつない天に向かって挨拶をした。
「蒼天よ…只今より料理を拵え酒を飲みます」

早速、冷蔵庫から食材を取り出し、調理を開始した。
完成した一品目がこちらです。


挽肉キムチ炒め。豚キムチではござません。牛の脂がいい仕事をしております。


僕は小学校時代の給食時間を思い出し、大声で言った。
「いただきまあ~すぅ」
それも2回続けて言った。
うまい………豚肉ではなく挽肉にするところが男ですな!
ピリ辛なので、ビールがぐいぐい進みます。
僕は早くも2本目の缶ビールを開けた。
「ピンポーン」
玄関のチャイムが鳴った。
僕が玄関のドアを開けると、スーツ姿の男性が立っていた。
「お、お昼時にすみません。お兄さんのお宅では、た、太陽光の設置はお考えでしょうか?」
男性がつっかえながら言った。
僕は一呼吸おいてから言った。
「青年よ、僕の家の屋根を見よ。瓦ですよ? 瓦の屋根に太陽光を設置できるのですか?」
すると男性は顔を真っ赤にして黙ってしまった。
「気を悪くしないでくれ。兎に角、他をあたってくれたまえ」
男性は一礼をすると、ダッシュで逃げて行った。


気を取り直して飲んでいると、また玄関のチャイムが鳴った。
「こんにちは。蛸いなり新聞です。お兄さん、新聞はいいですよ!」
聞いたこともない新聞名を告げた、白髪のおじさん。これは怪しい。
「結構です。新聞はおろか、テレビすら僕は見ませんので」
「それは寂しい。当社の蛸いなり新聞は普通の新聞とは一線を画します」
「でしょうね。普通は蛸いなり新聞なんて命名しませんからね」
「お兄さん、お目が高い。ひっひっひっ」
僕は勢いよく玄関のドアを閉めた。
全く、今日に限って見知らぬ人が次々とやってくる。落ち着いて酒が飲めない。ゆっくりできないではないか。

という訳で、少し時間が早いけど〆を拵える事にした。
そして夕飯時にもう1回飲み直す事に決めた。その方が得策だ。
〆はわずか5分で完成しました。


月見うどん(天かす入り)鶏卵を混ぜて食べるのが大好きなのであります。


早速、鶏卵を混ぜて喰らった。
うまい。これはうまい。出汁も天かすの効果でうまさが倍増している。
「ピンポーン」
また玄関のチャイムが鳴った。
僕はスルーして月見うどんを喰らい続ける。
「ピンポーン」
「しばしマテ!」
僕は大声で告げると、そのまま月見うどんを完食した。
楊枝を加えながら玄関のドアを開けると、誰もいなかった。
僕は天に向かって言った。
「蒼天よ…この地はもはや詐欺集団の温床地なのでしょうか」
視線を戻した僕の目に、スーツ姿の女性が立っていた。
「こんにちは。青空青春保険の御手洗と申します。お兄さん、保険は…」
「うるさい。去ね!」
僕は玄関のドアを施錠すると、チャイムの線を抜いた。


洗面所で顔を洗った僕は、こたつに入ってみかんを食べた。
するとスマートフォンが鳴った。見知らぬ番号からの着信。
「もしもし?」
「西成君、ご成約おめでとう!」
パンパンとクラッカーの音まで聞こえてきた。
「西成君。入社5日目で初成約とは凄いよ。本当に凄いよ!」
興奮している電話越しの男性に向かって僕は言った。
「僕はTAKAYUKIです!」
スマートフォンの電源を切った僕は、そのまま寝た。


その後、詐欺集団に追いかけられる夢を見て、僕は目覚めた。
すでに辺りは宵闇に包まれていた。
「ドンドンドン」
玄関のドアを叩く音がした。
「名を名乗れ!」
「こんばんは。宅急便です」
「すぐ行きます」
僕は急いで玄関のドアを開けた。
「こんばんは。お兄さん、太陽光の設置………」
昼間にやってきたスーツ姿の男性だった。宅急便屋を装って訪問してきたのである。
同じ家を訪問して、さらに僕に気づいていない。
まさに阿保じゃないか。
「青年よ、一杯飲んで行くか?」
僕の声を聞いた男性の表情が一変した。
男性は一礼すら忘れて、脱兎のごとく走って行った。
僕はキッチンに移動し、冷蔵庫を開けた。
缶ビールが1本も無かった。
僕も脱兎のごとくスーパーマーケットに走って行った。



【了】


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